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三島議員(無)

(問)教育問題について

1.県内知的障がい養護学校高等部の現状と今後の生徒数の推移予測及びハード整備に対する考え方を伺う。

2.小中学校の特別支援学級の現行八人定員について、定員減を要望する現場の声が多いと聞くが、その現状と認識を伺う。

3.特別支援学校における学校図書館とこれを活用した教育についての現状認識、豊かな育ちを支えるためのハードソフトの充実について考え方を伺う。

4.学校図書館活用教育図書整備事業の来年度の考え方を伺う。

5.司書教諭の発令状況、東西格差解消の考え方、司書教諭に対する負担軽減の配慮の状況を伺う。

6.幼児教育に対する所見と智頭町の幼稚園で行われているような取組に対する所見を伺う。

7.国の幼保一元化検討の中で、指定管理者制度導入など多様なあり方も担保できると考えるので、県としても積極的に推進すべきと思うが、考え方を伺う。

8.学校支援地域本部事業の評価と、拡充に向けての県の対応を伺う。

9.デジタル教科書導入の動きについて所見を伺う。

(答)教育長

1.特別支援学校についてであります。知的障がい養護学校高等部の現状でございます。

 県内の知的障がい養護学校高等部の生徒数でありますが、平成十七年度、二百九十七名でありましたものが、今年度は四百三十八名と、この五年間で約一.五倍の生徒数となっております。特にその中でも、松江と出雲の知的障がい養護学校高等部の生徒数の増加が著しい状況にあります。この生徒数の増加傾向ですが、この先当分の間は続くものと予想をしております。

 次に、知的障がい養護学校のハード整備に対する考え方についてであります。今後も、特に多くの生徒が入学してくると思われます、松江・出雲両養護学校におきましては、教室不足等が予想されます。早急に対応していく必要があると認識をいたしております。このため、両校につきましては、学校敷地の状況、それぞれ違うわけでありますが、敷地の内外も念頭に置きながら、必要な施設の確保について、現在、検討を進めているところであります。

2.特別支援学級を有する学校でありますが、この十年間で約2倍と増加をいたしております。また、情緒障がい学級、この学級もこの十年間で約3.5倍と増加をしておりまして、一つの学校に複数の特別支援学級を有する学校が増加をいたしております。

 現在、ご質問にございました特別支援学級の編制の標準、障がい種にかかわらず一学級八人ということになっておりまして、次のような課題があるところであります。一つには、複数学年の児童生徒が同一学級におります、こういったことから指導が困難になる場合がある。それから、児童の障がいの特性によりまして、個別の指導が必要な場合も多うございますが、その際、多人数の学級編制では指導が困難になるということ。それから、重度の障がいを有する児童生徒、こういった生徒が特別支援学級に入級する場合も増加をしております。そうした場合、担任一人では対応がなかなか難しいということから、市町村教育委員会が独自に支援員を配置しなければならない、とこういった事例もございます。

 こうしたことから、現在は八人となっております学級編制の標準を引き下げること、これらを国に対して要望してきているところであります。特に、重度障がいを有する児童生徒が特別支援学級に入級した場合には、学級編制を一人とすること。それから、障がいの種別や程度、重複等の実際の児童生徒の状況も踏まえまして、実情に応じた弾力的な学級編制を行うこと。これらの対応が可能となるような制度設計が必要だと考えております。

3.特別支援学校の学校図書館の関係でございます。

 県内の特別支援学校におきましては、ご質問にございました、生徒の急増等によりまして学校図書館の環境整備が十分とは言えない厳しい状況にあります。そういった中で、各学校におきましては、子どもにとりまして、より効果的な環境にするために、子どもの障がいの状態に配慮した取組みを行っております。例えば車いすの生徒が、簡単に本が手に取れるように、教室のすぐ近くに図書スペースを整備をいたしましたり、あるいは知的障がいの子どもにわかりやすく使いやすい図書配列を工夫するなどの取組が行われております。

 また、各学校では図書を活用した教育を行っておりますが、例えば知的障がいの特別支援学校では、子どもが安心して過ごせる教室などの場で、学級担任が絵本を読んだり、あるいはボードに絵を貼ったり外したりして、子どもの興味関心を引き出しながら、表現方法を工夫しながら読み聞かせを行っている。こういった工夫が行われております。

