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渡辺議員(県)

(問)世界遺産登録とラムサール条約登録について

世界遺産登録が実現した場合の活用方策について伺う。

(答)知事

次に、石見銀山遺跡の活用策についてであります。

 石見銀山遺跡が世界遺産に登録されれば、人類共通の宝として、確実に保全し、将来に継承していくべき責務を国際社会に対して負うことになります。

 このため、県としても地元市町と一体となって、遺跡の保存・整備や管理体制の充実に努めていくこととしております。

 同時に、この遺跡の「顕著な普遍的価値」を世界の人々に理解してもらうため、国内外から多くの来訪者を受け入れることも大切であります。

 そのため、インターネットやシンポジウムなど多様な手法により、広く情報発信に努めるとともに、遺跡ガイドの養成や観光コースの設定など、受け入れ体制の整備をより一層図る必要があります。

 また、遺跡への来訪者の増大は、地域の産業振興や雇用の拡大につながる絶好の機会であり、地場産品を活用した商品開発、コミュニティビジネスの創設など、創意工夫を凝らした取り組みを、行政と民間団体・住民が一体となって、地域を挙げて進めていくことが必要であると考えております。

 そのような取り組みの一つとして、官民協働の会議が設立され、課題の整理、具体的な方策やそれぞれの役割について検討が進められており、その成果も踏まえ、県としても自らの役割を担いつつ、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

【参考】(問)ラムサール条約登録が実現した場合の活用方策について伺う。

(答)知事(環境生活部)

続いて、宍道湖・中海のラムサール条約登録後の活用策についてであります。

 ラムサール条約の基本理念である「賢明な利用」は、豊かな自然環境を保全しつつ、その資源を有効に利活用し、水産業や観光などの産業の振興等を図っていこうとするものであります。

 このような取組を進めるためには、行政のみならず地域住民の条約に対する理解と参加が不可欠であります。

 そのため、関係市町や鳥取県とも連携し、十二月三日開催予定の条約登録記念シンポジウムや、「賢明な利用を語る会」の継続的な開催などを通じ情報の共有化を図りながら、条約の主旨を一層啓発し、自然環境の保全と産業振興が両立できるよう、官民一体となって取り組んでまいります。

 いずれにしましても、県央部における石見銀山遺跡と、県東部に位置する宍道湖・中海が、世界ブランドとして認められることを契機に、県央部から県東部にわたる、魅力的な広域観光ルートの設定や、新たな地場産品の育成など地域産業の振興に取り組んでまいります。

(問)教育問題について

1.学級編制に関する統一した方針の必要性について所見を伺う。

2.少人数学級に必要な教職員数、費用負担、義務教育費国庫負担制度との関係について伺う。

3.高校で少人数学級を導入すれば、学級数減にならず、ゆとりあるきめ細やかな教育が実現できると考えるが、所見を伺う。

4.西部の定時制・通信制高校の検討状況を伺う。

(答)広沢教育長

1.まず、学級編制の方針についてお答えします。

 本年八月、「今後の学級編制及び教職員配置について」教職員配置等の在り方に関する国の調査研究協力者会議から出されました今回の中間報告では、学校の判断で四十人学級を下回る学級編制ができるよう制度の見直しが提言されております。

 この見直しの趣旨は、児童生徒や地域の実情に合わせて、個に応じたきめ細かな指導を徹底するために、学校現場の裁量を十分に高め、必要なときに少人数学級編制ができるようにしようというものであります。

 少人数指導の効果的な実施に当たっては、その時々の学年・学級の課題がさまざまであることなどから、より学校現場の裁量を大切にする必要があります。

 実際に、現在本県で実施しております、小学校低学年の三十人学級編制とスクールサポート事業のいずれかを選択する制度につきましても、学級編制を三十人に限定したものでなく、市町村教育委員会や各学校の実情に応じて、四十人学級編制のまま非常勤講師を配置することができるスクールサポート事業を選択できることとしております。

 これら小学校入門期の低学年へのきめ細かな指導を重視した教育は、本県の学校教育の基本理念であり、特色であります。

 さらに、中学校入学当初の一年生に対しても、非常勤講師を配置するクラスサポート事業を行い、学習指導や教育相談など、生徒一人一人に応じた支援を行っているところです。

 学級編制の人数を県内で統一していくべきかどうかにつきましては、これらの成果を踏まえ、検討したいと考えております。

2.次に、三十人学級編制を実施した場合の費用等についてであります。

 仮に、本年度の小学校三年生から六年生を、一律に三十人学級編制とした場合、対象となる学級数は、合わせて、百七十一学級であります。

 中学校では、一年生から三年生を三十人学級編制にした場合、対象となる学級数は、合わせて、百六十学級であります。

 これを教員定数の標準法で算定しますと小学校の場合は、百九十一人、中学校の場合は二百四十四人の教員の増加が必要になります。

 そうした場合の教員の給与費につきましては、小学校の場合は、約十五億九千万円、中学校では、約二十億三千万円、小中学校合わせて、約三十六億二千万円が見込まれます。

 仮に県下統一に三十人学級編成を実施する場合の必要な財源については、義務教育の充実という視点に立ち、国の責任において総額が措置されるべきものと考えております。

3.次に、高校における少人数学級についてであります。

 高校における入学定員については、国のいわゆる標準法によって一クラス四十人を基準として定められておりますが、これを下回る定員設定については、県の裁量により自由に行うことが可能となっています。

