• 背景色 
  • 文字サイズ 

上代議員(自)

(問)領土教育と竹島について

1.領土教育の重要性と竹島問題についての所見を伺う。

2.竹島問題の学校教育について次の点を伺う。

(1)学習指導要領における北方領土と竹島の取扱い

(2)現行教科書の記述の現状について、小・中・高別に、何社中何社が記述し、その記述は具体的にどう表現されているか、また、「竹島が我が国固有の領土」と記述されている教科書の出版社名

(3)小・中・高校で使用している教科書名、出版社名及び竹島に係る記述の内容、併せて小・中・高別の竹島に係る指導の実態

3.小・中の新しい教科書における竹島の取扱について次の点を伺う。

(1)竹島について記述している出版社は何社中何社か、また、記述の表現内容

(2)「竹島は我が国固有の領土」と記述している出版社名

(3)「竹島は我が国固有の領土であるが、韓国が不法占拠している」と記述している出版社名

(4)竹島について全く触れていない出版社名

4.新しい教科書が現行教科書と比較して変化があったとすれば、どのような背景があったと考えるのか伺う。

5.平成十八年度教科書の採択について次の点を伺う。

(1)採択の仕組みとスケジュール

(2)県教育委員会の採択に関する役割と権限

(3)採択基準とルール

6.前回平成十三年の採択の際に特定の出版社の歴史教科書を採択しないよう妨害した団体があったと聞くが、本県の実態について伺う。

7.採択にあたって、教育公務員がしてはならない規範があるのか伺う。

8.来年度の新しい教科書の採択にあたり、県として努力・指導助言を行うべきと考えるが、所見を伺う。

(答)知事

1.次に、領土に関する学校教育の重要性と竹島問題についてであります。

 国家そのものの存立の基盤である領土について正しく認識することは、国民として当然のことであります。そのためにも、学校において日本の領土について学習することは極めて重要なことであり、学習指導要領でも、日本の領土について、小学校・中学校・高等学校と、児童生徒の発達段階に応じて指導することとしております。

 本県では、昨年から、文部科学省に対して、学習指導要領の中で竹島を取り上げることを、また、教科書会社に対しては竹島問題を取り上げ教科書に記載することを、それぞれ要望してきたところであります。

 その結果、今回の検定に合格した中学校の教科書の中で、竹島について記載した教科書が増えたことは、竹島問題に対する理解を深める上で、喜ばしいことであります。

 今後も、国や教科書会社に対する要望を継続し、竹島を通じて、日本の領土問題を正しく認識できる児童生徒が一人でも多くなるよう取り組んで参ります。

(答)広沢教育長

2.(1)まず、北方領土と竹島の、学習指導要領での取り扱いについてであります。

 学習指導要領では、日本の領土について、小・中学校の社会科や、高等学校の「地理」・「現代社会」・「政治経済」の各科目において指導することとなっております。

 その中で、北方領土については、中学校において、「北方領土が我が国の固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること」と明示されておりますが、竹島について具体的に指導するようにとの記載は、小・中・高を通じて、学習指導要領にはありません。

(2)次に、現在使用されている教科書における、竹島に関する記述についてであります。

 まず、小学校社会科では、全5社とも記述しておりません。

 中学校社会科では、歴史的分野では全8社とも記述しておりませんが、地理的分野で7社中1社、公民的分野で8社中1社が記述しております。

 高校では、地理で6社中4社、日本史で8社中2社、現代社会で12社中3社、政治経済で11社中3社が、それぞれ記述しております。その内容は、例えば、「日本と韓国の間には、日本海の竹島を巡る問題がある」等であり、「竹島は我が国固有の領土である」と明記した教科書は、扶桑社の中学校公民のみであります。

(3)次に、県内の小・中・高校で使用している教科書と、指導の実態についてであります。

 県内の公立学校においては、小学校社会科は東京書籍の教科書を、中学校社会科では東京書籍と帝国書院のものをそれぞれ使用しておりますが、いずれにも竹島に関する記述はありません。