 今後のハード・ソフトの充実でございますが、特別支援学校におきましても、児童生徒の豊かな人間性の育成にとりまして、学校図書館を活用した学習は大変重要であると思っております。今後、管理職を核といたしまして、校内全体の理解の推進を図ること、あるいは、児童生徒の障がいの種別や程度に応じた図書の計画的な整備を図ること、あるいは、利用しやすい場の整備、あるいは、校務分掌に配慮いたしまして、司書教諭や図書館担当者が図書館業務に従事する時間を増やす、こういった配慮をして、学校図書館の環境整備を図っていきたいと思っております。

4.今年度から、小・中学校の調べ学習用図書を市町村図書館に寄託を致しまして、近辺の学校が共同利用できる取り組み、これが今の事業でございますが、こうした事業を今年度実施をいたしております。

 今年度は、十の市町に寄託することと致しまして、現在、県立図書館の方で準備を進めているところであります。この事業につきましては、議員からもございましたが、今年寄託を受けられなかった市町村の図書館や学校から、新たな寄託の要望も受けているところであります。

 今後、これら要望や市町村図書館の受入体制の状況、これらも踏まえまして、来年度以降の事業の実施につきまして、検討していきたいと考えております。

 

5.司書教諭の発令状況等であります。

 現在、司書教諭は、全県で小中学校合わせまして、202校、全体の60%で発令をされております。しかし、地域ごとにみますと、配置校の割合でありますが、東部地区では65%、それから、西部及び隠岐地区では55%ということで、西部・隠岐地区が、東部地区に比べますと低い割合となっております。このことは、司書教諭の資格をもった教諭が西部及び隠岐地区に少ないということから生じているものであります。この差を解消いたします、あるいは平成26年には、司書教諭を100%配置したいというふうに考えておりますが、そういったためにも、まずは有資格者、この全体の数を増やす必要があるというふうに考えております。このため、昨年度から、司書教諭を養成する講習、この受講が、島根大学、放送大学、あるいは通信制大学で行われるわけでありますが、これに、講習を受ける教諭に対しまして、旅費でありますとか、受講料の補助を昨年度から始めているところであります。また、採用試験におきましては、こういった資格をもつ者を優遇する制度も設けております。

 そして、特に東西の格差でありますが、今年度、西部及び隠岐地区、これに所属する教員に対しまして、積極的な司書教諭の講習を働きかけまして、この地区からは、全体、県下全体の43名のうち、21名と半分程度が西部・隠岐地区からの受講者が占めるということで、昨年度に比べますと、このように増えてきております。今後ともこうしたことによりまして、西部・隠岐地区におきましても、司書教諭が発令されるように努めてまいりたいと考えております。

 それから司書教諭の負担軽減でございます。現在、司書教諭を発令している小中学校、合計を申しあげますと202校でありますが、その中で何らかの負担軽減措置をしている学校が6割程度ございます。その内容は、「授業時数の軽減」、それから「校務分掌や部活動の担当についての配慮」、それから「学びいきいきサポート事業」という事業を設けておりますが、これによります非常勤講師を配置をいたしまして、司書教諭の負担を軽減しているところであります。

 

6.幼児教育に対する所見ということでございます。

 幼児期は、知的、感情的な面でも、人間関係の面でも、日々急速に成長する時期であります。この時期の教育は、子どもたちが、人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付けられるよう、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであると思っております。そのため幼稚園、保育所では、幼児が遊びや様々な体験、人とのかかわりを深めることを通しまして、自立の心や自分で行動しようとする態度、あるいは豊かな感性や思考力の芽生え、あるいはきまりの必要性など規範意識の芽生えを養うことなどを大切に教育を行っているところであります。

 議員ご紹介のありました「森のようちえん」の幼児でございますが、自然の中の遊びの中で、感性を磨き、忍耐力や自分で問題を解決する術を身に付けるこういった取組でありますが、ご質問にございました、私ども考えてみますと、子供の頃には、隣近所の友達と遊ぶ中で、自然と身につけた部分もあったように思います。現在そうした環境が失われております。そうだからこそ、幼稚園教育でもこうした体験をさせていく必要があるというふうに思っております。その意味で、こうした体験を取り入れた活動につきまして、島根県の幼児教育の中でも特に大切にしていきたいというふうに思っております。

