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園山議員(自)

(問)教育予算について

1.過去十年間の教育予算の推移及び小、中、高等学校教員・職員数と市町村の学校教育費を含む県内の学校教育費、施設設備費の推移について伺う。

2.教育費のうち体育振興と文化振興に係る予算について、施設整備費、維持管理費及び振興費に分類しての推移を伺う。

3.学校の体育関係費と文化振興費の予算の推移を伺う。また、体育、文化活動の現状と支援、改善について所感を伺う。

(答)広沢教育長

1.まず、過去十年間の教育予算の推移についてお答えします。

 島根県教育委員会の予算総額は、概ね一千数十億円程度で推移してまいりましたが、平成十五年度に一千億円を切り、今年度の当初予算額は九百六十億円余となりました。平成八年度の一千二十億円余に比べますと、約六十億円の減額となっております。その要因は人件費の減です。

 次に、小学校、中学校及び高等学校の教職員数の推移についてであります。

 公立の小学校・中学校及び県立高等学校の教職員数は、基本的に学級数に応じて定められております。この十年間の推移を見ますと、児童生徒数の減、学級数の減に伴って、教職員は一貫して減少を続けております。

 具体的には、まず教員についてですが、平成八年度、小・中・高合わせて七、七四五名であったのが、今年度は七、一五九名に減少しております。

 また、事務職員、校務技術員、実習助手等の職員については、同じく平成八年度、小・中・高合わせて一、四五二名であったのが、今年度は一、二五二名に減少しております。

 次に、学校教育費の推移についてお答えします。

 「地方教育費調査」結果によりますと、市町村を含む本県の学校教育費は、概ね一千三百億円程度で推移しております。ここ十年の傾向を見てみますと、平成十年度の一千三百五十億円余をピークに減少傾向にあり、平成十六年は一千百九十億円余でピーク時に比べて約百六十億円の減少となっております。

 その要因は、約九十億円が人件費の減であり、残りの七十億円は、市町村の施設整備費の減です。

2.次に、体育振興予算の推移についてであります。

 国体選手強化費や小、中、高校生の競技力向上対策費を含めた振興費については、平成八年度は三億七千二百万円でありましたが、平成十七年度は、三億一千九百万円となっております。

 県立体育施設の維持管理費については、平成八年度は二億七千六百万円でありましたが、平成十七年度は、三億三千六百万円となっております。

 施設整備費については、平成八年度は、通常の整備費は未計上でありましたが、平成十七年度は県立体育施設の改修費として一千三百万円を計上しております。

 次に、文化振興予算の推移であります。

 文化振興予算総額は、概ね二十億円程度で推移してまいりましたが、歴史民俗博物館の建設が本格化してまいりました平成十六年度に急増し、平成十七年度には、七十二億円余となりました。平成八年度の三十億円余に比べますと、約四十二億円の増額となっております。

 施設整備費については、平成八、九年度は該当がなく、平成十年度に一千万円であったものが、平成十七年度には五十九億余となっており、いずれも歴史民俗博物館の整備費です。

 管理運営費については、平成八年度に七千九百万円余であったのが、平成十七年度は一億七百万円余となり、約二千八百万円の増額となっております。

 振興費については、平成八年度に二十九億円余であったのが、平成十七年度は十二億円余となり、約十七億円の減額となっております。振興費については、埋蔵文化財発掘調査受託事業費の増減により、年度間で大きく変動しております。

3.次に、体育振興予算のうち、学校の体育関係費の推移についてであります。

 学校体育関係費としては、競技力向上対策費、学校体育・スポーツ大会への助成、運動部活動の充実に要する経費を計上しておりますが、平成八年度は四千五百万円を計上しておりましたが、平成十七年度は七千三百万円となっております。

 次に、学校教育における文化振興関係予算の推移についてでありますが、高校生の文化活動の育成・強化及び小中学校の文化活動の育成に係る経費を計上しており、平成八年度は一千万円、平成十七年度は一千二百万円となっております。

