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浅野議員

(問)教育力向上対策について

1.人口減少県の鳥取県、高知県、長崎県は理数科の設置が減少したと聞いたが、その設置状況について伺う。

2.松江北、松江南高校の理数科の定員割れの現状と今後の対策について伺う。

3.広島県、岡山県、山口県、鳥取県の県立及び私立の中高一貫校の開設状況と難関大学への合格者の実績を伺う。また、島根県でも県立中高一貫校設置の考えがあるか伺う。

4.土曜日が休日となってから、学力が低下しているのではないか。難関大学への入学者数の現状を伺う。

5.将来の学力向上のため、英数の習熟度別授業のモデル校に教員を増加し、3年実施してみていただきたいと願うが、所見を伺う。

6.専門高校において、課題研究を充実するため、生徒に研究プロジェクトを提案するアドバイザー制度などを導入していただきたいが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.まず鳥取県は鳥取東高校と八頭高校に理数科がありましたが、現在は鳥取東高校のみとなっています。高知県についても2校に設置されておりましたが、現在は1校のみであります。長崎県は5校に設置されておりましたが、現時点では4校となっております。

 3県合わせますと、もともと9校であったものが、6校になっておりまして、減少した3校ではいずれも普通科に改編をされております。

 

2.平成29年度高等学校入学者選抜における、松江北高校、松江南高校の理数科、いずれも入学定員は40名でありましたが、合格者数は、松江北高校が28人、松江南高校が19人でありました。

 高等学校の入学者選抜については、平成29年度入試から大きく制度を変更いたしました。一般選抜の出願について、第2志望校制度を廃止をし、第1志望校のみの出願といたしました。また、松江北高校、松江南高校、松江東高校の3校の普通科について、通学区外からの合格者数を、従前募集定員の5%以内としておりましたものを20%以内に拡大をいたしました。

 このように、入学者選抜制度を大きく変更したことによりまして、受検生がこれまで以上に熟慮した上で受検校を決定したという、このようなことは聞いておりますが、一方で初めての入試制度ということもあり、どうしても学校選択が慎重になりがちであり、受検生側のいわゆる様子見の中で起こった現象ではないかと見ております。

 受検生や中学校側にこの入試制度がよく理解され、定着するまでには数年かかると思っております。今後、この入試制度の理解が進むにつれて、定員割れの状況はおのずと解消していくのではないかと見ております。

 

3.議員から今お話のありました中高一貫校には、二つの形態がございます。学校そのものを一つにする、器を一つとして、6年間を通じて学級数を変わらないようにする、そのようなものを「中等教育学校」と位置づけております。一方、6年間で教育課程を編成しますが、中学から高校へ進む段階、高校からは学級数が増え、他の中学からの入学もできるようにする、これは器が二つあって、それを併設することによってカリキュラムを調整するようなやり方です。そのようなものを「併設型中高一貫校」と呼んでおります。中等教育学校と併設型中高一貫校がございます。島根以外の中国4県の状況を申し上げますと、県立の中高一貫校は、中等教育学校が2校、併設型が5校、合計7校であります。また、私立学校では、中等教育学校が1校、併設型が23校で合計24校設置されております。このように、中高一貫校は、私立学校の特色の一つとして、全国的にも拡大傾向がみられます。

 また、先ほど申し上げました学校数を県別の内訳として申し上げますと、県立の一貫校は、鳥取は0、岡山県が4校、広島県が1校、山口県が2校であります。私立は鳥取県が3校、岡山県が9校、広島県が5校、山口県が7校であります。

 そして、難関大学入学状況についてのお尋ねがございました。取り急ぎ各学校のHPによって調査いたしましたところ、次のような状況でありました。まず、何をもって難関大学とみなすかということでございますが、これは大手予備校などが「難関国立大学」と定義しております10校、これは旧帝大の7校に国立3校を加えたものでありまして一般的には「難関10大学」と呼ばれておりますが、この「難関10大学」への入学状況を見ますと、県立の中高一貫校においては、7校中判明いたしました6校の合計で今年度124名、これは平均20名程度であります。また、私立の場合は、24校中判明した12校の合計で92名、平均で8名程度になります。

 次に本県での設置についてお答えを申し上げます。本県ではこれまで、市町村が義務教育を担い、高校と特別支援学校は県が担うという地方教育行政の大原則のもとで、県と市町村とが分担・連携しながら学校教育を進めてまいりました。

 昨年来、県議会において議論を深めていただきました「教育の魅力化」についても、この大原則のもとで、小学校・中学校・高校・特別支援学校という「校種の壁」を越えた、一体的・系統的な教育活動を推進しようとするものであります。