 

7.国の幼保一体化が検討されている中で、指定管理者制度導入など多様な管理運営のあり方、これについてどうかというご質問でございます。

 学校教育法では、学校の設置者、幼稚園も含むわけでありますが、学校の設置者は、その設置する学校を管理しなければならないというふうになっておりまして、市立の幼稚園におきましては、指定管理者制度の導入等、民間の力を活用することができないということから法の改正を要望する声があることも承知をいたしております。

 一方で、現在国におきまして、「こども園(仮称)」という構想が検討されております。幼稚園でありますとか、保育所、この垣根を取り払いまして、幼児教育と保育をともに提供するものでありますが、この新しい制度案では、学校法人に加えまして、社会福祉法人とか株式会社、これらが参入できると、可能になるという制度が考えておられようであります。

 したがいまして、当面、この国の新たな制度案がどのような制度設計となり、幼稚園教育のあり方にどのような影響を与えるのか注視してまいりたいと、その動向を見守ってまいりたいと考えております。

 

8.この事業は、地域の人がボランティアとして学校の教育活動を支援するという事業でありまして、平成二十年度から国の委託事業として市町村において取り組まれてきたものであります。現在、県内では十七市町で四十八本部が設置をされて事業が進められております。

 この事業を実施した市町村におきましては、いい評価が出ております。子どもの学習を支援する活動や花壇づくりなどの環境整備などで、地域のボランティア、多くの方が参加をして、そうした活動を行われまして、地域が学校を支援する、そういった気運が高まってきておる、あるいは、「学校が身近に感じられるようになった」「子どもの顔が分かるようになった」そういう声がございます。また、学校におきまして、「地域の人とのかかわりの中で、子どもの人間性が豊かになったようだ」というような声も聞かれます。

 国の委託事業でありますが、今年度で終了致しまして、二十三年度からは、県・市町村も財源を負担いたします国の補助事業に制度が変わることになります。本事業を継続するかどうかにつきましては、これまで先程申し上げましたような学校と地域との連携協力体制、かなり出来てきております、その維持充実を図る観点、こういったことも踏まえますとともに、県内各市町村のご要望、ご意見を今後聞きながら検討して参りたいと思っております。

 

9.それから最後に、デジタル教科書について御質問がございました。
デジタル教科書でございますが、今言われておりますのは、児童生徒一人一人が、教科書も副読本などの教材もすべて見ることができる携帯用の情報端末、これをデジタル教科書と言ってるようであります。このことにつきまして、現在、文部科学省が設置をいたしております学校教育の情報化に関する懇談会、ここで議論がされているところであります。
デジタル教科書につきましては、一般論で申し上げますと、まずメリットといたしましては、教科書の文字や写真を任意の大きさに拡大したり、文章を朗読したりする機能のほか、インターネット機能、それから子どもたち同士の双方向の情報交換、あるいは教員によります子どもたちの理解度に応じた演習などができるというようなメリットが言われております。一方で、デジタル教科書を毎日、長時間、見続けることによりまして、目が悪くなったり、あるいは先ほどのインターネット等のメリットの反作用でありますが、注意散漫になったりするなど、子どもたちの心身に悪影響が出るのではないか。あるいは、論理的な思考が低下するのではないか。あるいは、教師と子どもとの対話が少なくなるのではないか。こういった点が危惧をされているところであります。
私といたしましては、まだ具体的な教科書というのが出ておりませんのでわかりませんが、感覚的な感想で申し上げますと、子どもの成長にとりましては、やっぱりしっかりと実体験をし、あるいは読書などで文字や文章に親しむ中で、いろいろなことを感じて、さまざまな思いをめぐらすことが大切ではないかというふうに思っております。いずれにしましても、こうしたメリット、デメリットを見きわめまして、人格形成の基礎を培う時期にどのような教育を行うことが大切であるのか、慎重に検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。以上でございます。

 

 

 

 


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