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岩田議員

(問)竹島問題について

1.今後の竹島をはじめとする我が国全体の領土・領海に対する教育について、どのようなことを期待しているか伺う。

(問)島根県の学力について

2.本県の大学進学をめざす高校生の学力の現状について、進学状況などを改めて伺う。

3.学力向上の取組みの現状と課題をどのようにとらえているか伺う。

4.学校という集団での教育が基本となるなかで、難関大学等を目指す生徒の実力に応じた個別指導のニーズにどう応えていくのか伺う。

5.社会に出てからも学び続ける力をつけさせる教育が必要だと考えるが、本県でどのような取組みを行っているか伺う。

6.学校現場のICT活用の取組み状況と更なるICT活用の取組みについて伺う。

7.建設業や製造業など様々な職種で技能者の不足が問題となっているが、高校の教育現場でどのように取り組んでいるのか、現状と課題を伺う。

8.英字新聞を学校でとっている、また授業で活用している高校はどれくらいあるか伺う。

9.活きた英語という観点でもっと英字新聞を活用してはどうかと考えるが、所見を伺う。

(問)不登校の生徒や外国人に対する学習支援と夜間中学について

10.県内の小中学校の不登校の現状についての所感を伺うとともに、今後の対策を伺う。

11.県内の外国人の小中学生はどれくらいいるのか、また、その中で不登校の状態の児童生徒はどれくらいいるのか伺う。

12.本県における夜間中学設置の必要性について伺う。

(問)食の縁結び甲子園について

13.大会で生まれるレシピを商品化につなげるなど有効活用することが、参加者のモチベーションアップにもつながると思うが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.4項目13点のご質問にお答えをいたします。

 まず、我が国の領土教育に対する期待についてであります。

 今年11月の「竹島問題の早期解決を求める東京集会」では、国民世論啓発のための要望事項の中で、「教科書の竹島記載の充実」が決議されたところであります。次期学習指導要領に竹島問題が明記されることを期待しております。

 また、次期学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」いわゆるアクティブ・ラーニングが重視されますが、領土に関する教育には、こうした教育方法を是非取り入れてもらいたいと思っております。全国の子どもたちが、それぞれの発達段階に応じて、領土・領海問題を自らに深く関わる課題としてとらえるようになるためには、アクティブ・ラーニングによる具体的な教育実践の方法論を、国が率先して明らかにすることが重要と考えます。

 また、島根県としても、こうした教育実践を引き続き積み重ねていきたいと考えております。

 

2.次に、大学進学をめざす高校生の学力の現状、進学状況についてお答えをいたします。

 大学進学状況については、今春、ことしの春の県内公立高校の卒業生でみますと、全体に対する割合で、国公立大学への進学19.5%、私立大学への進学20.0%となっております。ここ数年同じような傾向になっております。

 また、いわゆる難関大学への合格者数はここ数年減少しております。

 高校入学後の県全体の傾向として、1年生から2年生にかけては徐々に伸びてきておりますが、3年生になるとやや伸びが止まる傾向にありまして、難易度の高い問題に対応する力が身に付いていないなどの課題があると考えております。

 

3.次に、学力育成の取組の現状と課題についてお答えをいたします。

 県教育委員会として学力の状況を分析したところ、小学校中学校から高等学校までを通じまして、ひとりひとりの児童生徒が持つ能力を伸ばしきる指導や、家庭での学習習慣を身に付けさせる指導において、基本的な課題があることがわかっております。

 このような課題に対応するために、各学校の校内研修をはじめとします様々な研修機会を活用して、学校の先生が授業改善の視点や考え方についてしっかり理解し、学校がチームとして、いわゆるPDCAサイクルを機能させながら組織的に授業改善に取り組む、このことが大切と考え、現場に推奨しているところであります。

 

4〜5.次に、難関大学等を目指す生徒の個別指導と社会に出てからも学び続ける力についてあわせてお答えをいたします。

 県教育委員会としては「学力」を、知識・技能などの「学んだ力」と、学習意欲や知的好奇心などの「学ぶ力」の2つの力と定義いたしまして、児童生徒に身につけさせるための取組を進めてきております。

 このうち、特に児童生徒が主体的に学習に取り組む意欲や態度といった「学ぶ力」を近年重視するようになっておりまして、この「学ぶ力」を育てていくことは、議員からご指摘のありました、社会に出てからも学び続ける力に通ずるものであると考えております。

