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小沢議員(自民)

(問)教科書問題について

1.改正教育基本法の言う新たな理念とは、何か伺う。

2.改正基本法及び新指導要領の趣旨を教科書の「採択基準等」にどのように反映しているか伺う。

3.採択地区協議会や調査委員会において、保護者や一般の意見が反映されているか伺う。

4.「公民」あるいは「公民意識」の意味するところを伺う。

5.自国を疎んじたり、敵視するような教科書は、「国民的教養」と「愛国心」の涵養を求める学習指導要領の趣旨から見て大いに疑問があると思うが、所見を伺う。

6.「日の丸」「君が代」について、自身の見解を伺う。

7.日の丸、君が代の歴史的経緯や意義を全く教えることなしに、それらを尊重する態度を育てることができるか、考えを伺う。

8.既存五社の教科書は、竹島や尖閣諸島などについて、日本の領土であるとの正当性が記述されていないため、子供たちが韓国などの主張にも正当性があると錯覚する恐れがあるが、所見を伺う。

9.育鵬社では、選挙権について「国家の意志を形成するという国民主権に関わる権利であるため、本来、国民のみに保障された権利である」と記しているが、この点につき所見を伺う。

10.既存五社の教科書では、拉致問題が人権と国家主権を侵害する重大な国家犯罪であることなどが認識できないと思うが、所見を伺う。

11.既存五社の教科書は、世界的に問題視されている中国の人権問題、チベット、ウイグルなどの民族問題、異常な中国の軍備増強については全く触れていないが、このことについて所見を伺う。

12.自衛隊違憲論を強調するばかりの教科書に対する所見を伺う。

13.既存の教科書の記述は、天皇は「お飾り」とでも言わんばかりであるが、今回の大震災での天皇陛下のお言葉などによって、被災者は勇気づけられ、国民的結束が強められたが、所見を伺う。

14.二宮尊徳、勝海舟、高杉晋作、上杉鷹山など歴史上の重要人物を教えない教科書について、どう思うか伺う。

15.歴史上明確に疑われる事実、例えば、南京事件について、日本側が一方的に極悪非道に扱われている教科書で、子供たちの「国を愛す」気持ちが高まるのか、所見を伺う。

16.根本的な問題は、多くの教科書が「われわれの先人たちが、いかなる困難に直面し、その困難の中で、どう苦悩し、いかなる努力をしたのか」を語っていない点と考えるが、所見を伺う。

17.歴史的教科書問題の核心は、記述の骨格をなす「国民の物語」という視点が欠けているという点にあることを忘れてはならないと思うが、所見を伺う。

(答)教育長

1.今、三点ご質問いただきました。まず、一点目でございます。改正教育基本法の新たな理念でございます。

 改正教育基本法では、これまでの「人格の完成」でありますとか「個人の尊厳」、これまでの理念は大切にしながら、新たな理念といたしまして三つほどあろうかと思います。一つが「知・徳・体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した人間」の育成、二番目が「公共の精神を尊び、国家・社会の形成に主体的に参画する国民」の育成、それから、「伝統と文化を尊重し我が国と郷土を愛するとともに、国際社会を生きる日本人」の育成、これらが新しい理念としてうたわれると、いうふうに理解をしております。

2.それから、二番目の質問でございます。こういったことが、県の採択基準等にどう反映されているのかというご質問でございます。

 県のほうでは、市町村教育委員会に対しまして、教科書の採択にあたっての指導・助言を行っておりますが、その指導・助言の一つの資料といたしまして「各教科書の特長を記した資料」、これを作成をいたしております。この資料では、各教科書ごとにそれぞれの観点から記述を、記載をいたしております。例えば、社会科で申しあげますと、先ほど申しあげました理念の中の伝統・文化を尊重する視点、あるいは、我が国と郷土を愛する視点、そういった視点から、各教科書、先ほどご紹介いただきました七つございますが、七つの教科書につきまして、県内の伝統や文化に関してどう記述しておるのか、あるいは、竹島についてどのように記述されているのか、そこらへんの要点をまとめて記載をしているところでございます。こういった形で、それぞれの教科書の特徴を記載しているところでございます。

3.それから、三つ目のご質問でございます。そういった中で、地区協議会等において、保護者や一般の意見がどう反映されているのかと、いうご質問でございます。

 県内の五つの採択地区協議会では、昨年度のその委員の総数四十五名でございますが、そのうち十四名、およそ三分の一がPTAの役員などの保護者の方が入っておられます。そういった意味で、教科書の採択に保護者の方の意見が反映されているものというふうに思っております。

