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原議員(自)

(問)教育問題について

1.中央教育審議会が打ち出した学習指導要領改正や教育委員会制度見直しの内容と、それらに対する評価を伺う。

2.義務教育費国庫負担金問題について、文部科学省、全国知事会どちらの考え方を支持するか伺う。

3.一般財源化が実現すると、島根の教育はどう変わるのか、あるいはどう変えたいのか、所見を伺う。

4.人事権移譲について所見を伺う。

(答)知事

1.次に、学習指導要領と教育委員会制度の見直しについてであります。まず、学習指導要領の見直しについては、基礎的な知識・技能を徹底して身に付けさせ、それを活用しながら自ら考える力などの「確かな学力」を育成し、「生きる力」をはぐくむという現行の学習指導要領の基本的な考え方は今後も維持することが適切であるとされております。その考え方の上に立って、義務教育の目標の明確化、学習指導要領の各教科の到達目標の明確化、総合的な学習の時間の在り方などが検討されているところであります。

 義務教育は人材育成の基盤であるという観点から、学習指導要領の一層の改善・充実のための検討はぜひとも必要なことと考えております。

 次に、教育委員会制度の見直しについては、教育委員の数や任期などを自治体が選択できるようにするなどの教育委員会組織の弾力化や、首長と教育委員会の権限分担の在り方、教育委員会の役割の明確化などが検討されているところであります。

 教育委員会制度の基本的な事項は国が定めた上で、自治体がそれぞれの実情に応じて、判断・決定できるようにしようとするものであります。

 このことにより、制度そのものを活性化させ、教育行政の責任ある担い手として、地域の課題に主体的に取り組み、教育の充実と質の向上が図れるものと評価しております。

 中央教育審議会におけるこのような見直しによって、県と市町村が一体となり、豊かな自然や歴史・文化などの恵まれた教育資源を生かした本県の特色ある教育が今後一層充実・推進できるものと期待しております。

(答)広沢教育長

2.3.まず、義務教育費国庫負担制度と今後の本県の教育の在り方についてお答えします。

 義務教育において、教育の機会均等と教育水準の維持向上は、基本理念であります。

 その基本に立って、地方分権推進の大きな流れの中で、地方の自主性・自立性を高め、かつ、地域の実情に即した特色ある教育施策を展開し、未来を切り拓き、心豊かでたくましい子どもを育成していくことが時代の要請であります。

 本県では、小学校における三十人学級や中学校におけるクラスサポート事業、LD、ADHDなどの発達障害児童への支援のためのにこにこサポート事業など、国の基準を超える独自の取組を実施しており、児童生徒の実態や保護者のニーズに応じた、特色ある教育施策を展開しているところであります。

 義務教育費国庫負担制度の在り方につきましては、中教審において審議されているところであり、一方で、一般財源化に向けての議論も行われているところであります。

 いずれにしましても、私としましては、財政規模が小さく、離島や中山間地域を多く抱える本県においては、基本理念である教育の機会均等と教育水準の維持向上を保障するため、教育に充当できる必要な財源が、総体として確保されることをもっとも重視しているところであります。

 また、このような状況下にありましても、島根の教育の在り方につきましては、現在進めている様々な取組を推進、充実させていく方針にいささかも変更を生じるものではありません。

 社会や人との関わりの中で、自分の生き方を考え、行動していく力や問題解決能力を身につけるとともに、豊かな心や健やかな体をもつ、知徳体の調和のとれた子どもの育成をめざして、教育を推進しているところであります。

 特に、ふるさと教育を推進し、ふるさとに愛着を深め、ふるさとに誇りを持つ子どもの育成や、地域の優れた教育力を生かした教育の推進、個に応じたきめ細かな指導ができる少人数指導の充実、拡大など、島根の特色を十分に生かした教育の推進に全力で取り組んでいく考えであります。

4.次に、教員の人事権の委譲についてであります。

 東西に長く、中山間地が多く島嶼部があるという地理的な条件や、小規模校が非常に多い学校の現状、教職員の生活の本拠地の偏在化等の本県の状況を勘案しますと、県内全域における教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るためには、今直ちに教員の人事権を移譲することについては、課題が多いと考えております。

