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角議員

(問)新学習指導要領について

1.今回の新学習指導要領改訂について、教育長はどのように受け止めているか伺う。

2.学校長及び教員の研修も重要となってくるが、現段階でどのような研修を行う予定か伺う。

3.新教育要領、新保育指針の実施に向けて、どのような研修を実施していく予定か伺う。

4.幼児教育指導を各市町村に任せるのではなく、県が主体となって指導員を確保し取り組むべきと考えるが所見を伺う。

5.現段階で小学校教諭の中で、外国語の教員免許を持つ教員はどのくらいいるのか伺う。

6.小学校における外国語教育のための教員等を確保していく必要があると考えるが、所見を伺う。

7.小学校での外国語科が創設されることによって、さらにネイティブな指導者が必要だと考えられるが、所見を伺う。

8.子どもたちにとって授業時間数が増え、新たな負担になるのではないかと心配するが、所見を伺う。

(問)通学路の安全確保について

9.危険から身を守るために地域の安全に関する教育はどのように行われているか伺う。

 

(答)教育長

1.9点のご質問にお答えをいたします。

 まず、学習指導要領改訂に関する所感についてであります。

 これまでの経緯を含めて、お答えをいたします。

 平成18年の教育基本法改正に併せて一部改正された学校教育法において、学力の重要な要素が次の三つであるという考え方が示されました。一つは、基礎的・基本的な知識・技能。二つ目が、知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等。そして三つ目が、主体的に学習に取り組む態度。この「学力の三要素」が法律上位置付けられたところであります。

 これを受けて改訂された現行の学習指導要領は、教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成すること、そして、知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視し、確かな学力を育成すること、さらに、道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成すること。これらを基本方針として作成されたものでございます。

 そして、次期学習指導要領では、こうした学力観がより鮮明になるとともに、議員からご指摘のありました「社会に開かれた教育課程」が、キーワードとして強く打ち出されております。それは、これまで以上に、「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」という理念を学校と社会とが共有すること。それぞれの学校において、必要な学習内容を「どのように学び、どのような資質・能力を身につけられるようにするか」ということを教育課程を通して明確にすること。その上で、学校と社会との連携・協働により、その実現を図っていくこと。こうした方向性が求められることになります。

 これは、変化の激しい社会の中で生き抜いていく力を児童生徒に身につけさせたい、という考え方に基づくものであり、望ましい方向性であると認識しております。

 なお、島根県におきましても「島根の子どもたちに身につけてもらいたい力」とは、これからの社会の中で生き抜いていく力、言い換えれば「主体的に課題を見つけ、様々な他者と協働しながら、定まった答のない課題にも粘り強く向かっていく力」のことだと定義をいたしまして、市町村教育委員会や校長との意見交換等を通じて、この学力観についての基本認識の共有を図ってきたところであります。

 まさに、次期学習指導要領と同じ学力観に立って、同じ方向を目指しているものと考えております。

 

2.次に、次期学習指導要領の実施に向けた研修についてお答えします。

 次期学習指導要領の理念を実現するため、これからの教員には、教科の枠を越えた「カリキュラム・マネジメント」の実現や「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善が求められており、これまで以上に「チーム学校」として組織的に取り組むことがますます重要になってまいります。

 そのため、今月から小中学校の校長に対し、学習指導要領の理念を踏まえた取組を、学校現場でどのように実現していくかという視点で研修会を開催・実施しております。

 また、教員に対しては、それぞれの教科などでどう実現していくかという具体的な内容につきまして、今後研修会を企画・実施してまいります。

 また、「カリキュラム・マネジメント」に関する研修については、昨年度、小学校の管理職及び学力育成を中心になって行う教員を対象にした研修を実施いたしました。また、今年度は中学校の管理職及び総合的な学習を中心になって行う教員を対象に、「総合的な学習の時間」を核にした「カリキュラム・マネジメント」の研修を実施しております。

 さらに今年度、県内すべての小学校に指導主事が訪問し、校内研修を支援してまいります。

 

3.次に、「幼稚園教育要領の改正に伴う研修」についてお答えします。

 今年度は、平成30年度より実施される新しい幼稚園教育要領の準備期間であり、全公立幼稚園を対象とした説明会を実施致します。その際、保育教諭及び保育士等も参加できるように計画しております。

 新しい幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園の教育・保育要領、そして保育所保育指針、この3つの要領・指針においては「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」をはじめ、満3歳以上の幼児の教育のねらいや内容の統一が図られております。

 これは、全ての幼児教育・保育施設での質の高い教育・保育の提供を考えてのことであり、今回の説明会も幼稚園をはじめ、県内の質の高い幼児教育に資する研修とする考えであります。

 さらに、これらの研修の他、県教育委員会の幼児教育担当の指導主事が、公立幼稚園を設置する市などの要請に応じまして、出前講座を行い、新しい幼稚園教育要領の説明などを行うこととしております。

 