 一方、生徒が自己実現のために、自らの主体的な進路選択として難関大学等にチャレンジしようとする場合には、それを応援する趣旨から、高校において、個別の添削指導や、志望大学別にグループ化した講座開催などの取組を行っております。

 また県教育委員会では、意欲のある生徒を対象に「学びの力向上チャレンジセミナー」や「夢実現進学チャレンジセミナー」も開催しております。

 このような取組によって生徒の力を伸ばしているわけでありますが、これは決して難関大学等に合格させることが島根県の目指す教育目標というわけではありません。

 これからの変化の激しい社会を生き抜くためには、主体的に課題を見つけ、様々な他者と協働しながら答のない課題に粘り強く向かっていく力が必要であります。具体的には、論理的思考力、コミュニケーション力や感性・情緒といった「生きる力」を構成する重要な力を島根の子どもたちに身につけさせたいと考えております。

 このような「生きる力」こそが、我々の考える学力観そのものであることを、ぜひご理解いただきたいと思うわけでございます。

 

6.次に、学校現場のICTの活用の取組についてお答えをいたします。

 現在県立高校においては「ICTの活用による新たな学び推進モデル校事業」として、松江北高校、飯南高校、浜田高校、益田翔陽高校の4校のすべての普通教室にプロジェクター、実物投影機、スクリーンを設置しております。

 このモデル校におきましては、教員が積極的にこの機器を使って授業改善を行っております。自分自身やグループで考えたことを実物投影機で映し出して説明したり、理科の実験を動画で流したり様々な資料を映し出すことにより、生徒の理解や思考を高めることに繋がっていると考えております。

 また、学校によりましては、議員からご紹介のありました遠隔通信システムを利用し、定期的に海外や国内の高校と意見交換したり、大学や教育機関の講座を双方向で受講したりする取組も行っております。

 今後の変化の激しい社会を生き抜く力を育てるため、学校現場には「主体的・対話的で深い学び」が求められており、積極的にICT活用も行いながらこのような力を付けていきたいと考えております。

 

7.次に、建設業・製造業等の技能者の育成に向けた高校の取組についてお答えをいたします。

 職業人として必要な力を身につけ、産業の様々な情勢の変化にも対応し、地域の発展に貢献できる人材を育成するため、専門高校などでは、基礎的な知識・技能の習得や産学官連携の課題研究などに取組んでおります。

 また、建設業等の仕事に必要な資格取得に取り組んだり、ものづくりへの興味・関心をもってもらうためとして「ものづくりマイスター」の派遣事業を活用している高校もあります。

 さらに、建設業や製造業等の技能者の仕事の魅力を生徒に伝えていくため、生徒たちを直接指導する教員が、技能者の仕事についてよく理解できるようにする、このような取組を進めつつあります。

 

8.次に、英字新聞について、定期購読している高校、授業で活用している高校についてお答えをいたします。

 県内の公立高校37校へ照会をいたしました。学校で英字新聞を定期購読していると回答した学校は14校、このうち授業で活用している学校は11校であります。

 

9.また、活きた英語という観点での英字新聞の活用についてお答えをいたします。

 議員ご指摘がありましたとおり、生徒に活きた英語に触れさせ、たとえば自分の意見を英語で書いてまとめたり、発表したり、ディスカッションしたりすることは、英語教育の中で極めて重要なことであると考えております。

 活きた英語に触れるための手段としては、英字新聞の他にも、たとえば外国語指導助手とやりとりをしたり、インターネットを通じて入手した動画や英文などを活用したりするなど、いろいろな方法があるとは思いますが、現状でもすでに11校で英字新聞が活用されておりますので、その有効性は相当程度あるのではないかと考えられます。

 なお、実際に授業で英字新聞を使うかどうかの判断は各学校が主体的に行っているところでありまして、教育委員会から特段の働きかけを行っているというわけではございません。

 

10.次に県内の小中学校の不登校の現状についての所感と、今後の対策についてお答えをいたします。

 県内小中学校の不登校の児童生徒数は、平成25年度が782人、平成26年度が722人、平成27年度が709人となっております。

 学校現場の粘り強い取り組みによりまして人数的には減少傾向にありますが、不登校者数の割合は、全国的に見ると依然として高く、児童生徒が学校に行けず、授業を受けられていない、そういう状態にあることは憂慮すべきことであり、引き続ききめ細やかな対応が求められていると考えております。

