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石橋議員(県政クラブ)

 

(問)安全安心な市民生活について

1.家庭内殺人事件の社会的背景には、家庭の問題があると思うが、所見を伺う。

2.家族の絆の消失について、見解を伺う。

3.中高生・大学生が殺人事件の加害者という事例が多発している要因について、見解を伺う。

 

(答)知事

 1.次に、児童、生徒が加害者や被害者になる家庭内の殺人事件についてであります。

 本県では、近年、幸いに、そのような事件は起きておりませんが、家庭内における殺人事件が毎日のように報道されており、心を痛めております。

 我が国は、戦後六十年をかけて世界に類を見ない経済発展を遂げましたが、物の豊かさを追求するあまり、人を思いやる心や家族の絆などを軽視するようになってきました。

 大人も子どもも、人に対する思いやりや人の痛みに対する理解力や想像力が欠けてきたことや、自分の感情をうまくコントロールできないことなどに起因する、まことに信じられないような事件や事故が起きる世の中になってしまいました。

 家庭は、社会の基礎であり、全ての教育の出発点であります。また、はじめて自分以外の人とのコミュニケーションにより、基本的な生活習慣、他人への思いやり、社会性を身に付けるなどの重要な場であります。

 昨年、皇太子殿下は誕生日の記者会見の中で、愛子様の養育方針について、「私たちが愛情を込めて育ててあげることが大切です」と述べられ、スウェーデンの中学校の社会科の教科書に収録されている、アメリカの家庭教育学者ドロシー・ロー・ノルトの「子ども」という詩を紹介されました。その一部を紹介しますと「批判ばかりされた子どもは非難することをおぼえる。殴られて大きくなった子どもは力に頼ることをおぼえる。・・・しかし、激励を受けた子どもは自信をおぼえる。寛容に出会った子どもは忍耐をおぼえる。・・・安心を経験した子どもは信頼をおぼえる。かわいがられ、抱きしめられた子どもは世界中の愛情を感じることをおぼえる」というものです。殿下は、「非常にこの詩には、私は感銘を受けました。家族というコミュニティの最小の単位の中にあって、このようなことを自然に学んでいけると良いと思います。」と述べておられます。

 私も四人の子どもがあり、それぞれ四人に肩車をしたこと、幼い頃私自身が父親に肩車をしてもらったことを思い出します。

 今まさに家庭が、学校・地域と連携し、それぞれがサポートしあい、それぞれの役割を果たしながら、それぞれの教育力を高めるべく、対応していかなければ、日本は大変なことになるという危機感を持って、様々な対応策を実施していきたいと考えております。

 

(答)教育委員長

 2.石橋議員のご質問にお答えします。

 議員のおっしゃるとおり、このところ、以前では考えられないような痛ましい事件が頻繁に起きています。

 私は、この世に生を受けた子どもたちが、両親のもとで家族の愛に包まれながら、きちんとあいさつができ、我慢をすることや、基本的な善悪の判断が行えるように育てられて学校に通い出すことが、家庭の役割であると思います。

 そして、初めての集団生活である学校においては、その子どもたちに、生きていくための確かな学力を身につけさせるとともに、精神的にも肉体的にも成長を促し、一人の人間として、自らの人生を切り開いていける力を備えさせることが大切であると考えています。

 また地域社会は、豊かな未来を有する子どもたちに対して、多様な体験の場を提供するとともに、将来の地域を支える宝として、大切に見守っていく必要があります。

 このように、三者がそれぞれの役割をきちんと果たし、オーバーラップしながら連携を深めて子どもたちの教育を行っていくことが、ひいては、家族の絆を取り戻し、学校での充実した教育活動を実現させ、豊かな青少年を社会に送り出していくことに繋がると信じています。

 家族の絆は、決して消えてしまっているとはとは思えません。ただ、今のように価値観などが急変する社会の中にあっては、家族のあり方も一様ではなく、さらにグローバル化とも相まって、全ての人が同じような形の家族の絆を求めることは、容易ではないことも事実であります。

 幸い本県においてはこのような事件は起きてはおりませんが、教育の原点とも言うべき家庭が、休息と安らぎの場と成り得ていない場合には、他人事とせず、学校も地域社会も協力してそれを助け、家族の絆をしっかりとしたものにしていかなければならないと考えております。

 

(答)教育長

 3.中高生や大学生が殺人事件の加害者という事例が多発していることについてのご質問にお答えします。

 新聞やテレビでは、毎日のように、加害者が青少年の場合を含め悲惨な事件が報道されています。その報道に接するたびに、事件に至る経緯や動機があまりにも短絡的で身勝手な行動に感じられ、他に方法はなかったのか、周りに相談できる人はいなかったのかと問いたい思いです。

 議員は「最後の一線を軽く飛び越えてしまう」と表現されました。そこには、俗に言うところの、すぐに『キレる』という行為があり、それは、我慢の限界レベルが低いこと、行為後に発生する重大な結果に思いが至っていないことによるものであります。

 専門家からは、原因論として様々な指摘がなされております。例えば、テレビやゲームに熱中する弊害として「ゲーム脳」や「ディスプレイ症候群」を唱える専門家もあります。これは、現実感覚の喪失や対人関係の不成立、攻撃性の高まり、さらには理性や感情コントロールの低下をもたらすと指摘されています。また、「死んでも生き返る」というリセット感覚は、身近に人の死に直面する機会の減少や、日々の食事の食材全てに命があり、命をいただいているという崇高な行為への軽視、いわば命の軽視がもたらすものであり、こうした点は社会全体の問題でもあります。

 子どもたちを事件に追いやることを回避するためには、家庭や地域社会の教育力に負うべきところが大きく、社会全体で早急に取り組まなければならない問題であります。

 社会に対して強く警鐘を鳴らすだけでなく、他部局や市町村教育委員会、地域、家庭と連携して、早急に対応策を講じていく必要があると考えております。

 

 

 


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