4.次に、「幼児教育に関する指導員」についてのご質問にお答えを致します。

 幼稚園教諭の研修は、教育公務員特例法により、任命権者である市町村がその責任と権限において行うこととされております。公立幼稚園設置7市においてそれぞれ研修が実施されております。

 このうち、松江市、出雲市、雲南市においては、研修を支援する幼児教育支援員がおかれております。

 ただし、新規採用者の研修と、十年経験者研修につきましては、都道府県の教育委員会が研修を担うこととされております。

 これに基づき、県は新規採用の幼稚園教諭に対する指導員の派遣、教育センターでの集合型研修などを行っております。

 また、このほかにも各市などの要請に応じまして、県の指導主事を派遣し、研修を支援しております。

 このような県と市町村の適切な役割分担のもとで研修の充実を図ってまいります。

 

5.次に、小学校教諭の英語教員免許所有率についてお答えをいたします。

 今年度の県内市町村立小学校の教諭の数は全体で2,183名でありますが、そのうち外国語の教員免許を持った者は、121名であり、所有率は5.5%であります。これは、平成25年度調査による全国平均4.7%と比べますと、やや上回っております。

 

6.次に、小学校外国語教育のための教員等の確保についてお答えいたします。

 次期学習指導要領においては、平成30年度から先行実施、平成32年度から全面実施の形で小学校3・4年では週1時間の外国語活動を実施することになります。この外国語活動では、教科書を用いず補助教材を活用し、数値等による評価は行いません。一方、小学校5・6年では、週2時間の外国語科を実施します。この外国語科は教科でありますので、教科書があり数値等による評価を行うこととされております。

 また、その指導形態については、3・4年では、主に学級担任が、外国語指導助手、ALT等とペアになって指導する体制を活用すること、5、6年では、学級担任が英語の指導力に関する専門性を高めて指導することに加え、専科指導を行う教員を配置できる場合には、その活用を図るというような考え方が文部科学省から示されております。

 こうした小学校における外国語教育の充実に向けた教員の研修については、国において、平成26年度から小学校教員対象の5日間の研修を実施してきております。本県からも毎年度2名程度参加しております。また、県内においても、平成27年度から各小学校において外国語教育の推進役の役割を担う教員を対象として毎年度100名を定員として3日間の研修を教育センターで実施してきております。

 さらに教員の採用については、今年度から教員採用試験において、小学校教諭受験者に対し、英検等の資格を有することを選考に当たって考慮することにしたところであります。

 こうした研修の充実や採用での工夫により、対応していきたいと考えております。

 

7.次に、外国語教育におけるネイティブの人材の必要性についてお答えをいたします。

 外国語を学ぶ児童生徒にとって、ネイティブ・スピーカーと実際に対話しながら学習を進めることは効果的な取組であると考えております。

 昨年6月の閣議決定においても、全ての小学校へALTなどの外部人材を全国合計で2万人以上配置するという方向性が示されたところであります。

 本県では、現在各学校においてALTを活用した取組が行われておりますが、小学校における外国語教育の充実に伴い、ALT以外にも、例えば国際交流や観光振興などの観点から配置されているネイティブの人材なども、幅広く活用していくことが望まれると考えております。

 

8.次に、授業時間数の増加に伴う児童の負担についてのご質問にお答えいたします。

 次期学習指導要領の実施に伴い、これまで小学校5・6年生で実施していた外国語活動が小学校3・4年生で始まり、小学校5・6年生は外国語科の学習が始まります。議員ご指摘のとおり、平成32年度以降、学習指導要領が全面実施になりますと年間35単位時間の増加となります。

 それが子どもにとっての負担とならないよう、楽しく魅力的でより学習意欲を引き出すことができるような授業づくりを進めていくことが大切であると、このように考えております。

 

9.最後に、地域の安全に関する教育についてお答えします。

 学校における安全教育については、閣議決定された「学校安全の推進に関する計画」に基づき、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を通じ、全ての学校において、安全教育の目標を位置付け、系統的・体系的で実践的な安全教育を実施することが求められております。

 内容面においては、生活安全、この中に防犯も含まれます。そして災害安全、さらに交通安全、この3つの領域で実施し、教科だけでなく、学級活動や学校行事など、学校の教育活動全体を通じて行うこととされております。

 学校現場では、安全教育の一環として、児童生徒の危険を予測したり、回避したりする力を育成するために、例えば、子どもたちと保護者や地域の方々とが一緒になって地域に出かけ、実際に現場を見ることで、危険箇所を図示した安全マップを作成するなど、工夫をこらした取組みが進められつつあります。以上でございます。

 

(再質問)幼稚園と保育園の研修に関して、教育委員会と健康福祉部が別々な対応をとるのではなく、一緒になった対応が望ましいと考えるが、知事の所感を伺う。

 

(答)知事

 教育委員会と健康福祉部の問題ですけども、県庁内でよく議論をするように、私からも伝えておきたいというふうに思います。以上であります。

 


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