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島田議員(自)

(問)教育の実施体制について

1.十年後に四十歳以上の教員が七五%を占めることが予想され、小学校のように子供との年齢差が大きい現場のことを考えると、教育の質が確保できると思えないが、所見と今後の対策について伺う。

2.現在島根大学とどのような関係を持っているのか伺う。

3.本県唯一の教員養成課程を持つ大学との連携は重要で本県教育にも良い影響があると思うが所見を伺う。

(答)広沢教育長

1.まず、十年後の教員と小学生の年齢差についてお答えします。

 ご指摘の通り、現在小中学校の教員の年齢別人数は三十六歳から五十歳ぐらいまでが多くなっており、このまま推移しますと、十年後の年齢構成は、校長、教頭の管理職を含め、約七十五%が四十歳以上となります。

 しかし、現在でも四十歳以上の教員が小学生と一緒になって活動し、子どもたちの気持ちを理解しながら、教育活動を行っているところであり、教員と小学生との年齢差にかかわりなく、小学校段階に必要な教育が十分確保されていると考えております。

 特に小学校では、学習習慣や生活習慣を定着させることが重要であり、むしろベテランといわれる教員の指導力が必要であります。

 また、家庭の教育力の充実を図る意味でも、保護者が相談しやすく、家庭と学校が一体となって子どもを指導するという重要な役割を、ベテランの教員が担っています。

 一方、学校には、若年層の先生のバイタリティや子どもと年齢が近い親しみやすい教員の存在も必要であります。

 今後の対応策といたしましては、年齢、性別等にかかわりなく、すべての教員が、十分に児童生徒を理解し、一人一人に応じた対応ができるよう、新しく構築いたします教員の評価制度などを活用し、教員の資質向上を図ることとしております。

 さらに、教員定数が減少する中ではありますが、若年層の採用数も引き続き確保しながら、今後一層、年齢や男女比などバランスのとれた教員配置ができるよう努めて参ります。

2.3.次に、島根大学との連携についてであります。

 島根県の教育の充実発展に資するため、教員の資質能力の向上及び教育上の諸問題への対応を図るための基礎的、実践的研究を相互に連携協力して行う目的で、県教育委員会は、島大の教育学部との間で、平成十五年一月に、「連携協力に関する覚書」を交わしまして、積極的に連携を図ってきております。

 教員養成を支援する立場から、県が実施している連携の事例としては、平成十五年度、十六年度には、「放課後学習チューター配置に係る実践研究事業」これは、放課後の学習相談をはじめとした児童生徒へのきめ細かな指導の充実を目的とした事業であります。昨年度から始めております「学力向上支援事業」これは、社会人及び島根大学教育学部の学生が、児童生徒の学習支援を行うことを目的とした事業であります。といった事業を行っております。こうした事業に大学生が参加することで、児童生徒と積極的にふれあい、教員としての素地を培うことにつなげております。

 また、県教育委員会からは教育学部へ三名の教員を派遣し、島根大学独自の取り組みである、大学生の教育体験活動の一つ「一〇〇〇時間体験学修」の支援を行い、教員養成の一端を担っているところです。

 同様に、島根大学教育学部と連携協力の関係にある市町村は県内に十一あります。教育学部の学生が市町村の学校や社会教育施設で児童生徒への支援活動を行ったり、大学の教員が学校へ出向いて教職員研修の講師として指導にあたるなどの例が報告されています。

 なお、県内の多くの学校で教育実習生を受け入れていますが、松江市では、島根大学の教育実習協力校として依頼された小学校十校、中学校八校で教育実習生を受け入れ、指導にあたっております。

 今後、私を含め、双方の関係者で構成する「連携協力推進会議」で、教員研修のあり方や学力向上策について、具体的な取組の可能性を研究、検討していくこととしております。

(問)教育の内容について

1.本県の総合学習に対する基本的な考え方、指導主事が行う現場への指導内容及び総合学習を行ってきた効果について伺う。

2.宿題の時間の基準を設けて行うべきと考える。また、保護者と一緒になった学習環境づくりを行うことで、保護者の意識も変わり、学校と家庭の連携もよくなると考えるが所見を伺う。

