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浅野議員(自)

(問)古代文化研究センターについて

1.古代文化研究センターの建設を再び延期と発表したが、その経過について伺う。

2.八雲立つ風土記の丘資料館の改修と変更される展示の内容はどのようなものか伺う。

3.今博物館で調査している研究員は将来どうなるのか伺う。

(答)知事

1.厳しい財政状況を踏まえて、古代文化研究センターの建設延期を決定した平成十五年五月以降、同年末の地財ショックを受け、平成十六年十月に「中期財政改革基本方針」を策定し、歳入歳出全般にわたるかってない大胆な財政改革に取り組んでまいりました。

 しかしながら、建設再開の可能性を検討していた平成十八年度においても引き続き財政危機回避に向けて強力な対策を行わざるを得ない状況にあります。

 したがって、平成十八年度までの建設着手は困難であり、また平成十九年度以降も財政状況が急激に改善されるとは見込まれず、現在凍結している高校校舎等他の施設の整備の取扱などを踏まえながら、今後引き続き検討していくこととしたところであります。

 なお、本県特有の古代文化に関わる調査研究は、古代出雲歴史博物館の展示と両輪をなす不可欠なものであり、既存施設を活用しつつ着実に推進してまいりたいと考えております。

(答)広沢教育長

2.八雲立つ風土記の丘資料館は、昭和四十七年の開館後三十年以上が経過し、老朽化が進んでおります。このために発生している屋根や外壁からの雨漏り対策や、ユニバーサルデザインをとりいれて障害者や高齢者の方々子どもたちが快適に利用できるようにするなど、今現在で緊急に必要な改修を行うものであります。

 展示については、古代出雲歴史博物館の開館に伴い、これまで県内全域の歴史について紹介していたものを、風土記の丘一帯の歴史・文化に特化するものであります。

 新しい展示では、古代出雲の国造りの中心地であった風土記の丘地域に、奈良時代の地形や建物の模型を新たに設置し、来館者がこの地域全体を一目で概観できるようにしたいと考えております。

 また、この地域内から出土した見返りの鹿に代表される埴輪や、岡田山古墳の銘文入りの大刀などを展示して分かりやすく解説し、小学校六年生の教科書掲載により今後増加すると考えられる児童・生徒をはじめ、多くの来訪者に、実際の史跡などに行ってみようと思っていただけるようにしたいと考えております。

3.平成四年度には、県が設置する研究組織としては全国に稀な古代文化センターを創設し、スタッフの増員など研究体制の拡充を図りながら、古代文化、伝統芸能、祭礼行事などの調査研究並びに古代出雲歴史博物館の開館に向けた諸準備を進めてきたところであります。

 現在十六名いる古代文化センターの調査研究スタッフは、平成十八年度からその半数は古代出雲歴史博物館において学芸スタッフとして、また半数は今の県立博物館の建物を活用して調査研究活動を継続する古代文化センターの研究スタッフとして、相互に連携しながら、業務の推進にあたることとしているところであります。

 調査研究にあたっては、県の調査研究スタッフを中心に、国内の大学、博物館、研究機関と共同研究を行うほか、テーマに応じて県内外の専門の研究者を客員研究員(二十数名を予定)として委嘱し、また、嘱託研究員を別途活用するなど研究体制の充実を図っていく考えです。

(問)古代出雲(王朝)について

1.神在月は、全国の神が出雲の王に貢ぎ物をするために参集したとの説があるが本当か。

2.奈良王朝より五百年前に日本の中心勢力は出雲であったのに、国立の施設がなぜ奈良に設置されたのか、残念に思うが、所感を伺う。

3.本来国が、出雲王朝が日本の古代文化の中心であったとの関心を高め、国立施設を建設して取り組むべきだと思うが、知事の意欲を伺う。

4.古代文化の中心勢力が出雲王朝であったことの研究を進め、学者の世界でも認知されるよう取組をされたい。また、研究機関の名称もその意欲が見えるよう変えていただきたいが所見を伺う。

(答)知事

1.出雲に神々が集う伝承は、少なくとも十二世紀半ばには、記録が記されており、なぜ出雲に集うのかについては諸説があるうえ、時代によっても異なっていると承知しております。例えば、

・十月のみ、出雲大社祭神が日本を支配する故に、神々は出雲に集まるという説。

・イザナミが十月、出雲で崩御し、比婆山に埋葬された。イザナミは神々の母であるので、崩御した時、崩御した場所へ、神々は孝行のために集まるというイザナミの法事説等々

 なぜ、出雲に全国の神々が集うのか、日本文化の深遠な思想を探求するうえで重要な課題であると思っております。

 いずれにしても、旧暦十月に全国の神様が集うと言われている出雲の特異性を全国発信して、島根のもつ古代イメージの浸透を図っていきたいと考えております。

2.3.国内の国立の博物館や研究機関が設置されたのは、明治から戦後まもなくにかけてのことであります。

 これらの施設は、主にそれまでの研究成果や遺跡が集中していることなどから適地として建設されたものと思われます。

 出雲地域は、神話などでは、その特異性が指摘されておりましたが、歴史を証明する資料が明らかになってきたのは、戦後それもここ二十年来のことであります。

 日本の歴史文化を調査研究するためには、各地域の文化を深く研究することが肝要であり、そのためには、まずは地域自らが担い手となって進める必要があります。(※国鉄時代の友人との話の中で、出雲のことを話すと、神話はあっても、証拠がないじゃないかと言われたが、現在、荒神谷遺跡の銅剣、加茂岩倉遺跡の銅鐸、出雲大社の柱など証拠も出てきている。)

 こうした考えに基づき、平成四年度には、県が設置する研究組織としては全国に稀な古代文化センターを創設したところです。

 今後、国立の研究機関などとの共同研究を行い、出雲文化の特質を明らかにするとともに、出雲地域の歴史上の位置づけや重要性を高めていく中で、ご質問のような国立の施設建設の可能性についても研究すべき事項と考えております。

(答)広沢教育長

4.先ほど知事が申しましたように、島根の古代文化には、大量の青銅器、特異な形の「四隅突出型墳丘墓」や「出雲の神話」、全国で唯一完全な形で伝えられた「出雲国風土記」、全国最大級の「勾玉」などの生産地、全国の神々が集う「神在月」、文化財の宝庫「出雲大社」、数々の神事・民俗芸能等々、この島根の地で育まれた伝統文化と歴史的遺産が豊富に存在しています。

 まず、こういったことをPRすべきですし、今後とも、このような素材を基にして、調査研究活動を継続し、奈良文化財研究所や全国の大学とも幅広く連携し、古代出雲の歴史的価値を多くの研究者に認識してもらえる取り組みを進めていきたいと考えております。

 また、東アジア全体も視野に入れながら、古代出雲の実像を解明する「出雲学」の構築を進めて参りたいと考えております。

 調査研究機関の名称についても、古代文化の研究の拠点にふさわしい名称を今後検討していきたいと考えております。


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