• 背景色 
  • 文字サイズ 

須山議員(民主県民)

(問)特別支援教育について

1.「しまね特別支援教育推進プラン(仮称)」の策定について、教育委員会としての基本方針を伺う。

2.「個別の教育支援計画」の現状及び特別支援教育について今後構築する体制を伺う。

3.知的障がい者等の雇用の確保について、現状と雇用確保に向けた取り組み状況を伺う。

4.知的障がい特別支援学校高等部の普通科に取り入れる職業コースの制度設計を伺う。

5.知的障がい者等の学校卒業後における就労先フォロー体制の構築について、所見を伺う。

6.「今後の特別支援教育の在り方に関する検討委員会」の答申にある「集団での学習」という言葉の定義について、所見を伺う。

7.各特別支援学校内に専用の部屋を確保し、障がいについての情報センター機能を持たせることについて、実現性を伺う。

8.特別支援学校にスーパーバイザー的人材を配置し、この者が特別支援教育のセンター的機能を受け持つことにより、地域連携が深まると考えるが、所見を伺う。

9.特別支援学校の校舎改築のスケジュールについて伺う。

10.就学前幼児と小学校の特別支援教室や通級指導教室との連携に関する制度の確立について、所見を伺う。

11.高等学校に通級指導教室に類する仕組みの導入が必要と考えるが、所見を伺う。

12.特別支援教育をより充実させるためには関係機関等の連携が必要であるが、協議会の設置等の具体的な体制作りについて、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.特別支援教育についてのご質問にお答えします。

 今年の三月、「今後の特別支援教育の在り方に関する検討委員会」から答申をいただきましたが、その提言内容を具体化するための県の計画につきましては、九月頃を目途に策定することとしまして、現在、検討を進めているところであります。

 議員からは、この検討委員会からの提言に関連いたしまして、ご質問をいただきました。お答えいたします。

 まず、この件で検討を進めております計画の策定に当たっての基本的な考え方でありますが、二点ございます。

 一点目が障がいのある子どもの自立や社会参加に向けた取組を支援していくこと。

 二点目が一人一人の教育的ニーズを的確に把握をして、乳幼児期から成人期まで一貫したきめ細かな教育を行うこと。

 この二点を関係機関と十分な連携を図りながら行うことによりまして、特別支援教育のさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。

 

2.それから二点目でございます。「個別の教育支援計画」についてであります。

 一人一人の児童・生徒を支援するための計画であります「個別の教育支援計画」は、特別支援学校では、全ての学校で作成されておりますが、小中学校では約六割にとどまっております。

 このため、各学校に対しまして、各種研修の機会等をとらえまして、その意義について説明し、作成を促しますとともに、作成に当たっては、関係機関と連携をして、幅広く実態把握や情報収集を行い、支援の目標や内容を決めることが望ましい旨指導をしております。

 今後とも、全ての学校において、「個別の教育支援計画」を作成をし、適切な指導や支援に活かしていくよう取り組んでまいります。

 

3.それから三点目でございます。知的障がい者の雇用の確保でございます。

 知的障がい特別支援学校高等部を卒業した生徒の一般就労率、これは、過去五年間、三十%前後と、全国平均よりも高い水準で推移をいたしております。

 これは、教職員が雇用の場を確保するため、日頃から障害者就業・生活支援センターやハローワーク等の労働関係機関と連携しながら、自ら企業等を訪問し、職場開拓をしてきた成果であると思っております。

 県といたしましても、こうした各学校の取り組みをしっかり支えて、さらに職場の確保が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

 

4.四点目でございます。職業コースの導入についての提言についてであります。

 知的障がい特別支援学校高等部におきましては、特別支援学級や通常の学級からの進学者の増加に伴いまして、生徒数の増加と同時に、生徒の障がいの多様化が顕著になっております。

 そのため、答申では一人一人のニーズに応じた職業教育の充実を図る観点から、その方策の一つとして高等部普通科への職業コース制の導入が提言をされているところでございます。

 この職業コースにつきましては、大変有意義な提案であるというふうに思っておりますが、学習の内容、対象とする人数、入学者選抜の在り方、あるいは施設設備の整備など検討すべき課題も多いと思っております。

 今後、学校関係者をはじめ、関係部局、企業等との協議を図りながら検討を進めて、具体化に努めて参りたいと考えております。

 

5.それから五点目でございます。学校卒業後の就労のフォローアップについてであります。

 特別支援学校におきましては、高等部卒業後三年間を目途としまして、進路指導部の教員が職場を訪問するなどのフォローアップを行っております。

 平成二十一年三月時点で、卒業後三年間に離職しなかった者の割合は、七十四%であります。また、一度離職した生徒につきましても、ほとんどがその後再就職をいたしております。

