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吉田議員

(問)離島における教育の振興について

1.「しまね留学」の状況及び実績について伺う。

2.島前3島の島留学について、課題をどう捉え、支援策をどう考えているか伺う。

3.隠岐地域の常勤講師の割合について、現状を伺う。

4.県内で常勤講師をしている方への受験上の配慮がなされているのか伺う。

5.全県的に若手・中堅・ベテランのバランスのとれた人事異動が機能するようにすべきだと考えるが、認識を伺う。

6.今は情熱を持って、離島への赴任を働きかけるべきではないのかと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.「しまね留学」とは、県外の意欲ある中学生が、島根県の公立高校を受検し、そして入学して島根県内での高校生活を送ってもらう取組であります。

 県外生徒募集を行っております公立高校は、いわば「チームしまね」として「しまね留学」に取り組んでおりまして、具体的には次のような取組を行っております。

 まず、しまね留学合同説明会を東京、大阪、名古屋、福岡などで開催をしております。

 また、バスで中山間地域の高校をまわる、そのようなツアーも行っております。

 更に、ふるさとしまね定住財団の「しまねU・Iターンフェア」に教育ブースを共同で設置をいたしまして、参加をいたしております。このU・Iターンフェアは、広島、大阪、東京などで開催しております。

 こうした県外生を募集するための取組に対する参加者数が、近年、急速に増えております。例えば、平成26年には先ほど申し上げました3つの取組に参加者331名でございましたが、これが今年度は997名と3倍に増加をいたしております。

 このような「しまね留学」に対する関心の高まりに伴いまして、公立高校への県外からの入学者数につきましても、平成20年度には53名でございましたが、平成28年度には184名まで増加しております。

 

2.島前3町村は、「島留学」と称して、小学生・中学生の募集を始じめておられます。

 「島留学」の方法は、子供のみを受け入れる場合と、親子一緒に受け入れる場合と両方想定しているということであります。

 島留学の課題についてのご質問でございますが、課題というよりは、事業を進める上での留意点になると思いますけれども、子供のみを受け入れる場合、保護者がそばに居ない子どもにとりましては、いわば住民全体で親代わりを務めることになりますので、まず住民の理解が大前提になること。

 そして、子どもの生活の場となる寮等の整備や、その管理運営が必要になること。

 また、親子を一緒に受け入れる場合には、町村の定住部局と教育委員会とが連携いたしまして、町村内の全庁推進体制を作る必要があること。

 また、親子で生活するための住まいや、親の就労先を確保する必要があることなどでございます。

 この取組みに対します県の支援の在り方としては、先程述べました事業推進上の留意点を踏まえまして、県教育委員会と地域振興部等が連携し、3町村とよく相談しながら、検討して参りたいと思っております。

 また、今後、予算編成作業の中で検討して参ります「教育の魅力化」事業においても、島前3町村の取り組みをどのように支援していけばよいのか、よく考えてみたいと思います。

 

3.平成28年度、小中学校の常勤講師の割合でありますが、県全体では約8%であるのに対しまして、隠岐地域では、約18%となっております。議員ご指摘のとおり、隠岐地域で常勤講師の割合が高くなっております。

 こうした状況はかなり以前から続いておりまして、県教育委員会としても、大きな課題と考えております。

 その対策として、小中学校の教員採用試験において、勤務地域を隠岐地域に限定いたします、いわゆる「隠岐枠」採用を設けまして、正規教員の積極的な採用に努めているところでございます。

 ちなみに、この十年間の「隠岐枠」採用は、小中学校あわせて46名であります。これに伴い、講師の割合は、22%から18%に低下したところでございます。

 このように「隠岐枠」採用が一定の効果を上げつつありますので、今後とも、この採用方法の効果的な運用によりまして、適正な講師比率に近づけるよう努めていきたいと考えております。

 

4.近年、小中学校における講師が確保しづらくなっておりまして、このことが全国的な課題となっております。島根県もその例外ではありません。

 講師が採用試験に合格する前に、言わば志半ばで転職をしたり、あるいは他県へ流出したりしないようにするため、島根県では、昨年度の採用試験から、次の二つの配慮を行うこととしたところでございます。

 まず、前年度の二次試験における成績が優秀であった受験者に対しまして、一次試験の全てを免除することといたしました。

 また、前年度、二次試験まで進み、今年度県内の公立学校で講師として勤務するすべての受験者に対しまして、一次試験の一部になりますが、一般教養・教職教養試験を免除することとしております。

 このような配慮によりまして、島根県で引き続き講師として働くというモチベーションを維持してもらっているところであります。

 なお、地方公務員法第22条の6に、「臨時的任用は、正式任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。」との規定がございます。講師経験を選考上の判断材料とすることは決して許されません。従いまして、講師を他の受験者に優先して合格させることはできないということになっております。

 

5.本県の小中学校教員の年齢構成でありますが、50歳代の層が著しく厚くなっておりまして、その下の年齢層が薄いという、言わばワイングラス型の年齢分布になっております。適正な年齢バランスに近づけるためには、今後、概ね十年程度はかかるのではないかと、このように見込んでおります。

 その中でも、今年度から、受験年齢の上限を撤廃いたしまして、幅広い年齢層からの採用を進めることにより、適正な年齢構成に至るまでの期間をできるだけ短縮しようとする取組もはじめたところでございます。

 こうした構造的な要因がございますので、隠岐地域の教員の年齢構成を短期間で是正することは難しい面がございますが、人事異動上のインセンティブなども活用しながら、毎年度の人事作業で精一杯努力しているところでございます。

 ちなみに、隠岐地域に対する人事異動ルール上のインセンティブについてでありますが、例えば、「他地域勤務」というルールを解消する際に、隠岐地域に勤務した場合は、少ない年数でルール達成をしたとみなすなどの配慮を行っております。

 

6.遠隔地等への赴任を含みます島根県の人事異動ルールは、教員が、長期的な人生設計の見通しをもった上で、目の前の子どもたちの教育に全力で情熱を傾けることができる、言わば基盤になっているという面がございます。「まじめでひたむき」な島根の教員を人事制度上支えてきたという面がありまして、一定の利点があると、このように考えております。

 一方で、先ほど申し上げました年齢構成の偏りの中で、層の厚い50歳代の教員がすでにノルマを達成した後に、地元の勤務を続けているという状況が生まれまして、このことが、広域的な人事を停滞させる要因の一つになっている面もございます。

 したがいまして、この状況を少しでも改善していくためには、ルールにかかわらず、広域的な異動に応じようという気持ちをもった教員を増やしていく必要がございます。

 そのためには、教員に、県全体を自分のふるさとと捉え、ふるさと島根の教育を教員全体で担っていく、そのような気概をもってもらうことが大切であると考えております。

 こうした認識を教員全体で共有してもらえるように、このメッセージを、様々な機会をとらえて、繰り返し、繰り返し、教員に伝えてまいります。

 


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