 ただ、教員数は、標準法に基づき一クラス四十人を基準として算出され、それら教員の人件費は、ほぼ全額交付税で財源措置がなされていますが、少人数学級とした場合、一クラス四十人の場合に比べ、クラス数が多くなることから、必要な教員数が増加することになり、それら増加教員分の人件費は、県単独で負担する必要が生じます。

仮に、全ての高校に、そうした少人数学級を導入しようとすれば、相当額の県単独の財源措置を伴うことになるため、現在の県の財政事情を考慮すると、少人数学級の導入は困難であると考えています。しかしながら、個性を生かす教育や、きめ細かな指導を図る上から、少人数による指導は効果的であると考えております。

 現在、各高校においては、一つのクラスを習熟度や進路希望に応じて複数に分けて指導する等の工夫を凝らし、きめ細かな教育を実践しているところであります。

4.次に、県西部の定時制・通信制についてであります。

 平成十四年十一月の答申において、浜田高校における、定時制・通信制教育の機能強化を図るとともに、施設面でも専用施設を確保するなど、県西部の定時制・通信制教育の拠点としての教育環境を整備する必要があると提言されたところです。

県教育委員会としては、基本的にこの答申に沿った教育内容が必要と考え、調査検討費を予算化し、関係校及び教育庁内の関係課で構成する調査検討会議において、西部拠点校の具体的内容について検討を行っております。

その中で、意見交換会を開催し現場の教員の意見を聞くとともに、在籍する生徒や中学生に対しアンケート調査を実施したところであり、それらの意見等を参考に、生徒の幅広い学習ニーズに対応できる、柔軟な教育システムと多様な教育内容などについて、鋭意検討を行っているところです。

 この県西部における定時制・通信制教育の拠点校については、東部独立校の開校に引き続き、できるだけ早期に整備できるよう努めてまいりたいと考えています。

(問)全国高等学校総合文化祭について

1.全国高等学校総合文化祭の準備体制について伺う。

2.参加生徒の資質向上に向けた取組を伺う。

(答)広沢教育長

1.次に、全国高等学校総合文化祭の準備体制についてであります。

 まず組織についてでありますが、本年の四月から教育庁内に「全国高等学校総合文化祭推進室」を設置し、十一名の職員で準備にあたり万全を期しているところであります。

 本年六月十五日には、県民を挙げて大会を盛り上げるため、高校や開催市町関係者に加え、文化団体、商工観光・宿泊交通などの関係者で組織する「島根大会実行委員会」を設立し、総合開会式やパレード、国際交流事業、各部門の実施計画等を策定しているところであります。さらに、実行委員会の中には、生徒自らが創造し、主体的に活動できる大会とするため、生徒実行委員会も組織することとしております。

 また、特殊教育諸学校の生徒も活動発表に積極的に参加できるよう、開催予定の二十二部門に加え、「盲・ろう・養護学校部門」を設置することも検討しております。

 来年度は、開催一年前となりますので、総合開会式を想定したプレ大会を実施すると共に、毎年開催している各部門の大会でも本大会を想定した運営を行います。また、第三十回京都大会へは、各部門に多くの生徒を参加させ、島根大会に向けて、意識の高揚を図ると共に、視察にあわせて島根大会の広報活動を行います。さらに国際交流事業として、韓国の高校生を招聘して派遣するなど、活発な活動を展開する予定です。

 来年度以降についても、再来年の本大会の運営を強力に推し進めることができる充実した体制を作るよう努めてまいります。

2.次に、参加する生徒の資質向上に向けての取り組み状況についてであります。

 島根大会が盛り上がるためには、地元高校生の活躍が不可欠です。このため、高校文化活動をより活性化し、充実させるよう取り組んでいるところであります。

 その中では、たとえば弁論・吹奏楽・合唱・演劇・放送部門の活躍はこれまでも顕著であります。一方、器楽・管弦楽や日本音楽・郷土芸能部門等におきましては、計画的に楽器・用具を購入したり、外部指導者を講師として招いたりして、活動が充実してきております。特に管弦楽部門は、中学生も加えて、一緒に指導を受けており、成果が上がっております。

 また、囲碁・将棋・百人一首かるた部門は、高校生相手だけでなく、地域の大会に積極的に参加し、競技力の向上を図っております。

 さらに、書道・美術工芸・生活科学等の部門におきましては、島根県特産の和紙・木材・瓦などを使って、島根らしさを十分にだしたした作品展・交流会にしようと、講習会・コンクール等をさらに充実させ、技術力向上に努めております。

 一方で、今年度から試行されました「文化特別推薦入試」では、八部門十二名が合格をし、意欲的に活動をしております。この制度を十九年度まで継続し、資質の高い生徒の確保に努めてまいります。

 そして、昨年度から実施されました「児童生徒学芸顕彰制度」により、優秀な児童・生徒を顕彰し、士気を高揚しております。

 今後とも一層の資質の向上に取り組み、平成十九年には、すばらしい感動と成果を残したいと考えます。その感動が、高校生の豊かな人間性を育み、今後の高校文化活動の活性化に繋がり、ひいては、島根県の文化の発展に繋がるものと信じております。


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