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藤原議員

(問)島根県水産練習船「神海丸」運航実態について

1.「神海丸」に乗船実習した生徒について、昨年度卒業し就職した者のうち、海に関係した就職先であった者の割合を浜田水産高校、隠岐水産高校別に伺う。

2.浜田水産高校、隠岐水産高校ごとに、別々の運航計画を立てるのか、乗船する生徒、教職員、乗組員の人数も含め、「神海丸」が年間どのような計画で運航されるのか伺う。

3.乗組員の欠員状況は、「神海丸」に限ったものであるのか、水産練習船の全国的な欠員状況について伺う。

4.運航中に有給休暇を取ることは難しいと思われるが、どのようにして有給休暇を取るしくみになっているか伺う。

5.人事行政の専門的・第三者機関としての役割を担う立場から、「神海丸」の乗組員の給料や諸手当等の処遇改善について、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.神海丸に関します4点のご質問にお答えいたします。

 まず、神海丸で実習し、海に関連した就職先に就いた卒業生の割合についてであります。

 浜田水産高校と隠岐水産高校は、本県の基幹産業であります水産業を支える人材や、県内だけでなく我が国の海洋関連産業の発展に貢献できる人材を育成するため、船の運航について学ぶ航海系、船のエンジンについて学ぶ機関系、食品の製造管理について学ぶ食品系の3つの学科を2つの水産高校共通して設置しております。このほか、隠岐水産高校では養殖や海洋環境について学ぶ栽培漁業系の学科も設置しております。

 このうち神海丸に乗船しますのは、航海系と機関系の2つの学科であります。この2つの学科における平成28年度卒業生の就職状況は、次のとおりでございます。

 浜田水産高校の2つの学科の卒業生は、就職者13名のうち10名、率にして77%が、地元の水産業を中心に、海に関連する仕事に就いております。

 隠岐水産高校の卒業生は、就職者17名のうち16名、94%が、海運業をはじめとする船舶関係に就職しております。

 なお、両校には高校卒業後、航海・機関に関するより専門的な知識・技術を習得するための2年間の専攻科も設けております。この専攻科修了者については、両校ともに、海運業や、水産庁などの官公庁の船を中心に、全員が海に関係する仕事で活躍しております。

 

2.次に、神海丸の年間運航計画と、乗船者の内訳についてお答えを致します。

 神海丸は、1学期2学期3学期、各学期に1回ずつの、年間で3回の航海実習のために運航しております。

 このうち1学期は73日間の国内航海であり、北日本又は南日本を巡る航海実習とイカ釣り実習を行っております。この航海には両校の専攻科の1年生、2年生が乗船しております。

 そして2学期は81日間の遠洋航海を行っております。マグロ延縄実習の後ハワイにも入港するもので、いずれか一方の水産高校の高校2年生が乗船しております。

 そして3学期にも同様の72日間の遠洋航海があり、もう片方の水産高校の高校2年生が乗船しております。なお、この2回の遠洋航海のいずれにも、両校の専攻科1年生も乗船しております。

 この遠洋航海は、海技士の資格取得の要件となる乗船履歴として算入されるものでありまして、高校生と専攻科生のいずれにとっても極めて重要な教育課程となっております。

 乗船者についての平成28年度実績でありますが、浜田水産高校の2年生24名が2学期の年1回、隠岐水産高校の2年生36名が3学期の年1回、そして専攻科については、両校の専攻科2年生21名が1学期のみの年1回、両校の専攻科1年生20名については1学期・2学期・3学期、年3回のすべてに乗船しております。

 教職員は、1学期の国内航海には両校から各1名、2学期・3学期それぞれの遠洋航海では両校併せて3名が乗船しております。

 そして、乗組員につきましては定員は24名としておりますが、2名の欠員がありましたため、22名で運航いたしました。

 

3.次に、全国の水産練習船の欠員状況についてお答えをいたします。

 全国には36都道府県に46の水産高校があり、そのうち水産練習船を保有しているのは29都道府県、38校で合計29隻であります。このうち神海丸と同じように遠洋航海を行う実習船を保有するのは20県28校、合計18隻であります。その中で神海丸は総トン数で全国最大の水産練習船であります。

 神海丸は、現在、甲板員2名と司厨員1名の計3名の欠員が生じており、司厨員の欠員については臨時船員を雇用して対応している状況にあります。

 水産練習船を保有する全国29の都道府県のうち、昨年度は22の都道府県で採用試験を実施いたしましたが、必要人数を確保できましたのはその半数でありました。

 全国的に広く欠員が見られまして、乗組員確保に苦慮している厳しい状況にあります。

 

4.最後に、神海丸乗組員の有給休暇についてお答えいたします。

 先程述べましたとおり、神海丸の乗組員は、1学期・2学期・3学期にそれぞれ1回ずつ、合計約8ヶ月間の航海を行っております。航海実習中は原則3交代制で勤務しており、病気などのやむを得ない場合を除き、船上で休暇を取得することはありません。

 その代わり、次の航海が始まるまでの間、連続して休めるよう、年次有給休暇や夏季休暇など、まとめて休暇を取得してもらっております。

 平成29年度についてお答えを致しますと、航海日数が3回合計で226日、週休日、土・日でありますが、土日及び航海中の土日の振替日が合わせまして105日、国民の祝日及び年末年始が16日、夏季休暇が4日、以上を365日から差し引きました、残り年間14日間を年次有給休暇として取り扱っております。

 

(答)人事委員会委員長

5.神海丸乗組員の処遇改善についてのご質問にお答えいたします。

 神海丸乗組員の採用試験においては、近年、合格者が採用予定数を下回るなど、新規採用者の確保について困難な状況が続いており、離職に伴う欠員も常態化しております。

 このような中にあって、教育委員会及び職員組合から人事委員会に対し、神海丸乗組員の処遇改善を求める要請があり、人事委員会としても、乗組員の処遇について検討する必要があると考えているところであります。

 県職員の給与については、地方公務員法により、その職務と責任に応ずるものでなければならず、国、他の地方公共団体の職員や民間事業の従事者の給与との均衡も求められております。

 そこで、現在、人事委員会におきましては、神海丸乗組員の勤務実態や責任、神海丸以外の海事職の勤務実態、国や他県の海事職の処遇の状況、民間の船舶乗組員の給与水準等について、調査を行っているところであり、この秋の人事委員会勧告を目途として、人事委員会として意見を取りまとめたいと考えているところであります。

 


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