 また、県立高校においては、地歴科・公民科において、科目別、学校別に計12社・35種類の教科書を使用しており、そのうち地理の東京書籍・二宮書店・教育出版、現代社会の一橋出版、政治経済の清水書院の計5社・6種類の教科書に、竹島についての記述があります。

 その内容は、「200海里の設定には領土が問題となり、竹島の領有権問題が再燃することになった」などであります。

 また、本県の学校現場における指導の実態については、昨年度来、竹島について指導している県内の公立学校は、小学校では269校中73校(27%)、中学校では107校中91校(85%)、高校では45校中45校(100%)であります。

 各学校では、教科書以外にも資料集や新聞記事など、多様な教材を工夫しながら、小・中学校では社会科、高校では地歴科・公民科を中心に、「我が国の領土」や「我が国の歴史」、「国際社会の動向」、「島根県の地理・歴史」など多岐にわたる内容と関連させて指導しております。

 この中には、水産高校の「漁業」の授業で扱うなど、竹島を地域産業と関連させた形で指導している学校もあります。

3.4.次に、新しい教科書における竹島の記述についてであります。

 校種別に申し上げますと、小学校では、もう既に今年から、改訂された教科書を使用しておりますが、さきほど申し上げたとおり5社とも記述されておりません。

 今回検定に合格した中学校用教科書では、地理的分野で6社中2社、公民的分野で8社中3社が記述されております。歴史的分野は8社とも記述されておりません。

 このうち、ご指摘の「竹島は我が国固有の領土」と記述されている教科書は、「扶桑社」の公民と「東京書籍」の公民の2社、加えて「韓国が不法占拠している」と記述されているものは、「扶桑社」の公民の1社であります。

 地理、公民とも竹島に関してまったく記述がなかったのは、教育出版、清水書院、日本文教の3社であります。

 竹島に関して記載されている教科書が、これまでの2社から5社となった背景には、県及び教育委員会による、国や教科書会社への要望活動の成果があったものと評価しております。

5.6.7.8.次に、教科書採択についてであります。

 市町村立の小・中学校で使用される教科書は、県内に五つある採択地区ごとに協議を経ながら、八月三十一日までに各市町村教育委員会の権限で採択されます。

 各採択地区においては、地区を構成する教育委員会代表者及び保護者代表等を委員として協議会を設け、独自に行われる教科書の調査・研究の結果や、県教育委員会の指導、助言等を参考に協議が進められることとなります。

 この教科書採択に際して県教育委員会の指導、助言として、採択手続きに関する一般的な基準である「採択基準」や「選定に必要な資料」等を各採択権者に提供しております。また、採択が外部からの働きかけによって左右されることなく、適正かつ公正に行われるよう、静ひつな環境の確保に努めているところであり、教育公務員としても、公正な採択事務を妨害するような行き過ぎた行為は、厳に慎むことが必要であります。

 一方、国においても各教科書発行者に対して、独占禁止法等に基づき宣伝行為について厳しく指導を行っておりますし、教科書業界においても自粛措置がとられております。

 こうした状況の中、前回、平成十三年度でありますが、前回の採択において、各種団体等から様々な要望はありましたが、県内では、ご指摘のような妨害行為等があったという報告は受けておりません。

 先ほども申し上げましたように、今回、竹島について記述された中学校社会科の教科書が増えましたことは、文部科学省、教科書発行者への要望活動の成果であると、一定の評価をしておりますし、また、本県の児童・生徒が県民として竹島の歴史や現状を学ぶことは、望ましいことであると考えております。

 しかし、教科書の採択は、竹島の記述の有無だけで判断されるものではなく、総合的、客観的な視点から検討し、各採択地区の児童生徒にとって、最もふさわしい教科書が採択される必要があると認識しております。

 県教育委員会といたしましては、採択事務が、静ひつな環境の中で適正かつ公正に進められるよう引き続き指導助言してまいります。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp