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園山議員(自民)

(問)人材と教育力の確保について

1.県内教員の年齢構成について、小、中、高それぞれについて伺う。また、中、高について教科別の状況を伺う。

2.県内の学校数と教員定数の経年変化の状況及び将来見通しを伺う。

3.新たな人材確保や養成の方法、体制について伺う。また、新規採用にあたって、経験者や社会人の登用や年齢構成の偏在是正、一定期間のインターン制導入などが必要になると思うが、対応について伺う。

4.教育現場の対応力向上は教職課程の変更では克服できないように見受けられるが、見解を伺う。

5.島根県における、いじめ、不登校、暴力行為などの問題事象の経年変化と近年の特徴、対応の現状、今後の方針などについて伺う。

6.いじめに負けない、たくましい島根っ子」の育成に必要な教師像、学校像とそれをサポートする教育委員会、地域の役割、在り方について伺う。

7.教師の懲戒権付与について、現場の教師の声を踏まえた徹底した議論を教育委員会で展開し、その見解をまとめる考えはあるのか伺う。

(答)教育長

1.私の方からは、教育を担う人材と教育力の確保のご質問にお答えをいたします。

 まず最初が県内教員の年齢構成についてであります。

まず校種別に申し上げますと、小学校は二十代が八%、三十代が十七%、四十代が三十六%、五十代が三十九%でございます。中学校は二十代が七%、三十代が二十二%、四十代が三十九%、五十代が三十二%であります。高等学校は、二十代が四%、三十代が二十五%、四十代が三十九%、五十代が三十二%であります。

次に中学校、高校の教科別の年齢構成でございます。中学校は、数学や英語では二十代から三十代の若年層が全体の四割を超えておりますが、他の教科は三割を切る状況にございます。高等学校でも一部の教科が違いますが概ね同様の傾向でございます。

2.それから次に県内の学校数と教員定数の経年変化等の状況でございます。

 学校数ですが、十年前と比較いたしますと小学校で五十七校の減、中学校で九校の減、高等学校で二校の減となりました。今後につきましては、統廃合等について、現状では不確定でございます。

 教員定数でありますが、十年前と比較しますと小学校で三百九十一人の減、中学校で百六十二人の減、高等学校で二百四十五人の減となっております。今後の見通しでありますが、現状の学校の配置を前提といたしまして、児童生徒数の推移見込みをもとに推計をいたしますと、十年後には、教員定数ですが、小学校で二百人程度、中学校で百四十人程度、高等学校で二百人程度、さらに減少すると見込まれます。

3.次に教育人材の確保と養成についてであります。

 人材の確保についてでありますが、先ほどの教員の年齢構成の状況をみますと、小学校の教員が退職者のピークが最も早く到来するわけであります。五十才代の前半から半ばにかけてが今、大変多い年代でございます。小学校の教員につきましては、この数年間、採用計画の前倒しを行いまして若年層の採用に努めてきたところであります。

 また、学校の中核となります年齢層の人材確保を図るために、ご指摘の経験者や社会人の登用も重要と考えております。現在、教諭や講師の経験のある者を対象としたシニア枠を設けたり、高等学校の専門学科におきまして、民間企業等での実務経験を活かした特別免許状による採用を実施したりしておりますが、こうした制度につきまして、さらに周知を図り、人材確保に努力したいと思っております。

 それから、今後の採用につきましても、それぞれの校種毎に、退職者数、教職員定数の動向を踏まえながら、教員構成において、極力偏在がないよう努めてまいりたいと思っております。

 それから養成でありますが、若手教員には、教育に対する知識・技能の修得はもとより、子どもたちを指導する実践力や様々な教育課題に対応する力を身につけてほしいと思っております。そのために、教育センター等の研修をさらに充実させていくとともに、各学校現場で教員同士が職務を通してお互いを高めることができる環境づくりに向けまして、適切な年齢構成を図ることも含めまして、今後も十分留意をしてまいります。

