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高橋議員

(問)高校の魅力化について

1.県として高校の魅力化に期待するものは何か伺う。

2.高校の魅力化の成功事例について背景も含めて伺う。

3.ふるさと教育を受け地元で役立ちたいと思う崇高な考えを持つ生徒を育てる特色ある学科を作ることができないか伺う。また、しっかりした動機を持ち、特に県民が必要とする人材を地域と一緒になって育てることが必要と考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.3点のご質問にお答えをいたします。まず、高校魅力化に期待するものについてお答えをいたします。

 県立高校は、県教育委員会が学校設置者であり、県の責任において高校教育を進めていかなければなりませんが、中山間地域・離島の町村は、いわば生き残りをかけて「地方創生」の取組を進めておられ、特に、高校の存在は、学校教育だけでなく地域の存立に関わる問題との認識のもとで、「高校の魅力化・活性化事業」に取り組み、県立高校を支えていただいております。

 この事業では、「地域の拠点としての学校を地域が協力して支える」という考えを持つ町村が、県立高校と協働して高校の魅力化に取り組み、県外からの入学生増加、学校と地域との交流、学校・地域の活性化など、様々な成果を生み出してきておられます。

 また、この事業を生徒の成長という面で見ますと、例えば、地域課題解決型授業などを通じ、子どもたちは地域に対する理解を深め、地域の魅力を再発見し、その学びの上に立って、大胆で柔軟な発想で地域づくりの具体的な提案をするなど、主体的に課題を発見し、他者と協働して取り組む力など、「生きる力」を構成する重要な力を育んできたと考えております。

 県教育委員会としては、こうした成果を継続・発展させるよう、引き続き中山間地域・離島における高校魅力化に取り組むとともに、高校魅力化に取り組む市町村におかれては、小中学校から高校・特別支援学校までを貫いて、一体的・系統的に「教育の魅力化」を進めていただこうと期待しております。

 魅力化に期待するものをここで改めて申し上げれば、「小さな拠点づくり」の一環として中山間地域・離島における教育機能を確保すること、中山間地域・離島の移住・定住対策に資するよう「教育の魅力化」を通じて地域の魅力を高めること、そして、多様な個性をもつ島根の子ども一人ひとりを大切に育み、一人ひとりの自己実現を精一杯支援していくことであろうと思っております。

 

2.次に、高校の魅力化の成功事例についてお答えをいたします。

 高校の魅力化に取り組んできた8校は、それぞれに地元町村や地域の方々と協働しながら、学力の育成、特色ある教育、部活動の活性化、生徒募集の充実などを柱に、魅力的な学校づくりを進めておられます。

 これに併せ地元町村では、公設塾の設置、寄宿舎の増設、スクールバスによる通学手段の確保、部活動の支援など、町村の貴重な財源を投入して、高校魅力化のために多大の貢献をしていただいております。

 こうした町村との連携という面で特色ある取組をいくつかご紹介をしたいと思いますが、まず、津和野高校においては、町が公営塾「HAN・KOU」これは津和野藩を意識したものだと思いますが、「HAN・KOU」を設置・運営し、英語を中心とした学習指導のほか、時事問題を活用した討論、問題解決型学習に取り組んでおられます。

 また、地域に関わる活動をする地域系の部活動「グローカルラボ」と言っておられるようですが、この地域系部活動が町内の空き家問題をテーマにしたフィールドワークに取り組み、空き家対策の提言を行っておられます。

 また、吉賀高校においては、地域活性化のために、地元産のお米のおいしさをアピールしようと、「吉高ライスバーガー」というものを考案をし、地元企業による商品化を実現させております。

 さらに、矢上高校においては、町の主催で、高校魅力化に取り組む矢上高校と、同じく県の事業であります「みんなのまちづくりプロジェクト」に取り組む地元の小学校、中学校が、町長に地域活性化の政策提言をする合同発表会を行っております。

 また、隠岐島前高校においては、町の支援により導入されたICTを活用した遠隔授業で、宮崎県の高校と、地域の活性化に関するディスカッションを行っておられます。

 このように、地元町村の力強い支援を得ながら、生徒と地域の方々との交流などを通じまして、生徒が大きく成長するとともに、それが地域の元気の源となるというような相乗効果が見られます。

 

3.最後に、地元に役立ちたいという考えを持つ生徒を育成する特色ある学科を作ることができないかとのご質問にお答えをいたします。

 昨年11月、教育委員会では、「しまね教育の日」に「教育魅力化キックオフフォーラム」というものを開催をいたしました。

 フォーラムでは、高校魅力化の実施校を卒業し、東京などへ進学した学生が、「将来島根に戻って、地域で役に立ちたい」という熱い想いを語っておりました。その姿を見て、これまでの8校の取組を通じて、地域との関わりの中で、子どもたちにそうした想いがおのずと育まれていることを強く実感したところでございます。

 議員からご指摘のありました「地域で役立ちたいという高い志を持った人材を地域と一緒になって育てる」という考え方につきましては、「教育の魅力化」が目指すものでありまして、地域の方々のご協力をいただきながら、「ふるさと教育」と「キャリア教育」を一体的にとらえ、幼稚園・保育所、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校という校種を貫いて、系統性に留意した教育活動を展開する。その中で、人材育成、人づくりを目指していきたいと考えております。

 また、議員から「人材育成のための選択肢として、新たに特色ある学科を新設する」というご提案をいただきました。

 県立高校の学科構成の在り方につきましては、「今後の県立高校の在り方検討委員会」の検討テーマとも絡む問題であり、この場で詳細を言及することは控えさせていただきたいと思いますが、議員ご提案の趣旨を実現するためには、学科の新設という選択肢のほかにも、様々な手法があると思っております。

 例えば、高校の学校設定科目において、地域課題解決型学習などの学校独自の科目を設けることができます。

 また、専門高校で取り組む「課題研究」という科目において、地域の方々から指導を受け、地域の課題に取り組むこともできるようになっております。

 そして、先程も津和野高校で例がありましたが、地域への貢献を目的とした部活動を設けることもあると思います。など、学校の教育活動の中で様々な創意工夫が可能でありますので、そのようなことを期待しております。

 こうした具体的な方法論につきましては、今後、「教育魅力化協議会」仮称でありますが、そのような場でよく検討された上で、企画立案・実施されていくものと考えています。

 このたびご提案申し上げております「教育魅力化推進事業」の予算が、それぞれの地域における議論を通じて、具体的な取組につながり、そして人材育成、人づくりに結実していくことを願っております。以上でございます。

 


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