 なお、これと別に平成十九年度に本県で開催する全国高等学校総合文化祭開催準備のための経費を平成九年度から計上しており、本格的な準備が始まる今年度から平成十九年度までの三年間の事業費について約三億円を見込んでおります。

 次に、学校の体育、文化活動の現状認識等についてお答えします。

 平成十六年度の全国高校総体までは、一定の予算を確保しておりましたが、その後予算は厳しい状況でありますが、中でも選手強化につきましては、中体連・高体連を中心として、「招請合宿」や近県での「県外遠征」等を実施するなどして強化に取り組んでおります。

 また、県高校総体をはじめ各種学校体育大会の運営につきましては、県の補助金は削減していますが、現在は、各連盟の努力により、これまでと同規模での開催がなされています。

 さらに、競技力向上の中心的役割を果たしている教員の資質を高める「種目別指導者研修会」等を引き続き実施してまいります。

 こうした事業を展開するにあたりましては、厳しい予算の中ではありますが、創意工夫をこらし最大限に効果が発揮できるよう努めてまいります。

 また、本年度から実施しております「スポーツ特別推薦入試」制度の継続や、「高等学校重点校」制度の充実を図り、能力の秀でた選手の育成に努めてまいります。

 そのためには、指導者の適正配置と長期間腰を据えて指導できる体制を確立するための人事異動ルールの見直しを研究すると共に、専門的な技術指導力を備えた地域の指導者を中学・高校に派遣する「運動部活動外部指導者活用事業」の拡充や「スポーツ指導者派遣事業」の継続が必要と考えております。このような取り組みを強化し、競技力向上に一層努めてまいります。

 次に、文化活動についてであります。学校での文化活動は、人間形成の上で極めて重要な教育活動と考えており、芸術鑑賞事業や文化部活動への支援などを行っておりますが、その現状には様々な課題もあります。例えば中学校においては、音楽、美術以外の部活動を行っている学校数は少なく、また、高校では種目は多彩ですが、個々の部の部員数はまだまだ少ないのが現状です。

 このような文化部活動への支援として、中学生の作品・表現活動の発表会の開催、中学校・高校への校外指導者の派遣、全国高等学校総合文化祭への参加促進のための補助などを行っております。

 今後は、平成十九年の全国高等学校総合文化祭島根大会を一つの目標に、「文化特別推薦入試制度」や「児童生徒学芸顕彰制度」を活用して、中学生を含めた文化活動に携わる生徒がいっそう増え、その活動が活発になるよう取り組んでまいります。

 そして、大切なことは、全国高等学校総合文化祭大会後もその活動が停滞しないように継続することだと思っております。特に高校生の文化活動は地域社会での文化活動に繋がる可能性が大きく、島根の文化発展に資するものであります。予算的に厳しい状況にはありますが、活動が縮小しないよう配慮していくつもりであります。

(問)学力低下について

1.学力低下の要因について所見を伺う。

2.数学や英語などの学力強化についての所見を伺う。

3.親の教育を含めた幼児教育のあり方について、抜本的な取組が急務と考えるが、その対応について所見を伺う。

4.県内すべての公立学校で実施すると仄聞する学力テストの結果をどのように活かすのか所見を伺う。

(答)広沢教育長

1.次に、学力低下の要因についてであります。

 児童生徒の学力低下の要因としては、まず、学習時間の問題が挙げられます。

 完全学校週五日制による授業時間の減少や、家庭学習時間の低下などがこれにあたります。平成十六年一月の調査によりますと、本県の小・中学生の家庭学習時間は、いずれも全国の水準を下回っているとの結果が出ております。

 さらに、家庭学習時間の低下にあわせて、近年、学習の仕方、特に自学自習の方法が分からない生徒が増加しつつあるとの指摘が、普通高校を中心に寄せられております。

 学力の低下には、このような、学校教育と直接関わる要因もさることながら、議員ご指摘のように、児童・生徒の基本的生活習慣や価値観の変化といった、社会や家庭に由来する要因も大きいと考えております。