 一方、地方分権が進む中、地方に権限を移譲し、地方の実情に応じて弾力的な運用を図ることは、必要なことであり、現在、国においても人事権を市町村教育委員会へ移譲することについて、検討が行われているところであります。

 ご承知のように、この人事権には、採用権、人事配置権、給与決定権など様々な権限が含まれており、県内の市町村がどのような権限を要望されているのか必ずしも明確でなく、市町村によって権限に対する考え方が異なることから、それらを明らかにし、論点を整理する必要があります。

 その上で、現行制度のメリットを勘案し、島根県の全ての子どもたちの教育にとって何が一番大切かを念頭に置いて、権限移譲の可能性について慎重に検討していきたいと考えております。

 

【参考】

(問)義務教育費の国庫負担金問題等について

1.教育における国と地方の役割分担に係る中央教育審議会での議論について伺う。

2.地方六団体が指摘している義務教育制度の硬直性について伺う。

3.一般財源化が実現すると、島根の教育はどう変わるのか、あるいはどう変えたいのか、所見を伺う。

4.人事権委譲に係る市町村との協議における知事の役割と、結論を出す時期について伺う。

(答)知事

1.原議員の御質問にお答えいたします。

 まず、教育における国と地方の役割分担に係る議論についてであります。

 御承知のとおり、義務教育のあり方については、昨年十一月の「政府・与党合意」を受け、現在、中央教育審議会の義務教育特別部会において精力的に議論が重ねられています。

 これまでの部会の議論では、国の役割は、学校制度の基本的な枠組みの制定や、教育内容に関する全国的な基準の設定を行うこととされ、その上で、地方の役割は、それぞれの地域の実情に応じ、主体的に教育の質を高め、地域における最適な教育環境を実現することとされています。

 そして、さらに国、都道府県、市町村それぞれが、その役割を果たすために必要な財源措置を行っていくことが必要であるとされています。

2.次に、地方六団体が義務教育について指摘している内容についてであります。

 地方六団体としては、地域の特色を活かした多様な教育を展開するために、地方の教育の自由度をより一層拡大する必要があると考えています。

 そのためには、全国的な教育水準や基本的な制度設計については、引き続き国が責任をもって定めることとした上で、地方の知恵と裁量が十分に発揮できる仕組みづくりが重要であり、義務教育に係る国庫負担金の一般財源化も、こうした観点から主張しているところです。

3.次に、今後の島根の教育についてであります。

 私は、島根の自立のためにも、人づくりは全てに通ずる基本政策であり、とりわけ、次代を担う子どもたちの教育が重要であるとの観点に立って、教育の推進に取り組んできました。

 そして、子どもたちに、ふるさとへの誇りと、たくましく自らの力で未来を切り拓いていく意志や、人に対する思いやりの心を持った大人に育ってほしいと願っています。

 そうした子どもたちを育むために、義務教育における地方の自由度・裁量度を高め、地域の知恵を結集して、地域の個性を生かした特色ある教育をより一層推進していきたいと考えています。

4.次に、小中学校の教員人事権の移譲についての御質問にお答えします。

 先般開催したトップミーティングにおいて、権限移譲に関する意見交換を行い、県と市長会・町村会が協力連携して協議する場を設け、具体的に進めていくことを確認しあいました。

 教員人事権全般の移譲については、現在、中央教育審議会で中核市への移譲が検討されており、先日閣議決定された「骨太の方針」においても、次世代育成のための教育改革の取組みとして、「教員人事権移譲など市町村の責任の確立を図る」ことが明記されています。本県としても、これらの流れを踏まえつつ、移譲について検討を行う必要があると考えています。

 ただ、県全体の適正配置が可能かといった見極めなければならない現実の問題も多々あり、まずは市長会・町村会を含めた関係機関で、年内を目途に論点整理を行うよう、指示をしたところです。

 地方分権時代における教育のあり方、また、明日の島根を担う子ども達の教育にとって何がベストかの視点に立って、あるべき姿や現実の問題点を踏まえ、虚心坦懐に徹底議論をし、島根県として良い方向を探っていきたいと考えています。


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