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三島議員

(問)小中学校をめぐる課題と高校教育の魅力化について
1.母子留学・子ども留学シンポやサミットを仕掛けるなど、県教委としても地域の意識喚起やサポートに知恵を絞る必要があると考えるが、所見を伺う。
2.タブレット等のICT機器活用の現状と課題、及び今後の考え方を伺う。併せて、特別支援学校でのタブレットの導入について考えを伺う。
3.若手社会学者の古市憲寿が著書「働き方は「自分」で決める」で述べた「大衆教育社会」としてのメリトクラシーの機能不全について、所見を伺う。
4.高校魅力化事業で目指す高校生像と高校の在り方について、また、4年目となる同事業の成果と課題、今後の方向性について伺う。
5.県の高校魅力化をマネジメントする人材配置について、所見を伺う。
6.大学進学の高校ランキングから見えることと都市部普通高校の在り方について、所見を伺う。
7.松江市を中心とした高校再編について、所見を伺う。
8.学び方のスキル差についてどのように見ているのか、また、「学び方を学ぶ」学校図書館活用教育の充実強化について、所見を伺う。
9.高校図書館の資料に対する現状認識と充実にどう取り組むのか考えを伺う。
10島根県の普通科高校において、どんな生徒を育てて欲しいと望んでいるのか伺う。

 

(答)教育長
1.小中学校の存続問題で県教育委員会も地域のために知恵を絞る必要があることについてであります。
県教育委員会としましても、小・中学校が地域のコミュニティの維持に大きな役割を果たしていることはよく認識しており、地域の存続についても決して無関心なわけではありません。
市町村教育委員会による様々な取り組みに対し、例えば県立高校の魅力化・活性化事業の成果や手法を紹介するなど、地域と一緒になって知恵を絞っていきたいと考えています。

 

(再質問)山村留学、母子留学を今後義務教育の中で活用していく意義をどう考えるか。その上で教育委員会としてどういうふうに取り組むのか、所見を伺う。

 

(答)教育長
ひとつは母子留学とか山村留学こういったものの意義をどう考えているか、県教育委員会としてどういったことができるかという質問だったかと思いますけども、大田市等でもずっと前からこの山村留学といった形で取り組んでおられて、地元は地元でそうした格好で、地域の子どもたちと、新しく都会から来た子どもたちが、ひとつの刺激になって、非常に意義のあることというか、そういった格好で子どもたちの成長にも役だっていることと思いますし、一方で、田舎で育てたいという都市部の親さん方もおられたりして、母子留学、山村留学、それなりに私も意義があるものだと思っておりますし、県教育委員会としてどういったことができるかといったときにですね、先ほど高校魅力化の、チーム島根として全体としてPRしていくような話が現実に今やっておりますけども、そういった形で、いろんなものを県内のそういった状況とかですね、そういったものをまとめてPRしたり、そういったようなこと、あるいは、それぞれでやっている事例を関心がある市町村に紹介したりとか、そういったことはやれると思いますし、やっていくべきかというふうに思っております。

 

2.2点目は、小中学校のタブレット等のICT機器活用の現状と課題、特別支援学校でのタブレットの導入についてであります。
県内の小中学校では、教材を拡大表示するプロジェクターや教材提示装置は、ほとんどの学校にあり一斉指導において活用されていますが、タブレットを使用した個別指導は普及していません。
タブレット等のICT機器の活用に当たっては、機器の特性、子どもの発達の段階、指導内容や場面を十分考慮し、学びの充実につながるよう活用していくことが重要です。
このためICTを活用した研修講座を充実させ、教員の指導力の向上を図るとともに、好事例を学校現場に広げてまいります。
特別支援学校のタブレットの活用は、例えば、肢体不自由や病弱の生徒が、座っての学習が難しい場合に、寝たままで操作しながら学習ができる、視覚障がいの生徒が見やすい大きさで漢字の書き順学習ができるなどの長所があります。
このような、障がいの実態に応じたタブレットのより効果的な活用について、今後、先進的な学校の取組を参考にしながら導入について検討してまいります。
 