(答)広沢教育長

1.次に、総合学習についてであります。

 総合的な学習の時間は、自然体験や社会体験、観察、実験、見学・調査などの体験的な学習、問題解決的な学習を通して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てたり、自己の生き方を考えることができるようにすることをねらいとした学習です。

 今年度から、本県独自に開始したふるさと教育も、学校と地域とが一体となって、ふるさとを愛し、ふるさとにほこりをもち、心豊かでたくましい子どもの育成を図ることを目的とした心の教育として、この総合的な学習の時間を中心に県内すべての小中学校で取り組んでいるところです。その手法といたしましては、各学校ごとにそのテーマを設定いたしまして年間一定の時間を配分いたします。そして、また、地域人材の積極的な活用を図るなど、体系的・連携的に取り組んでおります。

 このような中、各教育事務所の指導主事は、総合的な学習の時間の本来のねらいが達成できるように、

・具体的な目標やねらいを明確にすること

・授業時数の確保に努めること

・信頼性や客観性のある評価を工夫すること

などの指導に努めております。

 総合的な学習の時間が正式に導入されて、三年が経過し、その間に県内の多くの小中学校では、「自分で課題をもち、自分で追求していく姿勢が育ってきた」、「人々との触れ合いを通してコミュニケーション能力や表現力が育ち、主体的に学習に取り組むことができるようになった」などという成果が増えつつあり、一層その必要性を感じているところであります。

2.次に家庭での学習習慣についてであります。

 平成十五年度に実施した教育課程状況調査の結果によりますと、家庭での学習習慣を身に付けている児童生徒は、そうでない児童生徒よりも、問題の正答率が高く、ペーパーテストとの関連が数値として明確になりました。

 中でも、「宿題は必ずするようにしている。」との質問に肯定的な回答をした児童生徒の結果は、すべての教科において、そうでない児童生徒の結果よりも高い正答率を示しております。

 県教育委員会では、こうした結果に基づき、学年等に応じた課題を与え、家庭での学習の習慣化が図られるよう、各学校を指導してまいりました。

 また、調査結果をまとめたリーフレットを、小中学校のすべての保護者に配布し、家庭での学習習慣づくりについて、理解を求めているところです。

 なお、児童生徒が自ら健康の大切さに気付き、正しい生活習慣を身につけることができますように、家庭学習や健康・体力も含めた健全な生活習慣づくりについて検討を今年度から始めたところであります。県PTA連合会の取組とも連携を深めながら、学習環境づくりにも、一体となって取り組んで参ります。

【参考】

(問)義務教育の問題について

1.地方交付税の厳しい見直しが進められている状況の中で、今回の政府決定についての所感と、今後どのような姿勢で国に対して臨むのか、翻って、県民に対してはどのように説明していくのか伺う。

(答)知事〈政策企画局〉

1.島田議員の御質問にお答えいたします。

 まず、義務教育費国庫負担金に係る今回の政府・与党合意についての所感と、今後の国や県民に対する取組み姿勢についてであります。

 これまで地方六団体では、義務教育費国庫負担金を全額一般財源化することにより、地方の創意工夫を活かしながら、地域の実情に合った教育を実施し、地方の自主性、自立性を高めるべきと主張してきました。

 残念ながら、今回の結論では、税源移譲を行うに当たって、一般財源化ではなく、国庫負担率の引下げで対応することとされましたが、これでは、国に権限や財源が残ることになり、地方の自由度を高めることにはなりません。

 したがって、今後も引き続き、国と地方の適切な役割分担を含む義務教育のあり方全般について、幅広く検討し、地方の自由度を高める視点に立って、国に対し地方の考えを主張していく必要があるものと考えています。

 このことは、今回の政府・与党合意においても、今後、義務教育等のあり方や、国、都道府県、市町村の役割について、引き続き検討するものとされているところです。

 また、義務教育のあり方を含めた真の地方分権改革の実現のためには、住民の皆さんの理解が不可欠です。県としては、新聞等による広報や、講演会、セミナーの開催など、様々な機会を活用して情報提供に努め、議論を深めていただきたいと考えています。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
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