 豊かな社会になって価値観が変化・多様化し、子ども自身に勉強が大切という意識が薄れてきたこと、少子化が進み、子どもが豊かで享楽的な環境に置かれ、学習への意欲や向上心、忍耐力などが低下してきたこと、それとともに、基本的な生活習慣が崩れつつあること、そして、大人たちも、それを許容している状況があるように思われます。これは、学習時間の不足以上に深刻な問題であります。

 したがいまして、子どもの状況に応じた指導内容や指導方法の工夫・改善、学習時間の確保といった、学校教育における取組とともに、家庭や地域の教育力は、学力向上の実現のためにきわめて重要な役割を担っていると考えております。

 県教育委員会では、本年度から、「ふるさと教育」及び「生活習慣改善推進事業」を開始し、家庭や地域との連携を図りながら、豊かな心と健やかな体を育成し、学ぶ意欲を高めるよう取り組んでいるところであります。

 学力向上を図るためには、学力の基礎となる「生きる意欲」を併せて育てることが必要であり、家庭や地域の教育力を高める、あるいは活用することを含め、総合的に学力向上に取り組んでまいりたいと考えております。

2.次に、学力の定着状況と学力強化についてであります。

 県内の小・中学生の学力につきましては、平成十六年一月に、小学校六年・中学校三年の一部を対象に実施しました「教育課程状況調査」の結果、学習指導要領に示された基礎的内容の理解については概ね良好と判断しましたが、同時に、各教科における様々な課題が明らかになりました。

 たとえば、国語の文章読解において心情や主題を把握する力が不足していることや、中学校数学において理解が不十分な生徒の割合が多いことなどであります。

 さらに、高校現場からは、高校入学時における学力の低下が指摘されております。

 高校一年の一学期に、県内ほぼすべての普通高校が受験する全国規模の模擬試験によりますと、ここ四〜五年間、本県生徒の成績は下降してきており、特に英語と数学において、その傾向が顕著となっています。

 こうしたことを踏まえ、課題を有する教科につきましては、授業時間数の確保、指導法の改善、各教科における小・中・高の連携等を今後一層進めることにより、学力向上を図ることが必要であると考えています。

 その一環として、本年六月、学力向上プロジェクトの中に、英語と数学のワーキングチームを設置し、中学と高校の教科連携に関する検討を進めているところです。

 また、こうした施策の実効性を高めるためには、その前提として、各教科、どこでどのようにつまづいているのか、さらに、学力と生活習慣がどう関連しているのかなど、学力の実態について、これまで以上に詳細な把握・分析を行う必要があると考えています。

3.次に、親の教育を含めた幼児教育のあり方についてであります。

 県教育委員会ではこれまでも、島根県幼稚園教育振興計画により、「幼稚園・保育所の連携・協力の積極的な推進」や「地域の幼児教育のセンター的役割としての積極的な子育て支援の推進」等幼稚園教育の充実を働きかけてきております。

 また、幼稚園と小学校の連携としてそれぞれの教員の合同の意見交換会や研修会、幼児と児童の合同活動の実施など、地域の実態に応じて取り組まれております。

 一方、子どもの発達段階に応じた子育て講座の開催や「すこやか育児テレホン」開設など、保護者への啓発や学習機会の提供等、家庭教育への支援に努めております。

 しかしながら、社会の急激な変化に伴い、家庭や、地域社会の教育力の低下が指摘されている今日では、それらの取組が十分に効を奏していない面もあります。

 学力向上対策の一環ではありますが、本年度、教育庁内に基本的生活習慣の改善を目的に「生活習慣改善事業」としてワーキング会議を組織し、児童生徒の実態把握、改善策等を検討し、来年度は、「生活習慣改善推進キャンペーン」を行うなど積極的に啓発活動を行うこととしております。