3.3点目は、大衆教育社会としてのメリトクラシーの機能不全についてであります。
議員から紹介のありました大衆教育社会とは、戦後日本の、あらゆる階層の人々が、少しでも偏差値の高い学校、良い会社を目指そうとする社会とされています。
また、メリトクラシーとは、能力や努力の結果としての業績で、社会的地位が決定するという考え方とされています。
そのメリトクラシーが機能不全を起こしたことにより、子どもたちに生きる力を育む教育の必要性が増したと認識しています。
 

4.次に目指す高校生像と高校の在り方についてであります。
県教育委員会では、本年7月に「第2期しまね教育ビジョン21」を策定しました。ビジョンの基本理念は「島根を愛し世界を志す心豊かなひとづくり」としています。離島・中山間地域の学校、都市部の学校を問わず島根県としてそのような高校生像の実現に向け努力して参ります。なお、離島・中山間地域の高校魅力化・活性化事業に取り組む学校にあっては、しまね教育ビジョン21の考えに基づきながらも、各地域の状況やニーズに応じ、地域を支える人材育成に努めています。今後とも地域と連携し、魅力的な学校づくりを支援して参ります。
次に4年目となる事業の成果と課題今後の方向性についてであります。
事業実施により各地域で高校魅力化・活性化の機運が生まれ、地域の活性化と一体となった支援の動きが活発になったことは、大きな成果だと考えています。コーディネーターの設置により学校と地域との連携が深まり、取り組み内容も精錬されてきました。総合的な学習時間等を活用し、地域課題解決に取り組む活動などが積極的に行われるようになっています。
県外からの入学者が増加しつつあるのも、そうした活動の成果であると考えています。一方、課題としては、小中高大の一層の連携、県外生徒と地域住民との交流の推進、県の支援だけに頼らない学校・地域の主体的な取組の促進などがあげられます。
今後もこうした課題を克服しながら、高校の魅力化・活性化を進めて参ります。
 

5.2点目は、島根の高校魅力化をマネジメントする人材配置の必要性についてであります。
事業を実施している町村には、学校と地域をつなぐコーディネーターの配置が進んでいます。地域によっては都会地からIターンにより島根に来た者もあり、これまでにないアイディアで学校・地域の魅力化に努めていただいています。
県教育委員会としては、これまで各学校・地域で独自に行われていた生徒募集活動等の横の連携を強化し、「チーム島根」としての活動を進めているところです。
「チーム島根」としての連携強化、及び隠岐島前高校のような県内の先進的な取組の普及のためには、議員ご指摘のように、魅力化の指導的役割を務めるスーパーコーディネーター的な人材配置も検討する必要があると考えています。

6.6点目は、大学進学の高校ランキングからみえることと、都市部の普通科高校の在り方についてであります。
大学進学の高校ランキングは、国公立大学ごとの入試偏差値に各高等学校の合格者数をかけた数の合計を、各高等学校の卒業者数で割った数値を使って算出しています。
これには医学科などの推薦入学による合格者数も反映されており、順位の変化には、純粋な学力の偏差値以外の要因も影響していると考えています。
離島中山間地域の高校では、生徒一人一人が社会とのつながりを意識した学習を展開して、主体的に学ぶ力の育成に取り組んでいます。
都市部の普通科高校でも、松江北高校では、生徒自ら地域の課題を見つけ、その解決策を探究する協働学習を、その他の普通科高校においても総合的な学習の時間などで、課題発見・課題解決型の学習に取り組み始めてきており、今後、更に充実していくことが重要だと考えています。
 

7.7点目は、松江市を中心とした高校再編についてであります。
通学区のあり方については、平成18年に見直しを行い、松江市内の2校に設置してある理数科の通学区を撤廃し、3校の普通科の通学区については、選択幅を拡大するため自由枠(5%)を新たに設けたところです。松江市では、平成28年度から4年間で250名程度の中学校卒業予定者の減少を見込んでいます。そのような状況の中、学校の特色化、学校規模、普通科・専門科のバランスなど、県立高校としてのあり方を、適切な時期に検討委員会を立ち上げ、多方面からの意見を伺いながら検討していく必要があると考えています。
 

