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野津議員(自)

(問)教科書採択について

1.教科書会社と教育界の不明朗な関係をめぐる新聞記事があったが、本県の状況と調査の必要性について所見を伺う。

2.教科書採択地区協議会の情報公開の状況と、今後の改善について伺う。

3.市町村教育委員会の独自性を活かす点から、採択地区のあり方について所見を伺う。

(答)広沢教育長

1.まず、教科書採択にあたっての教科書会社との関係と調査の必要性についてであります。

 教科書採択につきましては採択権者の責任において、公正かつ適正に行われる必要があります。

 県教育委員会では、今までも行過ぎた宣伝行為などによって、採択結果が左右されることのないよう、教科書採択にかかわる関係者への啓発に努めるよう各採択権者へ指導してまいりました。

 今回の採択にあたりましても、各採択地区において、生徒の実態や地域性等を考慮し、主体的な判断と責任において適切な採択事務が行われたと考えておりますが、ご指摘のような行為はなかったかどうか、各市町村教育委員会及び全市町村立中学校に対し、調査研究用の見本本が適正に送付されていたか、不公正な宣伝行為と思われる事例はなかったかなどの事項について現在照会をしているところであります。この結果を文部科学省へ報告することとしておりますが、現時点では、このような事例の報告はまったく受けておりません。

2.次に、採択地区協議会の情報公開の状況と、今後の改善についてであります。

 各採択地区では、採択理由、採択事務日程等、採択地区での取り決めにしたがって、九月一日に、報道関係への資料提供や、市町村の掲示板への掲示などにより情報の公開が行われております。

 この情報の公開に係る取扱は、各採択地区或いは市町村教育委員会の主体的な判断によるものであります。県教育委員会としては、従前から、この判断を尊重しつつ、適正かつ公正な採択、採択の透明性の確保の観点から、できるだけ情報公開に努めるよう指導しております。

 今後、さらに情報公開できるものがあるかどうか、言葉を換えますと、情報開示の拡張の余地があるかどうか検討してまいりたいと考えております。

3.次に、教科書の採択地区のあり方についてであります。

 採択地区の設定は県教育委員会が行うこととなっており、自然的条件、経済的条件、文化的条件等を考慮するとともに、教育行政上の必要性等を総合的に勘案して設定するものです。本県では現在5つの教育事務所を単位として採択地区を設定しております。

 他県では、採択過程において、採択地区協議会での協議と市町村教育委員会での協議の結果の相違による問題点が生じて、新聞等で報道されたケースもあり、その矛盾を指摘する意見があることも承知しております。

 国においても、採択地区の小規模化などについて不断の見直しを求めているところであります。本県においては、本年十月一日をもって市町村合併が完了することもあり、この期をとらえ、一層適切な採択事務が進められるよう、採択地区の設定について再検討する必要があると考えております。

 次回の小学校用教科書採択までに、採択地区の小規模化について、各市町村教育委員会と具体の協議を進めながら、適正規模になるよう検討してまいりたいと考えております。

(問)歴史教科書の採択について

1.本県で採択された歴史教科書は自虐史観、日本断罪史観が色濃く表れていると考えるが、学習指導要領による歴史教育の目標を達成できるのか伺う。

2.新しい歴史教科書を作る会による「新しい歴史教科書」を読んだ感想と、他国からの教科書批判について所見を伺う。

3.今までに特定の教科書採択について働きかけがあったか、今後そのような場合にどう対処するか伺う。

(答)広沢教育長

1.次に、今回採択された教科書についての認識であります。

 採択の対象となる教科書は、文部科学大臣の検定を経て合格したものであり、その時点で学習指導要領に合致したものであるとの見解は、これまでといささかも変わっておりません。

 したがいまして、いずれの教科書が採択されましても、学習指導要領に示される目標は達成できるものと考えております。

 しかしながら、ご指摘のように、各教科書はそれぞれの編集方針があり、用語の使い方や表現方法、関連する資料等にはそれぞれ特徴があります。

 今後、採択地区で参考にされる「選定に必要な資料」の作成に当たっては、表現方法を工夫したり、必要に応じて客観的なデータを加えたりするなど、各教科書の特徴がより明確になるよう検討していきたいと考えております。

(答)知事

2.次に、議員ご指摘の「新しい歴史教科書」についてであります。

 私もこの教科書を読んでみましたが、歴史上の人物を多く取り上げたり、『読みものコラム』などを要所に配置するなどの工夫をして、歴史的な出来事が詳細に、かつ興味深く記述されている教科書であると感じました。

 また、神話をはじめ、伝統的な芸術作品や建造物なども多く取り上げられ、全体をとおして、我が国を愛するという思いが伝わってくる教科書であるという印象をもちました。

 次に、教科書批判についてであります。

 内政干渉とは、『一国家または数国家が、他の国の政治・外交などに口出しして、その主権を束縛・侵害すること』でありますが、我が国の教科書に対する他国からの批判が、この内政干渉にあたるかどうかにつきましては、国において判断されるべきことであると考えております。

 教科書の採択は、他からの圧力や働きかけに左右されることなく、あくまで島根の子どもたちの教育に最もふさわしいものを選ぶことが大切であります。本県においては、この趣旨の下に、各採択地区で、主体的かつ適正に行われたものと認識しております。

(答)広沢教育長

3.次に、教科書の採択についての働きかけに関してであります。

 今回の教科書採択に際して、各団体等から、県教育委員会に対して、書面或いは面会等により陳情や要望が二十一件ありました。

 直接に要望のあった場合はその趣旨を聞き、県教育委員会の基本的な考え方をきちっとお伝えする等の対応をしてきました。

 今後の対処についてでありますが、先ほども申し上げましたように、採択は、各採択権者の責任において行われるものであり、県教育委員会といたしましては、今後とも、採択に関する働きかけや圧力に影響されることなく、適正かつ公正な採択が進められるような環境の確保に努めるという基本的な姿勢のもとに、対処してまいりたいと考えております。


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