 このような方向性が島根らしい教育の魅力を高め、ひいては、中山間地域・離島における移住・定住対策や教育条件の確保につながるものであり、こうした考え方が、地方創生の柱の一つとして位置付けられたものと認識しております。

 その中で、県内の特定の地域のみを念頭に、しかも難関大学合格という目的意識のために、わざわざ県立の中学校を設置して、6年間の中高一貫教育を行うという考え方は、総合戦略や中山間地域活性化計画の策定過程で議論されてきた基本理念とは、相容れない方向性であり、率直に申し上げて、私自身は違和感を覚えます。

 

4.学校で土曜日が休日となりましたのは、平成14年度からであります。その平成14年度末と直近の28年度末の大学進学状況で見てみますと、先ほど述べましたいわゆる「難関10大学」の合格者数、これが卒業生数全体に占める比率で見たいと思いますが、平成14年度末が比率で言って約2.1%、これに対して平成28年度末は約1.9%になっておりまして、やや減少であります。

 さらに10年さかのぼって、平成4年度末の比率をみますと、これは約1.7%とむしろ現状より低かったわけであります。従って、この25年間多少の上下動はありましたが、概ね横ばいで推移してきております。

 議員のご質問の中に東京大学・京都大学・大阪大学という点もございましたので、この3大学に限って今の状況を調べてみました。そういたしますと25年前の平成4年度末は0.75%、それが平成14年度末には0.58%に一旦低下し、これが直近の平成28年度末には0.63%と回復しております。

 このように、実際に合格者の比率を見てみますと概ね横ばいで推移してきておりますが、議員からご指摘がありましたように、そのような、合格者は減っているのではないかというような見方がよくされます。その原因は、実は卒業生数そのものがこの25年間に急速に減ったという実態があります。具体的に申し上げますと、平成4年度末から平成28年度末にかけて、公立高校の卒業生数は9,143名だったものが4,726名になっております。すなわちこの間に48%卒業生数が減っているわけです。ですから、合格者の比率そのものは横ばいでありますけれども、母数そのものが約半減しておりますので、そのような状況の中で、実感として合格する人の数が減ったのではないかというような誤解が生じている、このように考えております。

 

5.県立高校において習熟度別の授業展開を図るためには、現状でも県立高校は多忙を極めておりますので、やはり教員を加配するという方法をとるのが現実的だと思っております。

 例えば、1学年が6学級規模の学校で、習熟度別授業の効果が表れやすいとされています英語と数学について、3編成の習熟度別授業展開を行おうとする場合には、1年生から3年生までの3学年合計で6名程度の教員加配が必要になります。

 議員からはそのような教員加配を3年間継続するモデル校指定事業を行って、成果を検証してはどうかというご提案であったように思います。

 通常、モデル事業に着手する際には、その出口のイメージ、すなわち成果の全県展開を意識して行うことが多いわけでありますが、仮に県立高校全体34校に同様の習熟度別授業展開を導入しようとすれば、100名を大きく超える教員の加配が必要になると見込まれます。

 これは県立高校における教職員定数の現行の財源措置に照らしますと、すべて県単定数として一般財源を要することになります。したがいまして、モデル事業に着手するかどうかというその判断自体が大変大きな決断・覚悟を伴うものになると思っております。軽々に判断できる領域を超える課題でございまして、現時点でこれ以上は申し上げづらいということでございます。

 

6.専門高校では、議員からご指摘がございましたように、問題解決の力や創意工夫の力の育成を図るため、生徒全員が課題研究という科目を学んでおり、主に3年生で、一週間当たり3時間から4時間をかけまして、生徒自らが設定した課題を、地域の企業、自治体及び大学などの外部講師の指導・助言を得ながら、研究に取り組んでおります。

 このように、生徒たちが主体的に課題を見つけ、他者と協働しながら粘り強く取り組んでおります。この専門高校の課題研究の教育は、今後ますます重要になっていくものと考えております。その中で、さきほど申し上げました、一週間当たり3時間から4時間という課題研究の教育の量、ボリュームは、すでに専門高校の教育課程の中でほぼ上限いっぱいにまで拡大してきたところでありまして、今後はむしろ課題研究の質の向上を図っていくことが重要であると考えております。

 このため、これまで以上に、地域の先進的な技術に触れたり、優れた外部人材から指導を受ける機会を増やすなど、課題研究の教育効果の向上が図られるように、専門高校の積極的な取組を支援していく必要があります。

 ご提案のありましたアドバイザー制度につきましては、関係部署と連携しながら、優れた外部人材の方々の把握に努め、学校に紹介していけるような仕組づくりを検討してまいります。

 


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