 それから、採択地区協議会には、市町村の教育長含めまして約半数の教育委員の方が参加をしておられます。この教育委員の方を通じまして各市町村の住民の方の意見も反映されているものというふうに理解をしております。

 なお、県教育委員会では、教育センターあるいは各地区の小・中学校など県内十二か所で教科書の展示会を開いております。一般の方々にも教科書を見ていただけるように努力をしているつもりでございます。以上でございます。

(答)教育委員長

4.お答え致します前に教育委員長の立場から申し上げますと、教科書採択を間近に控え、特定の教科書を排除あるいは誘導したりすることの無いよう配慮しなければなりません。真摯にお答えするつもりではございますので、ご不満の点もあろうかと思いますが、どうかご容赦願いたいと思います。

 今申し上げましたことを考えますと、ここでは無難な話しかできないというふうなことになるところでございますが、しかし私は私の考える所がございます。この場は、私見で物を申す場でないことは重々承知をしているつもりですが、今回は多少ずれるところもあるかも知れませんけれども、なるべく私の思っている所でお話をさせていただきたいと思います。但し、これは私が個人で思っているところでございます。六人いる委員を代表しての話ではないということを御理解頂きたい。そして私はこういった縷々述べる話を、個人の意見を、考えを他の委員或いは他の人に押し付けたり、また誘導したりしてきたこともございませんし、これからもするつもりもございません。

 それでは、「公民」についてのお答えを致しますが、国民と言い換えても私は良いのではないかと思います。国民が社会の中、小さい所では家庭から、町内、広くは県民、国民の一員として秩序良く暮らしていける基盤となる意識だと思っております。

5.小沢先生とは是非議場以外のところで席を設けさせていただければうれしく思いますし、是非とも一献先生に注がせて頂きたいと思っているところでございます。

 最近は、時代の流れとともに核家族が進む中で、家族の意識が変わっているという話を聞いたことがあります。一緒に暮らしていないおじいさんやおばあさんより、一緒に暮らしているペットに家族としての繋がりを感じることは、当たり前だという話を聞いたことがあります。

 私は、地球市民だとか多文化共生を教えることが悪いことであるとは思いませんけれども、それよりもまず先に、自国を愛する心を育てるために家族を愛し、大切にすることから始めて、自国を大切にする心を教えていかなければならないと、そういうふうに考えております。

6.私が小学生の時の話で恐縮でございますけれども、小学校の低学年のときの担任の先生が、音楽の時間に「君が代」を教えて下さいました。内容にももちろん触れられ、そして「世界で一番美しい国歌である」と胸を張って教えて頂きました。

 「日の丸」の歌も教えて頂き、「シンプルで雄大な日本の国旗が世界で一番美しい」そういう風に教えて頂きました。私は「君が代」に対しても「日の丸」に対しても「誰に対しても、胸を張って誇れるものだ」と言い切って下さった大人達に育てられて良かったと思っております。

 「戦争を想起させる」という話は、思春期の頃でしょうか聞いたことがありますが、そのように考える人もいるのかと理解はできましたけれども、しかし私の意識は変わることはございませんでした。「君が代」がご承知のように古今和歌集の詠み人知らずで載っているということは、日本人の気持ち、日本人の心が、自然的に発生したものであると思い、尊いものであると感じております。

 

7.我が国の誇りを教える基となるのが国旗であり国歌であると思っておりますので、個人的な願望ではありますが、先ほど私が申し上げましたような経験でお話を申し上げましたように、誇りを感じてもらえるような教え方を現場でしていただきたいものだとそう思っております。

 

8.領土問題に国が弱腰なのは非常に情けないと思っております。これも私の話で恐縮でございますが、小学校の高学年の時に使っていた地図には、確かに竹島が島根県の一部として載っておりました。しかし何の話も聞かされることもありませんでしたので、先生に竹島のことについて教えて下さいと質問したことがあります。しかし、ぼかされたような記憶があり、非常に釈然としなかったことを覚えております。今になって思えば、当時はたぶん武装駐留された後でしばらく時間が経っていたからでしょうか。そういうことがあったからでしょうか。当時から日本全体が腰が引けていたのではないかなと思うところであります。

 しかし、県議会の皆様が条例を制定して頂いたお陰で、少しは目を向ける人も出てきたと思いますが、まだまだ道は遠いと感じております。韓国では模型を作って幼稚園児に教育をしていると聞いたことがあります。日本はここにきてようやく全教科書で取り扱われるようになりました。