8.8点目は、学び方のスキル差と、学び方を学ぶ学校図書館活用教育の充実強化についてであります。
学び方を学ぶことは、子供たちが将来に渡って生きていく上で重要な力であると認識しています。
県では、その育成を学校図書館活用教育を中心に展開していますが、そのスキルに地域間、学校間で差があるのは議員ご指摘のとおりです。このため人のいる学校図書館を、学びを支える学校図書館にするための事業を展開しています。
県内小中学校14校で2年間、図書館を活用した授業について研究し、具体的な指導計画として成果をまとめることとしています。
併せて、近隣の学校に呼びかけて授業公開を行い、研究校を拠点とした地域全体の学校の図書館活用教育の質の向上を図っています。
今後とも、学校図書館活用教育の充実に努めてまいります。
 

9.9点目は、高校図書館などの資料に対する現状認識と充実にどう取り組むのかについてであります。
高等学校等の蔵書数については、小中学校のように学校図書館図書標準が示されていないため一概にはいえませんが、多少のばらつきはあるものの、学校規模に応じて整備されていると認識しています。

 生徒の主体的、探究的な学習を推進する上で、学校図書館の役割は重要であり、全ての県立高校へ学校司書配置を行うなどの事業を展開中です。
今後も引き続き、配置した学校司書を中心に主体的、探究的な学習に役立つ蔵書などの資料整備に努めてまいります。

 

(答)知事
10.三島議員のご質問にお答えをいたします。
最初の質問は、島根県の普通科高等学校にどんな生徒を育てて欲しいかと考えているかというこういう質問でございます。短く言うことは大変難しいことでございますが、わたくし、二つの要素があるというふうに考えております。
一つは、いろんな場で申し上げておりますけれども、今、我々を取り巻いておる社会というものが、大きく変動する時代に入っているように思います。
その一つの原因は、やはり情報技術などを中心とした技術の爆発的な進化でございます。それが企業の経営の仕方を変え、あるいは人々の生活の仕方を変え、そしてまた世界経済はグローバル化をしていく、そしてまたその中で新興国も容易に先進国に追いついていくことができる。まあ非常なこの大きな変化が我々の周りで起こっているということでございます。またそういうものが、世界全体のエネルギー供給にも大きな影響を与えます。温暖化も進みます。いろんな問題が我々の周辺で起こっている訳でございまして、まあかつてなかった様な大きな変化が周りで起こっているということでございます。まあそういうことをやはり、この子どもたちが認識をしていくということが大事なことだと思います。
もう一つは、そうした近代技術、進んだ技術がじゃあ人間にとって全部プラスになっているかというと言いますと、議員がご紹介になりましたように、食品の安全性でありますとか、あるいは薬の多様化でありますとか、まあいろんなこの我々の生活にも影響を及ぼす訳でございまして、そういう中で人々の考え方が非常に多様になっておると、やはり自然が大事であるとか、古い歴史文化が大事であるとか、あるいは地域社会が大事である、まあこういう考えはそんなに昔にはなかった訳でございます。
まあ人々の考え方の多様化が非常に起こっている訳でございまして、そういうものがあるということを、子どもたちが認識をしていく、そういうものに対して関心を持つということが大事でございまして、教育の中で長年通じてそういうものを学んでいって、それが自分の生き方考え方に影響を及ぼす訳でございまして、まあ変化が多いですし、このいろんなことに関心を持ち、いろんなことに柔軟に対応できるような考え方あるいは訓練を受けていく、そういうことが高校生に限らず、子ども達にも求められておりますし、若者達にも求められておるというふうに思います。
まあそういうことでございまして、ちょっとばくっとしておりますけれども、もちろん個別の学問のですね技術的なことをきちっと学ぶということは当然に必要なことでございますけれども、それに加えて、そうした二つの要素をこの意識をしていく、関心を持っていく、幅広く物事が考えられるようになる、それが必要なことではないかというふうに思います。

(問)公共図書館について
1.県立図書館は存続できるのか、また、存続すべきと考えるか伺う。
2.県立図書館の存続のためにはどんな図書館像を目指すべきか、また、どんなサービス提供が必要と考えるか伺う。
3.県立図書館の存続のためには全面指定管理導入も検討すべき課題と考えるが、所見を伺う。
4.公共図書館の有料化について、所見を伺う。

 