 こうした取組も活用しながら、今後、保護者の意識改革を含めた幼児教育の一層の充実のための方策について検討してまいりたいと考えております。

4.次に学力調査についてであります。

 小中学生を対象とした学力調査につきましては、現在、来年度実施に向けて、細部の検討を進めているところですが、学力調査実施の目的は、何よりも、児童生徒の学力の定着状況を正確に把握し、その結果を児童生徒の指導に適切に活かして、確かな学力の向上をめざすことにあります。

 具体的に申し上げますと、各学校において、分析結果から一人一人の児童生徒の学力の現状や、児童生徒の学習に対する意識などを把握した上で、個に応じた指導法の改善を行い、よりきめ細かな指導の効果があがるよう、学校体制の改善・充実に生かしていくことであります。

 また、当然でありますけれども、適切な指導を行うためには、教職員の資質の向上を図ることが必要であり、教職員研修の見直し等、総合的に活用してまいりたいと考えております。

(問)学力(教育力)の回復について

1.学校内での反社会的行為(不法行為)に対するペナルティについて校長の権限(裁量)はどのように定められているか伺う。

2.学力の回復には、知識学習の時間の拡大が必要と考えるが、その対応について所見を伺う。

3.県立学校での土曜日、春季・夏季・冬季休業中の補習や学校開放時の冷暖房等の経費の負担者は保護者であるが、所見を伺う。

4.部活動や進路指導で著しい実績をあげている教員の評価について、教員の異動ルールの見直しと併せて伺う。

5.部活担当者への積極支援、勤務評価、査定対象業務拡大について所見を伺う。

6.小・中・高校の相互連携の強化が必要と考えるが所見を伺う。

7.島根大学教育学部との連携強化、活用について見解を伺う。

(答)広沢教育長

1.次に、学校内での反社会的行為に対する校長の権限についてであります。

 学校教育法では、校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、生徒及び児童に懲戒を加えることができ、懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は校長がこれを行うものとする、と定められております。

 ただし、公立の小・中学校においては、退学、停学を命ずることはできないことになっております。

 また、懲戒ではありませんが、小・中学校では、他の児童生徒に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為等を繰り返し行い、他の児童生徒の教育に妨げがあると認める児童生徒があるとき、市町村教育委員会は、校長の意見具申、保護者からの意見聴取をもとに、保護者に対して児童生徒の出席停止を命ずることができることも定められております。

2.次に、学習時間の拡大・確保についてであります。

 小・中学校におきましては、教育課程の適切な実施に必要な指導時間を確保するよう努めております。

 具体的には、定期的に授業実績を確認し、時間割変更により不足した時数を確保すること、風水害や流行性感冒などの突発的な休業により時数が欠けることを想定した上で、あらかじめ、標準時間数を超えるよう指導計画を作成することとしております。

 なお、年度末に標準時間数に達しなかった学校は、その原因を分析した上で改善策を作成し、次の年度には、必ず授業時数が確保できるよう努めているところです。

 さらに、今後は、県教育委員会としましても、各学校において学力の定着状況を把握し、定着が不十分な場合には、指導時間の一層の確保に努めるよう、指導してまいりたいと考えております。

 一方、高等学校におきましては、補習の実施や長期休業期間の短縮などにより、指導時間の拡大に努めております。

 普通高校におきましては、ほぼすべての高校において、長期休業中や平日の放課後など、近隣他県と比較しても、きわめて精力的に補習を実施しております。また、土曜日の補習や学校開放も全県に広がりつつあり、今年度は七割以上の普通高校で土曜補習を実施しております。さらに、夏休み期間を短縮して授業時数を増やす学校も増えてきております。

