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岩田議員

(問)北朝鮮の問題について

1.県教委は始業式までに細かい対応指針を示す、あるいは、学校ごとに検討を指示すべきだったと考えるが、所見を伺う。

2.今回の文部科学省通知を受けて、教育委員会の現段階、及び今後の対応について伺う。

3.県立学校における危機管理対応方針の策定や避難訓練の実施について、所見を伺う。

4.市町村教育委員会と、今後どのように連携を図っていくのか伺う。

5.幼稚園・児童クラブ・放課後子ども教室に対しては、誰がどのように対応すべきか、所見を伺う。

6.今回の一連の事案を、平和の尊さを改めて実感できる機会にしてもらいたいと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.6点のご質問にお答えをいたします。

 まず北朝鮮による弾道ミサイル発射への県教育委員会のこれまでの対応についてであります。

 県教育委員会は、県立学校及び市町村教育委員会に対しまして、これまで3回にわたり、この問題に関する通知を行いました。

 最初は、今年4月24日付け通知であります。これは防災部の指示を受け、弾道ミサイルが落下する可能性がある場合にとるべき行動として、頑丈な建物や地下などに避難する、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守る、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋に移動する、ことを内容とするものでありました。

 2回目は、8月22日付け通知であり、これは、文部科学省からの要請を受けて、落下物を発見あるいは被害を受けた場合の対応として、決して近寄らず、警察・消防に連絡する、被害状況を文部科学省へ情報提供することを内容とするものであります。

 3回目は、9月11日付け通知であり、これも文部科学省からの要請を受けて、危機管理マニュアル及び学校安全計画等の見直し、児童生徒の避難誘導等の安全確保の方策などを内容とするものであります。

 議員からは、学校の具体的対応について、2学期の始業式までには指示すべきだったとのご指摘がありました。

 県立学校については、お盆明けから9月1日に始業式を迎えた例が多いため、多くは4月24日付けの最初の通知だけで対応することとなりました。

 一方、小中学校についても、8月28日から9月1日に始業式を迎えた例が多いため、8月22日付けの2番目の通知までによる対応となりました。

 県立学校・小中学校のいずれにおいても、9月11日付けの3番目の通知は間に合わなかったので、文部科学省から要請のありました学校における危機管理マニュアル等の見直しについては、今後対応することになります。

 県教育委員会が、これまで以上のような対応を取ってきた考えは、次のとおりであります。

 あってはならないことですが、そもそも我が国の領域が直接攻撃される事態については、その対処のあり方が島根県国民保護計画に明確に記述されており、学校もそれに従って対処することになります。

 一方、ミサイルが我が国領域の上空を通過し、万が一、領域内に落下する可能性を考慮した対応のあり方については、現在の国民保護計画には定められていません。

 したがいまして、国民保護計画のいわば「空白」となっている事態にどう対処すべきかという問題に対して、島根県教育委員会が合理的根拠もなく、独自の判断により、学校現場に対して個別具体の対処のあり方を指示するということは好ましいことではないとこれまで考えてきました。

 このため、防災部の指示、あるいは国からの要請を根拠に、その内容を学校等に通知してきたところであり、これまでの対応で特段の問題は生じていないと考えております。

 

2〜5.次に、文部科学省の9月8日の通知を受けての県教育委員会の今後の対応について、関連する4つのご質問に一括してお答えをいたします。

 まず、9月8日付けの文部科学省からの要請により、県立学校においては、島根県の国民保護計画を参考にしながら、地域の実情に応じた具体的な対応方策について検討した上で、危機管理マニュアル及び学校安全計画等の見直しを進めていくことが求められております。

 議員からもご指摘がございましたが、この見直しに際して、学校現場からは何らかの指針を示して欲しいとの声を聞いておりますので、県教育委員会としては、今後早急に防災部と協議・調整を進めた上で、危機管理マニュアル等の見直しに関する素案を作成し、来月上旬頃には県立学校へ提供したいと考えております。

 また、県立学校における避難訓練については、学校単独での訓練というよりも、所在する市町村が主導する避難訓練の計画の中に位置付けられた上で、その訓練に参画するやり方が現実的だと思います。

 なお、自然災害を想定した防災訓練や原子力防災訓練なども、全てそのような枠組みで実施しており、ミサイル発射だけ異なった対応を行うことは好ましくないと考えております。

 また、小中学校の学校設置者である市町村教育委員会に対しても、県立学校に示す「見直しの素案」などを情報提供し、参考にしてもらいたいと考えております。

 また、幼稚園、放課後児童クラブ、放課後子ども教室における対応のあり方につきましても、先に述べました「見直しの素案」などを健康福祉部や市町村教育委員会等に情報提供することにより、それぞれの設置者に参考にしていただきたいと考えております。

 

6.最後に、今回の一連の事案を平和の尊さを改めて実感できる機会とすることについて、お答えをいたします。

 教育基本法には、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」とあり、各学校においては、道徳や社会等の教科や総合的な学習の時間などを使い、社会の中で起こっている現実の様々な事象も活用しながら平和教育を行っております。

 一方、この度の一連のミサイル発射の事案を平和学習の素材とすることは、様々な観点を勘案し、難しい面があると考えております。

 まず、ミサイル発射や核実験は架空の話でも終わった話でもなく進行中の事案であり、現に子どもや多くの県民が不安や危機感を抱いている中にありまして、この事案を直接的な学習素材として平和学習に結び付け、授業計画を組み立てるのは難しい面があり、関連付けるための教育上の配慮は実際には容易でないことがあります。

 仮に関連付けた教育を行おうとする場合には、子どもたちが強い恐怖感を感じて心理的に大きな痛手を被ってしまうことも想定しなければならず、スクールカウンセラーをはじめとした対応にも慎重を期す必要があります。

 したがいまして、学校教育において、この事案とは切り離し、平和で民主的な国家及び社会を実現するという理念のもとで、平和教育・平和学習を進めていくことが大切であると、このように考えております。以上であります。

 

(再質問)今後、国民保護計画にない空白の事象があった場合、独自の判断は控えるのか。ぜひ現場の立場で支えていただきたい、主体的に動いていただくことが時として必要かと思うが、そのあたりの認識を伺う。

 

(答)教育長

 お答えをいたします。一般論として学校現場を支えるために、国の指示・要請がなくとも主体的に判断をしていきたい、このように考えております。

 ただ、一方、今回のケースは、北朝鮮による弾道ミサイルあるいは核実験の問題でありますが、県立学校・小中学校の2学期が開始されて以降、急速に緊迫感、切迫感が増した状況にあると思います。

 その中で大変デリケートな問題でもあり、また児童生徒への教育上の配慮をどのようにすればよいのかという悩ましい問題もございました。

 今回のケースにおいては、独自の判断を行わなかったものでございます。以上であります。

 


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