(答)知事
1.次に、県立図書館の存続についてのご質問でございます。
今申し上げましたように、世の中本当にかつてないような変動期にあるわけでございまして、図書館というものは、単に私どもが図書館を利用した頃は、読みたい本を読む、関心のある本を読むことが、私の楽しみとか慰安になるとか、が中心でございましたけど、今大きな動きがあり、そういう情報を得たいということは、子どもに限らず大人にもあるわけでございます。
午前中の議論の中でもありましたけども、企業経営をどうするのか、経営をどうするのか、そういった面でも、いろいろな情報が求められますし、あるいは生活をする中で、病気の問題どういうようにしたらいいのか、そういう情報も必要となるわけでございまして、県立図書館をはじめとした図書館は、そうした住民の方々、県民の方々の要請に応えられるように体制を整えていくということが大事でございます。
そういう意味で、地域の「知」の集積の場所として、県立図書館をはじめ、図書館は県民の生活や暮らしに役立つように、情報の提供・紹介、それができるような力を付けていかなければなりませんし、私どもも、そうした形で図書館が活用できるような環境作りに、今後も引き続き取り組んでいかなければならない、というふうに考えておるところでございます。以上であります。

 

(答)教育長
2.10点目は、目指すべき県立図書館像などについてであります。
県立図書館には、資料や情報の提供だけではなく、県民のニーズに応え、環境の変化に的確に対応しながら、県民一人ひとりが持つ能力を伸ばし、地域社会の活性化に寄与する役割を期待しています。
県立図書館が、環境の変化に対応していくためには、県民一人ひとりや地域の課題解決に役立つ知識や情報の拠点となること、セミナー等の開催、商用データベースの導入などにより、ビジネス・就業支援を行うこと、高齢者、障がい者、外国人や、図書館から遠い地域の方など、誰でもどこでも貸出や照会のサ―ビスが利用できること、図書館活用講座等の実施により、県民の情報活用能力の向上を支援すること、などのサービス提供が必要であると考えており、図書館振興計画に基づき着実に実施してまいります。
 

3.11点目は、図書館への指定管理者制度の導入についてであります。県立図書館に指定管理者制度を導入することについては、平成20年度に検討を行いましたが、市町村立図書館及び学校図書館の支援や、読書普及に向けた広報啓発などの業務は、専門的な知見を持った司書が行う行政機能であり、民間企業体等を管理者とする指定管理者制度には馴染まないこと、入館料や貸出料を徴収しない公共図書館にあっては、利用者の増加が収益増につながらないため、指定管理者制度の導入によるコスト削減の効果が出にくいこと、などから、現在まで公設公営による運営を行っています。
県立図書館を存続するには、まずは先ほど述べたようなサービスの充実を図ることが大切であると考えています。そのため、指定管理者制度の導入については、「県が直営するよりも効果的・効率的な点」などの情報収集に努めていくとともに、他県などの動向にも注視してまいります。

 

(再質問)図書館で提供するサービスと人的リソースの問題について、どう考えているのか、改めて伺う。

 

(答)教育長
図書館の存続の関係で、指定管理とか人的な問題も含めて質問がございました。
今朝も私テレビを見ていたら、長崎市立図書館が癌の研修を図書館がお医者さんを呼んで来てやっているのを見ました。その参加者は、普通ならなかなか先生にいろんなこと聞けないけど、しっかりまとめて聞けて、また他人の質問が自分の参考にもなるとかいうことで、図書館もいろんなことをやる時代になってきているなと、テレビを見ながら感じておりまして、仰られるように図書館の在り方については、決してこれでいいと思っているわけではなくて、不断に研究して、図書館がそれこそ人を育てる図書館になるように、質問にございましたように、頑張っていきたいと思います。

 

4.最後に、公共図書館の有料化についてであります。
県立図書館は、図書館法に基づき、入館料と図書貸出にかかる費用は引き続き無料とすべきと考えています。
他方で、コピー代や、他の図書館から取り寄せる場合の送料などについては、既に利用者から実費をいただいています。
今後も、他県の公立図書館の動向も参考に、会議室の一般貸出しに対する利用料の徴収など、有料化が可能なものがあれば、実施を検討してまいります。
また、議員ご紹介の海士町の事例は、図書購入費の一部を一般の方々からの支援金により賄う取り組みであり、こうした試みも参考にしたいと考えております。以上です。

 

 

 

 


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