 専門高校におきましても、数学などの基礎学力定着補習や、資格取得を目指す補習を、放課後や土曜日などに実施しております。

3.次に、県立高校における補習等の実施に係る冷暖房費等の経費負担についてであります。

先ほど申し上げましたとおり、現在、普通高校においては、主として進学のための補習を、長期休業中はもとより土曜日などに精力的に行っており、土曜日の補習は、今年度は七割以上の普通高校で実施しております。

また、専門高校におきましても、土曜日の補習が増えてきております。

さらに、生徒の自学自習のために土曜日などに学校を開放する取組も行っております。

 このように、補習や自学自習のための学校開放などの取組が広がっておりますが、これらに係る光熱費等の経費については、各学校に配分している管理運営費で全額対応しております。

 なお、近年、夏季における教室の冷房のため、各学校のPTAが空調機器を設置されるケースがあります。これは、各PTAが自主的に計画した事業として行われているものであり、今のところこの場合の冷房費は、設置者であるPTAに負担していただいております。

4.5.次に、部活動や進路指導に関しての教員の評価についてであります。

 学校教育の成否はその直接の担い手である教員の指導力に負うところが大きく、教員が意欲を持って教育活動に取り組むためには、教員一人ひとりの能力や実績を適正に評価することが必要であると考えております。

 これまでも、勤務評定の中で各教員の評価を行ってまいりましたが、新たに「公立学校教職員評価システム」を本年九月から試行し、平成十八年度から実施する予定であり、この評価システムにおいて、教科指導のみならず、部活動や進路指導も含めた教育活動について、教職員の意欲・姿勢、能力、実績等をより適切に評価することとしております。更に、勤務時間を超えて部活動等に従事している実態を踏まえ、このような場合には評価の様式に特記事項欄を設けて記述し、これについても積極的に評価することとしております。

 次に、教員の異動ルールの見直しについてであります。

 現行の人事異動ルールでは、同一校に勤務できる年数は、市町村立学校では原則として七年間、県立学校では原則として八年間としております。

 しかしながら、部活動や進路指導において顕著な実績を上げている教員が同一校で長期間勤務することは、特色ある学校づくりに資するとともに、競技力の向上や芸術文化の振興、生徒の進路実現を図る上で効果のあることと認識しております。

 従って、特に県立学校においては、このような教員について実績を積極的に評価し、同一校に腰を据えて指導できるよう人事異動ルールの例外的な取扱いをすることについて、学校現場の声を聞きながら研究しているところであります。

6.次に、小・中・高等学校の連携強化についてであります。

 まず、小学校と中学校においては、これまでも、卒業前や入学後に、児童生徒の状況全般について連絡会を行っております。それに加えて、県教育委員会としては、各小・中学校に対し、自校の児童生徒の学力の実態及び学習への意識等を把握し、その結果を基に、学習指導の改善について小・中学校で協議し、理解を深めるよう指導しているところであります。

 また、本年度から県内五つの地域で、中学校とその校区内の小学校を指定し、小・中のつながりを意識した授業を実践するなど、小・中連携による学力育成のための研究事業を開始したところです。

 次に、中学校と高等学校の連携につきましては、現在、主として英語と数学における中・高合同の研究会が、県内各地で開催されております。そこでは、中・高の教員がお互いの授業を参観し、教科指導に関する意見交換を行っております。

 こうした連携を支援する取組の一つとして、県教育委員会では、今年六月、学力向上プロジェクトの一環として、中学・高校双方の教員をメンバーに、英語・数学のワーキングチームを設置いたしました。各地の教科研究会に対して、中・高の接続を円滑にする実践的な指導法を提案すべく、検討中です。

 さらに、こうした教科レベルでの中高連携のみならず、学習意欲や学習習慣などを含む幅広いテーマのもと、校長以下、学校あげての「学力向上連携」が県内すべての地域で実施されるよう、現在、各高校に指導しているところであります。

7.次に、島根大学教育学部との連携についてであります。

 県教育委員会は、島根大学教育学部との間で、従来から個別具体的に連携して様々な取組みを行ってきていますが、平成十五年一月には「連携協力に関する覚書」を締結し、より組織的に対応することと致しております。