(答)教育委員長

4.えらい持ち上げていただきまして、恐縮いたしますけれども、自分は島根の教育にいったい何ができたんだろうという内心忸怩たる思いがいたします。

 二点について、お答えいたします。

 教育現場の対応力向上についてですが、中教審の『教員資質能力向上部会』の答申では、実践的指導力やコミュニケーション力などを保証するため、学部四年に加え一年から二年程度の修士レベルの教育課程を設けるとの理念は示されておりますけれども、具体的にどのようなことを学ぶかについては今後検討されるというふうなことから、今の段階ではなかなか判断は難しいのではないかと考えています。

 個人的な見解で申し訳ないですが、私は、現場で起こることは現場でしか理解できないし、現場でなければ解決はなし得ないというふうに考えています。

 日々変化する現実を理解し、解決していく実践的指導力の育成には、先輩から後輩へのノウハウの伝達のような経験に裏打ちされた育成方法が重要であると考えております。

 それに加え、教育センターなどが行う研修によって、常に新たな知見を加えていくことで、本当の実践力が育成されるのではないかと考えております。

 したがいまして、現段階では単に修学年限を延長することだけで効果が出るということにはならないのではないかというふうに考えております。

(答)教育長

5.次に問題行動の状況と対応についてであります。

 まず、問題行動の状況でございます。

 いじめにつきましては、近年、概ね年二百件程度で推移をしており、大きな変動はございません。その内容ですが、冷やかし、からかい、悪口等、こういったことが、半数近くでございます。そのほかは、様々の態様となっております。

 不登校につきましては、近年は、全体として減少傾向でございましたが、ここ一、二年やや増加をしつつあります。そのきっかけといたしましては、学校、家庭あるいは本人に係る状況など、様々なことがらが関連をいたしております。

 暴力行為は、これまで三百件前後で推移をして参りましたが、昨年度大幅に増加をいたしました。これは、特定の児童・生徒が繰り返すケースが多かったためと認識をいたしております。

 そういった問題行動への対応でありますが、特にいじめなどは、どの学校でも、いつでも起こりうると、そういう認識のもとで、早期の発見、早期の対応が重要と認識をいたしております。

 管理職をはじめとする教職員への研修、アンケート調査の活用、「いじめ110番」の設置など、相談体制の充実などに努めているところであります。

 そして、決して担任だけで抱えこむことのないよう、学校全体で組織的な対応をすることを基本といたしまして、状況に応じて、福祉など関係諸機関との連携に努めているところであります。

 今後でございますが、今申し上げました生徒の実態把握、相談体制の充実、それから、家庭・福祉との連携の強化等、よりきめ細かい対応に努めて参ります。

 また、こうした問題行動につきましては、教育現場による対応・解決、これが基本でございますが、実際に各学校では、様々の課題にしっかり取り組んでもらっているというふうに認識をしております。ただ、取り巻く環境が複雑多様化しております。学校だけでは解決が困難な事案も想定されるところから、今後、外部の人材を活用いたしまして、学校や保護者を支援する仕組み、こういったものを構築したいというふうに考えております。現在、検討を進めているところでございます。

 

(答)教育委員長

6.次に、いじめに負けない、たくましい島根っ子の育成に必要な教師像云々でございますが、私は、いじめという行為は人間の世界では無くなることはありえないと思っております。またいじめは、おっしゃられるように子供の世界だけのものでもないと思っております。

 私も、議員おっしゃられるように、子どもたちにはいじめに負けないたくましさを培ってやりたいと思っております。

 また同時に、いじめを許さない、毅然とした強さ、そして優しい人間に育って欲しいと願っております。

 そのような子どもを育てるのには、やはり一番には家庭での教育が大切だと思います。

 人間として大切にしなければならないことは、子供が小さい時から繰り返し教えなければならないと思います。

 例えば、人の物を盗んではならない、人を傷つけるような嘘をついてはいけない、卑怯な行いをしてはならない、恥を知る、などなど、色々あると思いますが、これらを本気で教え身につけさせることが出来るのは、親しかいないと思っております。