 しかし、今回の改訂までには、記載が無かったり、載せたといっても地図上にただの点でしかなかった。そう言う教科書もありました。このスピード感の無さ。国の意識の低さを感じているところであります。

 

9.冒頭に申し上げましたように特定の教科書についての評価をすることは、この場ではしたくないと思っておりますので、一般論としてお聞きを頂きたいと思います。

 人が人を差別することは、当然良くないことでありますし、参政権につきましては、以前議会でお答えしましたことをここで繰り返させて頂ければ、憲法の基本原則である国民主権や基本的人権の尊重にかかわる大変重要な問題であると認識しております。

 現在のように政党間で主張が分かれ、大きな政治問題となっている状況では、教育現場では、賛否両論あることを客観的に紹介し、多様な見方があることを教える必要があるのではないかと考えております。

 委員長としての答弁は、このとおりになる訳でございますが、私個人の見解の一端を述べさせていただきますと、参政権は国民主権にかかわる大変重要な権利であり、我が国に限らず未だ多くの国が国籍の取得を条件としております。一方、永住外国人の方々が社会の構成員として勤労や納税の義務を果たし、国家や地域の発展に寄与していただいていることもまた事実でございます。そういう方々の日本国籍取得に向けた手続きなどに何らかの問題があるとするならば、立法的に検討する必要もあるのではないかと考えます。と申し上げましたが、つまり端的に言えば、私としては、どの国でもその国の意志を決めるのは、その国の国民でしかあり得ないという風に思っております。

 

10.拉致問題につきましては、中学生の年代を考えると赤裸々な話でございますし、ショッキングかもしれませんが、同じ日本人の一人として、私たちが問題にしていること、また、家族を拉致された御家族の声を正しく具体的に伝えてもらいたいと思っているところであります。

 

11.また、中国の話でございますが、中国を走らせているのはいったい何なのでしょうか。中華思想がそうさせるのでありましょうか。何れにしても中国の軍事に対しては、私も大いに脅威があると懸念しているところでありますが、素直に何でも吸収できる中学生の年代を考えますと、将来隣国として本当の意味で手を携えて世界の平和のために協力できる関係になって欲しいと願っておりますから、中国の酷いイメージをこの中学校の時代、だいたい年代でいきますと、入学時が一二歳でしょうか、卒業時が十五歳くらいだと思いますが、そういった多感な時代に植え付ける必要はないと思っております。もう少し先でも良いのではと思います。

 

12.この度の震災で自衛隊という組織が無ければ、まだまだ混乱は大きかったと思います。有事の時には自衛隊の存在は大きいものだと改めて思い知った訳でありますが、有事とは、震災のような災害ばかりではもちろんございません。他国が我が国の領土を侵犯してきた時も当然含まれるものと思っております。ただでさえ、あの体たらくでございます。自衛隊という組織が無かったとしたならば、尖閣諸島どころか、対馬といった我が国の領土さえも守ることが出来ないのではないでしょうか。

 自衛隊については、暴力組織というような言葉を耳にしたことがありますけれども、自衛隊が組織をされて以降、実際日本が外国に攻め込む、戦争をしかける、そう言ったようなことはありませんでした。憲法九条の理論は、私は素晴らしいものだと思いますが、現実に立てば、武装している諸国に取り囲まれている中で、自衛の組織を否定するのは、私はおかしな話だと思っております。

 

13.私がこういう場所で畏くも天皇陛下の御事につきましてもの申すことは、思いもしたことがありませんけれども、いたしかたがございません。私は今回の震災で陛下のお言葉を始め、被災地への御訪問、或いは、御自ら電気の使用を止められ、被災者の心に寄り添われる御姿は、胸を熱くさせられました。

 今回のことで私は実は少し安心したこともございます。それは、戦後天皇陛下のことについて象徴天皇のことばかりで、あまりというか全くきちんとしたことを教育現場では教えられていないはずなのに、多くの人に議員がおっしゃられたように、勇気と希望をお与えになられたということは、日本人のほとんどの人は、お飾りなどと考えている人はいないのではないかということであります。

御意見は色々あるのだと思いますが、私は、常に心から国民の平安を願われる畏き辺りの事を学校のみならず、家庭でも、職場でも色々な所で語り伝えていくべきと思っております。

 