 連携の事例としては、1)平成十六年度当初から県教育委員会の教員を教育学部に派遣し、現場に根ざした体験学修プログラムの開発、特別支援教育業務等を行っている事例、2)また、閉じこもりがちの児童生徒への支援について、平成十三年度から三年間は、本人やその家族がどの様な支援を求めているかを調査の上、具体的ニーズに対応した教育的支援プログラムを策定実施する「心の架け橋支援調査研究事業」を大学に委託し、更に昨年度からは、調査研究事業を具体化し、県が開設した居場所に、島根大学の学生に支援員として関わって頂く「心の架け橋支援ツアー事業」を実施している事例、などが挙げられます。

 今後とも、引き続き教員研修の在り方や学力向上策についての助言を頂くなど、具体的な事項について、可能なものから連携を図っていくこととしています。

(問)学校施設の開放について

学校施設の開放及び学校と地域社会の連携方法に係る学校長の裁量の範囲について見解を伺う。

(答)中村教育委員長

園山議員御質問の学校施設の開放に関することについてお答えいたします。

ご指摘のように、学校施設の開放の目的は、地域に根ざし、地域に親しまれる学校を目指すものでございます。近年多くの学校が、社会体育の振興や生涯学習推進の場として、また、親子による活動や、年配者との異年齢交流の場などとして活用されております。

 私は、子どもたちの健全な育成のためには、学校、家庭、地域社会が各々の教育機能を十分に発揮し、連携を図りながら取り組むことが重要と考えており、学校施設が三者の活動を豊に育み、結ぶ要として利用されることを期待しています。

 また、現在学校施設を開放し、使用の許可を行う権限は学校長に委任されております。

 各学校長が施設の使用を許可するにあたっては、十分な安全性の確保や、喫煙等青少年に悪影響を与える行為が行われないことなど、施設が教育の場であるということを踏まえた上で、それぞれの地域における様々な状況を考慮され、適切に判断されているものと考えておるところでございます。

(問)教育費の確保について

必要な教育予算額確保は、為政者のつとめだと考えるが所感を伺う。

(答)知事

園山議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、教育予算についてであります。

 明日の島根を担う人づくりは、最優先で推進していくべき政策の柱であり、子どもたち一人一人が可能性を開花させ、社会の一員として自立して生きていくことができるよう、積極的な取組を進めていかなければならないと考えております。

 しかしながら、財政状況が未曾有に逼迫している中で、本県では、教育予算も含め一層の効率化や経費節減を図り、財政の健全化に向け全力で取り組んでいるところであります。

 そのような状況にあっても、学校教育は、人づくりの根幹をなすものであることから、本県の特色を生かした教育を推進する趣旨のもとに施策の選択と集中に努め、「ふるさと教育推進事業」の開始、「中学校クラスサポート事業」の拡充、新しい定時制・通信制課程高校の設置への取組などに、その必要額を予算措置してきたところであります。

 現在、本県の児童生徒一人あたりの教育予算額は、小学生では全国一位、中学生では二位、高校生では四位と、全国のトップクラスにあり、従前から教育予算措置に配慮してきたところでありますが、今後とも最優先課題である学校教育の一層の充実に努めたいと考えております。

(問)文化財の管理について

1.九月二日の貴重な文化財の盗難について所感を伺う。

2.県内の文化財の管理状況及び管理に対する支援、防犯啓発、体制整備について伺う。

3.河下台場址の歴史、学術的価値及び県の関り方について伺う。また、文化財保護、調査に県のより計画的、積極的な関与が必要と考えるが、所見を伺う。

(答)知事

1.次に、文化財の盗難についてであります。

 この度発生した鰐淵寺の事件によって、数点の重要文化財をはじめとする大変貴重な歴史資料が紛失したことは、誠に残念であり、私も犯人に対し強い憤りを感じているところであります。