今後も、引き続き、関係機関と連携し就労の状況を把握するなど、フォローアップに努めてまいります。

 

6.それから六点目でございます。

 今回の検討委員会の答申の中に、委員の意見として「集団での学習が必要」という言葉があるが、どういう意味合いで使われているのかというご質問でございます。

 これは、浜田ろう学校と浜田養護学校、これを念頭に置かれたご質問だと思います。

 これにつきましては委員の方からは、児童生徒の社会性やコミュニケーション能力を育てるためには、適切な規模の学習集団で学ぶことが有効であり、児童生徒数の減少している特別支援学校では、学年を超えて一緒に学習したり、あるいは近隣の学校との交流を図る、こういった工夫が必要であるとの意見であるというふうに私ども理解をいたしております。

 私どもとしましても、学習の内容や方法が障がいの種別によって違います。

 一概に様々な障がいのある児童生徒を一緒に教育することが望ましいというふうには考えておりません。

 

7.特別支援学校には、地域における特別支援教育のセンター的機能として、一つが、小中学校等の教員に対する支援、二つ目に、特別支援教育に関する相談・情報提供、三つ目に、関係機関との連絡・調整、こういったセンター的機能が期待をされております。

 このうち、特別支援学校が地域の方々に様々な情報提供をする、言わば情報センターとしての役割をさらに充実すべきという御意見をいただいております。

 この点につきましては、私どもも、そういうふうに感じております。今後、各学校の実情を踏まえながら、その機能の充実に努めたいと考えております。

 

8.各小中学校におきまして、特別支援教育コーディネーターに教員を指名しているわけでありますが、この教員を指導・助言ができる人材、いわゆるスーパーバイザー的な人材を、特別支援学校に配置したらどうかということでありますが、私どもも、センター的機能の充実を図る上で、意義のあることであると思っております。

 今後、そうした能力を有する人材をどう養成するのか、また配置した場合に、市町村教育委員会との役割分担をどうするのかなどについて、地域や各学校の実情も踏まえながら、検討を進めて参りたいと思っております。

 

9.教育委員会では、毎年度、特別支援学校を含めまして、全ての県立学校の現地調査を実施をいたしまして、現状の把握を行っているところであります。

 そして、六十年という耐用年数を踏まえまして、築後五十年に達する頃に建て替え時期について検討するということにいたしております。

 特別支援学校につきましても、同様の考え方で取り組んで参りたいと思っております。

 現在、特別支援学校のうち、三校の校舎が築後四十年を経過をしておりますが、改築の際には、答申の趣旨を十分に取り入れて、一人一人の障がいの状態や特性に応じた教育を受けることが可能な施設整備を計画していきたいと思っております。

 

10.就学前の幼児の指導でありますが、ご質問は、この就学前の幼児の指導に、小学校の教員に過度の負担がかかっているのではないかというご指摘でございます。

 現実には様々なケースがあると思いますが、私どもとしてはまずは、幼稚園におきます特別支援教育の充実が何よりも大切であると思っております。

 幼稚園の教員等に対する研修のさらなる充実に努めてまいります。

 また、特別支援学校がセンター的機能を十分に発揮し、幼稚園等を支援していくことも重要であります。

 今後、関係者がそれぞれの役割を果たしながら、お互いに連携を図って対応していく必要があると思っております。

 

11.高等学校に通級指導教室に類する仕組みを導入したらどうかという提言であります。

 高等学校には小中学校と違いまして、通級指導教室のような制度が設けられておりません。

 ただ、高等学校にも特別な支援が必要な生徒が、最近の調査でいきますと一・四%程度在籍すると言われております。

 検討委員会の答申では、こうした生徒に対して、小中学校のような通級指導に類する仕組みができないのかといった提言でございます。

 高等学校にこうした仕組みを構築するためには、一つは単位修得の必要性から、通常の時間外に設置せざるを得ないということ、それから指導する人材の確保や養成、あるいは、生徒・保護者のこうした学習を受けることへの心理的抵抗感、こういったものもあろうかと思います。

 こういった課題も十分に踏まえて、検討していく必要があるというふうに考えております。

 

12.関係機関との連携でありますが、障がいのある児童生徒の特別支援教育を総合的に推進するために、県におきましては、教育、医療、保健など関係者で構成されます連絡協議会を設置をいたしております。また、NPO法人や社会福祉法人などの通学支援あるいは放課後支援、こういったサービスを活用などいたしまして、関係団体との連携にも努めているところであります。

 今後とも、引き続き、関係部局、関係団体と連携して、特別支援教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

 

 

 

 


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp