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井田議員(自民)

 

(問)中高一貫教育について

1.群馬県が設置している中等教育学校に調査にいった感想と、他の既設置自治体における中等教育学校の評価、課題を把握していれば伺う。

2.国際教育に取り組むなど特色ある教育を行うことについての所見を伺う。

3.中高一貫教育について市町村教育委員会と意見交換をした例があるか、なければすべきと思うが所見を伺う。

4.中等教育学校の設置も含め、中高一貫教育の今後のあり方をどのように検討していくのか伺う。

 

(答)教育長

1.まず、中高一貫教育についてであります。

 最初に、昨年8月、県議会文教厚生委員会で視察されました群馬県の中等教育学校についての報告であります。

 その中等教育学校の特色としましては、英語教育に重点が置かれ、他校にない取組がなされ、学力面でも成果が上がっている印象であったと聞いております。

 その反面、いわゆる学力の高い志願者が集中し、入学してくる生徒の学力レベルは高くなるものの、逆に他校では相対的に低下し、地域全体の学力という視点で考えた場合、必ずしも全体の底上げにはつながっていないのではないかとのことでした。

 また、設置する際、県民からは、エリート養成のために税金を使うのかという否定的な意見も寄せられたと聞いております。

 この中等教育学校があります高崎市内には女子校も含め6校の普通高校があり、生徒数や高校の数など裾野が広く、高校の選択肢が多い地域への設置であります。平成16年度の開校であり、まだ卒業生が出ておりませんので、総合的に評価できる段階にないと思っています。

 こうした中等教育学校に対する評価としましては、高校入試の影響を受けずに、6年間の計画的、継続的な指導ができるため、大学受験に向けた準備もし易いということがございます。

 その反面、中学からの受験となるため、受験競争の低年齢化に繋がったり、高校受験がないために中だるみになりがちで、目的意識や学習意欲の低下が懸念されるといったこともあります。

 

(答)知事

2.国際教育など、特色のある教育を中等教育学校などにおいて考えてはどうかというご提案がありました。

 中等教育学校は興味のあるアイデアだと思います。ただ、島根などでは高校そのものの数が多くないですので、中高一貫教育を各地で行うというのはなかなか難しいと考えております。

 しかし、そういう可能性を追求することも大事なことだと思います。このような学校ができますと特色ある教育ができ、そこに中学生、高校生が他の地域からも来るようになるかもしれません。場合によっては県外からも来るようになるかもしれませんので、生徒が増えますと学校が維持できるということもあります。

 そういう中で、国際教育などに重点を置くような学校を考えるのは一つのアイデアだろうと思います。ただ中高が連携して行うにしても、外国語を話したり、読んだりする基礎的な学力を養うということがまずあって、その上にご指摘のような北東アジアに関心を持つような広い国際的な視野を育てていくことも大事な課題だと思います。

 このようなことも念頭において、教育委員会において各界の意見なども聞きながら考えていく必要がありますが、やはり大事なのは地域に高等学校、中学校がありますので、地域の方々の意見をよく聞くことが大事ではないかと思っているところであります。

 

(答)教育長

3.次に、市町村教育委員会との意見交換の実施状況についてであります。

 市町村教育委員会とは年数回、意見交換会の場を設けております。その中で中高の連携については議題として取り上げ、その必要性について、ぜひ推進していこうということで認識の一致を見ております。

 特に松江市や出雲市においては、中高の連携について積極的な取組が始まっており、県教育委員会もバランスのとれた人格形成、学力向上や生徒指導の充実といった観点から、中高の連携を一層進めてまいりたいと考えております。

 なお、中高一貫校に限りますと、市町村教育委員会と意見交換を行った例はありません。

 

4.次に、中高一貫教育の今後のあり方についてであります。

 群馬県のような中等教育学校は、その学校へ入学した生徒の受験指導という面では効率的と考えておりますが、一部の学力の高い生徒を1校に集めることは、いろいろな弊害も想定されます。中学校受験の過熱や既存の他の高校への影響、すなわち相対的な学力の低下や学校の序列化といった点も懸念されますので、本県のように学校の選択肢の少ないところでは、慎重を期する必要があると考えております。

 また、既存の学校施設を活用する場合でも、敷地の拡張や新たに体育館やグランド等の整備が必要となる場合もあり、相当の経費がかかります。

 また、生徒数が減少し、校舎に余裕があり、こうした経費を必要としない場合でも、そうした地域の生徒ではそこに行くしか高校の選択肢がなくなることや、卒業、入学といった人格形成のステップにおきます、いわば通過儀礼というものも人格形成の中では、ある意味では必要ではないかということを考えますと、そうしたことがなくなるというマイナス面も考えられます。

 先ほど申しましたように、中高の連携については大いに進めようと思いますが、一方もう一つ、小中の連携についても、子どもたちが小学校から中学校への学習にスムーズに対応できるようにする必要がございます。小中の連携と中高の連携いずれもある意味では大事なことだと思っております。

 さらに申しますと、こうした検討をする場合には、高校全入時代にあって、現行の6・3・3制そのものが、はたして最良かということもあります。島根大学付属の学校では、幼稚園から中学校までを課程として持っておりますが、4・3・4という枠組みへの移行を決定されております。こうした義務教育である小学校と中学校を一貫にするという選択肢もあります。枠組みの構成は子どもの発達段階とも大きく関わりがあり、例えば中学校の入学時と高校生では、身体や精神の発達において相当の開きがあります。

 この問題は、以上のようなことを様々な角度から総合的に相当掘り下げた検討を行わなければ早急に方向を出せない問題であると考えております。現在の教育制度あるいは財政上の枠組みからしますと、連携は積極的に大いに進めようと考えておりますが、現時点では、新たに「中等教育学校」や「併設型」を設置することはなかなか困難であると考えます。

 しかしながら、ご提案の趣旨などについては、今後いろいろな角度から検討すべき課題であると考えております。

 


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