 本県には、青銅器や多くの社寺、あるいは社寺に保存される美術品や史料といった、古代から近代に至る長い歴史の過程における、歴史・文化が豊富に継承されております。このような文化財は、学術的に貴重であるだけでなく、全県民の誇りであり、県のみならず国にとっても、かけがえのない財産であります。

 こうした文化財が、盗難等により損なわれることがないよう、より一層適切な保存・管理を図っていく必要があると痛感しております。美術館や新しくできる古代出雲歴史博物館において、所有者の依頼による管理を行うことも有効な方法であり、積極的に進めて参りたいと考えております。

 今回の事件が一日も早く解決し、貴重な文化財が無事に帰ってくることをひたすら願っております。

(答)広沢教育長

2.次に県内の文化財の管理状況についてであります。

 現在県内には五五九件の国指定及び県指定の文化財が存在しており、このうち、絵画・彫刻・工芸品などの有形(民俗)文化財が二七0件を占めています。

 これらの文化財は、文化財保護法で所有者に管理義務が課せられており、また、仏像などはそれぞれの地域で信仰の対象となっているものも多いことから、大部分は所有者自らが管理をしている状況でありますが、このところ数年は、約四十件の指定文化財を、県立博物館が寄託を受け、所有者に代わり管理をしております。

 有形文化財の所有者が管理するに当たり、専用の収蔵施設を備えている例は、一所有者当たりの所有件数が少ないことなどから、十三施設・六十五件にとどまっております。

次に文化財の管理に対する支援についてでありますが、文化財の管理については、これまで防火・防犯対策として、主に建造物を対象に、火災報知器や放水銃の設置及び維持管理、あるいは絵画・彫刻等を安全に保管するための、収蔵庫建設や、収蔵庫の防犯センサーの設置について、国・関係市町村と協調して助成を行っているところでありますが、近年は助成希望が防火対策に集中している状況にあります。

 防犯対策につきましては、これまでも毎年一月の文化財防火デーを中心に、消防・地元市町村と一体となって、防火・防犯対策について巡回指導を実施しているほか、この度の事件直後には、市町村及び所有者に対し、文書による防犯の啓発を実施いたしました。

 今後は、文化財所有者連絡協議会など、関係団体との連携を緊密にするほか、文化財防火デー以外にも、警察や市町村と連携して、施錠設備や防犯施設の整備、定期巡回の実施等、防犯体制の整備に努めてまいりたいと考えています。

更に、知事も申し上げましたが、貴重な文化財を今後とも良好な環境で保存管理していくため、新たに開館する古代出雲歴史博物館・美術館などの県機関への寄託や一定期間お預かりすることも行ってまいります。

3.次に河下台場跡についてであります。河下台場跡は、出雲市河下町の十六島湾に面して残る、二ヵ所の大砲を設置していた陣地の遺構であります。

 文献等によれば、松江藩は江戸時代後期に、藩内各所に、海防のための台場を二十数ヵ所築造した記録があります。河下台場跡は、長さ六十mと三十m、高さ約二mの規模で、周囲の石垣とともに良好に残存しております。このように、文献、遺構共に良好に残る台場跡からは、幕末の松江藩の海防の様相を検証することが可能であり、学術的にも貴重な遺構であると認識しております。

 県といたしましても、この遺構を保護していく立場で、地元出雲市が実施する調査に積極的に協力してまいりたいと考えております。

次に埋蔵文化財の保護・調査についてであります。

 埋蔵文化財は、公共工事等によって初めて発見される場合があるのも事実であります。しかし、県及び市町村では、計画的に遺跡の分布調査を実施し、その結果を「周知の遺跡」として公開しているほか、開発協議の場なども利用して、開発事業者の方々に、文化財の保護と開発との調整に関し御理解、御協力をお願いしているところであります。

 今後も引き続き、積極的に埋蔵文化財の把握と、保護に対する啓発に努めてまいりたいと考えております。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
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