 子は親を映す鏡と言いますから、親は子供から信頼されるような人間になる努力を怠ってはいけないと思います。

 次に、たくましい子を育成する教師像として私が描くのは、何事にもひるまない「覚悟」を持った教師であります。

 いつの間にか義務教育の現場から教壇は消えてしまいましたけれども、教師は、一段高い所から子供を引っ張り上げる事が大切だと思っております。時には同じ目線、同じレベルという考えも当然必要かとは思いますが、基本的に教え諭す者は高みに立たないといけないと思っております。

 そして、高い所に立つ者は、その職に誇りを持って、聖職者としてふさわしい姿を求めることが大切ではないでしょうか。

 服装を正し、起ち居振る舞いにも気をつかい、いつまでも自分を成長させていく、そういった覚悟が必要だと思っております。

 次に、学校でありますが、学校は集団生活の場ですから、当然色々な問題が起こると思います。その一つ一つに、校長を中心に統一した方針の下、教師が組織的に動けることが大切だと思います。

 さらに、保護者も含め皆で情報を共有し合い、何でも話し合える雰囲気を作る事が出来る本当の意味での『地域に開かれた学校』が理想だと思っております。

 次に子供たちを取り巻く地域であります。今の子供達が抱えている問題を作っているのは、私達大人であります。日本が右肩上がりの私達の子供時代は、大人は皆、今よりも良い時代を作ろうと一生懸命に働いておりました。物質の豊かさを手にしてしまった現在、人と人との関わりが極めて薄くなってしまいました。昔に戻れとは言いませんが、地域が一体となって子どもを育んでいたあの頃のようなつながりのある地域が必要だと思います。

 最後に教育委員会ですが、家庭像・教師像など縷々述べさせていただきましたけれども、現実は理想とかけ離れ、様々な課題を抱えているのはご承知のとおりでございます。

 教育委員会は、それぞれの課題を正確に把握し、素早く的確に対応していくことが必要だと考えております。現在、教育委員会制度に対して、形骸化とか、迅速性に欠けるとか、機動性が足りないなど、様々な意見を耳にしますけれども、私自身、そのようなご批判を真摯に受け止め、そうならないように努力をしてきたつもりではあります。

 今後も教育委員会が子どもたちの健やかな成長にとって欠かせない存在であり続けて欲しいと願っているところであります。

 理想論のような話になってしまいました。

 上手く答える事ができませんでした。

 長くなるばかりですので、後はどうかお酌みとり頂けるとありがたいと思います。

 

(答)教育長

7.最後に教師の懲戒権についてのご質問でございます。この懲戒・体罰の問題は教育を行う上で大きな課題であるというふうに認識をいたしております。やや教条的になりますが、改めて申し上げますと、教員の懲戒権につきましては、学校教育法第十一条におきまして「教育上必要があると認めるときは、懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」というふうに規定をされております。懲戒を通じて児童生徒の自己教育力や規範意識の育成を期待をしているところであり、児童生徒の問題行動に対しましては、教育現場として、毅然として適切な指導を行う必要があるというふうに思っております。

 ただ、申し上げるまでもなく、問題行動を起こす児童生徒へのいかなる指導も、体罰があってはならず、また、教育者として愛情を持って粘り強く行わなければ効果が期待できないということはもとよりであります。そうした中で県内では、現場の教職員がさまざまな形で児童生徒の問題行動に正面から向き合い、困難な指導上の課題を抱えながら、一生懸命努力してもらっているというふうに思っております。

 そして、大事なことは、学校全体でそういった問題に対応していくことが大切であると思っております。

 こうした教師の懲戒権の問題について、教育委員の間でさらに議論を深めていくということは大変意義あることと思っていおります。今後、現場の意見を聞きながら、委員間での意見交換を深めていきたいというふうに思っております。


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