14.歴史上の重要人物については、様々な捉え方があると思いますが、私の意見としましては、日本人として誇れる、なるべく多くの重要な人物を取り扱ってもらいたいものと考えております。

 

15.また、南京事件につきましてでございますが、私個人と致しましては、南京事件について議員がおっしゃられたような見解に対しても、またこれらに関する報道に対しても、議員と同じように大いに不満を持っておりますが、これもまた様々な論争があるところでございますし、この場で具体的にお答えすることはこの件に関しては差し控えさせていただきます。

 

16.議員は、日露戦争を例に出されましたが、私は元寇の記述についてもしっくりいかない教科書がございます。言い出せばきりが無いところでございますが、我が国は、実に二千年以上の歴史を経て現在に至っている訳ですが、長い歴史の中では、嬉しいこと良いことも有りましょうが、むしろ嫌なこととか苦しい事、そう言った事がはるかに記述としては多いのではないかと思います。

 災害も、飢饉も、悪政も、外国との軋轢も有ったことでありましょう。戦争につきましても時代の流れとはいえ悲しい事実であります。

 でも、そんなことを乗り越えて、私たちは今の日本に住んでおります。ピザの調査によりますと、日本の学力は近年下がってきているというふうな報告もありますが、それでもどの家にもテレビがあり、冷蔵庫があり、日本国民の全て誰もが生活を保障され、病院に懸かる事もでき、犯罪の発生も少なく世界に秀でて安全な国であります。

 こんなにも豊かな生活を築くことができたのは、諸先輩、先人のお陰であります。その先人の苦しみや努力を伝えることは今に生きる私たちの使命でさえあると思っております。

 私の好きな言葉の一つに松尾芭蕉の「古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ」という言葉がございます。

 先人たちがどういう社会を築きたかったのかを、子供たちとともに学び育んでいけるツールとなる教科書が選定されることを望んでおりますし、まだまだ完成形は先にあると思っております。そのような教科書が世に出ることを期待しているところであります。

 

(答)知事

17.知事というよりも私の個人的な見方ということだろうと思いますけれども、私自身も日本の歴史、あるいは世界の歴史、長年いろんな本を読んだりしておりますけれども、今、議員がおっしゃったようなですね、近現代と申しますか、日本が国を拓いてですね、まあ、拓かざるを得ないような状況が起こりですね、その時点では圧倒的に西欧の技術文明が強力だったわけでありまして、その中でアジアの諸国もいろんな苦難をたどりましたが、日本は独立を保ちながらですね、今日の日本を築いたと、その間、幾多の苦難もいろんな問題もあったと思います。そういう意味で、この近現代というのは、非常に大事な意味を我々にとってもっているという点は、私も同感でございます。しかし、そういう問題を理解するというのは、なかなか私自身の経験をもちましても、時間が非常にかかったというような気がするわけであります。私も日本の政府の仕事をし、日本という国をどう見るかとか、あるいは外国の交渉などもやりましたから、外国人とも付き合ったりしましたけども、そういう中で、いろいろ感ずることがあって、そういうもので、このものの見方というものが形成をされてきて、非常に長い時間がかかるもんだろうというような気がします。そして、そういうものにつきましては、人によっていろんな見方があるということを感ずるわけでありまして、そういう意味で教科書を小学校、中学校、あるいは高校の時代にどこまでいろんな意見を書けるかというのは、紙面と申しますか、ページ数もありますから、非常に容易なことではないと思います。そういう意味で、いろんな議論がありうるだろうというふうに私は思うところであります。そういう点が私の考え方と申しますか見方でございますけれども、いずれにしましても、子どもたちが国や郷土に愛情をもってですね、国を愛する若者として育っていくということは大変大事な課題であります。これは、どこの国においてもみんなそうであるわけであります。そういう意味で、教科書は非常に最近は内容も充実をしてきておりますけれども薄い本であります。いろんなことを知るためには幾多の本を読まないと自分の考え方というのはできないわけであります。そういう面で、教科書はごく基礎的なことを取り組むことで今精一杯ではないかと思うわけでございます。そういう意味で、子どもたちが、健全なですね社会人として育ち、国を愛するというふうなためには、やはり幅広い視野をもって、いろんなものに関心をもつ、そういうことが大事じゃないかというふうに思います。そういう意味で、そうしたバランスをですねどういうふうにあの狭い紙面の中で築いていくのかというのは容易でありませんので、これからもいろんな立場で、いろんな議論を交わすことによって、いい本が、いい教科書が、できていくように願うものであります。以上であります。

 

 

 

 


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