 また近年、不登校の原因は、あるいは要因は多岐にわたっており、これまで多く見られた友人関係や学業不振といったものだけでなく、例えば発達障がいや家庭環境に起因するものなど、学校だけでは対応が難しいケースも増えており、関係諸機関との連携の重要性も増していると認識しております。

 今後の対策としては、不登校の児童生徒やその家庭との関係を切らさないこと、他の児童生徒が休んでいる児童生徒を支えていくような学級の雰囲気づくりを心がけること、ケース会議などを定期的に開くこと、などが重要であり、学校現場において適切な対応がなされるよう、引き続き情報提供を行ってまいります。また、不登校児童数の多い県内25の小学校に配置した子どもと親の相談員、さらにスクールソーシャルワーカーとも連携し、不登校の児童生徒の家庭に対する支援を行っていくことが大事であります。このため、関係機関も含めた組織的な対応をしていくことが重要と考えております。

 さらに議員ご指摘の、10の市町が設置する教育支援センターに対しましても、引き続き県として財政支援を行うとともに、それぞれのセンターの取り組みを情報共有するなどして、さらに有効的に活用されるようにしていきたいと考えております。

 

11.次に、県内の外国人の小中学生の数とその中の不登校の児童生徒数についてお答えをいたします。

 平成28年度の学校基本調査によると、島根県内の外国人の小学生・中学生の数は合計131人であります。その内訳は、小学生が94人、中学生が37人であります。この子どもたちは、すべて公立学校に通っております。

 また、外国人の小中学生の中の不登校者の数については、これは平成27年度のデータになりますが、病欠等を含めた長期欠席者が4名、この内不登校は1名でありました。

 

12.島根県では、多様な学びを提供する高校として、平成22年度に宍道高校を開設いたしました。宍道高校には、中学校のとき不登校だった生徒を含め、十分な義務教育を受けられなかった生徒たちも多く学んでおります。宍道高校ではそうした生徒の入学も想定し、例えば、「数学入門」「漢字チャレンジ」といった基礎科目を設け、いわゆる「学び直し」の場としても、貴重な役割を担っております。

 県の西部では、浜田高校の定時制・通信制が同様の役割を担っており、さらに、両校の通信制の協力校を大田、益田、隠岐の3箇所に設けることにより、県内全域をカバーをいたしております。

 こうした事情もありまして、現在、中学校の設置主体である市町村教育委員会において、夜間中学を設置するような動きは見られません。

 なお、一昨年、文部科学省が全国の市町村を対象に行った、夜間中学設置に関する調査においても、島根県では全ての市町村が、当面設置の予定はないと回答しております。

 現時点で、島根県において夜間中学のニーズがある、このようにはとらえておりません。

 

13.最後に、「食の縁結び甲子園」で生まれるレシピの商品化について、お答えをいたします。

 この大会は、ようやく第1回を終えたところであり、これから全国大会として定着することが大切であり、そのためには、全国からの注目度を高めながら、参加する高校生に、より一層充実感、達成感を味わってもらえるよう努力を重ねていかなければならないと考えております。

 その際、議員からご紹介いただきました「ご当地!絶品うまいもん甲子園」、これは優秀作品の商品化を特色としております。それに関連して、議員から大変魅力的なご提案をいただいたと思っております。

 ただ、この「ご当地!絶品うまいもん甲子園」と同じ方向性を狙うのは、ある意味で二番煎じのようにも映る可能性があり、かえって差別化を図りにくくなるのではないかとの心配も一方でございます。

 むしろ、調理、プレゼンテーションを通じて、高校生の創造力、コミュニケーション力の育成、さらには、地域理解と地域への貢献意欲を育てる、このような食の縁結び甲子園の基本理念、コンセプトにもう少しこだわって、より一層エッジを立てていくという方向性もあるのではないかと考えております。

 現在、さっそく第2回大会に向けて、来場者等のアンケートの分析などを通して、より良い大会となるよう検討を始めたところでありますので、議員のご提案も含め、よくよく考えてみたいと思います。

 なお、昨年度実施したプレ大会、中国四国大会に出場した、益田翔陽高校のレシピ「益田ブドウの押し寿司」は、大会の後、地元スーパーマーケットによって商品化されました。これは大変有意義なことであったと考えております。

 このように産学連携の取組として、レシピが商品化されることは大変意味のあることであります。大会の特色付けの問題如何に関わらず、知事部局と連携しながら具体化の方法を探っていきたいと考えております。以上でございます。

 


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