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珍部議員(民主県民)

(問)教員の多忙化について

1.教員が忙しくなりすぎ、子ども達と十分向き合うことができていない実態について、その認識を伺う。

2.国に対して事務職員定数の基準の見直しを求めるべきと考えるが、所見を伺う。また、県単独で小中学校に学校事務職員を増員するか、事務支援員などの配置が必要と考えるが、所見を伺う。

3.先進的な取組を積極的に行おうとする市町村に対する支援について伺う。

4.新規採用の学校事務職員への研修体制の現状と今後の見通しについて伺う。

5.学校事務職員の採用を一般職に組み込むことは教員の多忙化解消のために有効と考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.まず、教員の多忙化についての認識ということでございます。

 教員の一日の実態を見ますと、児童生徒が学校にいる間は、学習指導や生活指導に真剣に向き合い、放課後は、子どもへの個別の対応、各種の会議や生徒指導にかかわる対策の検討、部活動指導、あるいは保護者からの多様な要求への対応など、様々な用件が重なりまして、多忙であると承知しています。

 こうした状況について、少しでも多く子どもと向き合う時間を確保するためにということで、これまでも本県独自の取組でありますにこにこサポート事業、クラスサポート事業などによりまして、非常勤講師を配置してやっておりますが、今年度は新たに学びいきいきサポート事業ということで、国の事業も導入しながら、講師の配置の拡充を図ってきております。

 また、学校で開かれる会議の設定のあり方や、校内文書の処理方法、例えば復命書を文書ではなくて軽易なものは口頭でいいとか、あるいは非常にいろいろな研修をやっておりますが、できるだけ大くくりな研修をやるとか、そういうふうな処理方法など、ことあるごとに問題提起し、工夫、実践してもらっています。しかしながら、目に見えた改善にまでは至っていない実情にあると承知しております。

 また、教職員のみなさんと話す機会によく話題にしますと、多忙よりもむしろ多忙感の方がストレスが溜まるという言い方をよく聞きます。教員になった限り、多忙なのはまあ仕方がないとか、そういう覚悟をして教員になったんだけれども、いわばやり甲斐とか生き甲斐とかそういうふうな面が見えないようなことでは、非常に多忙感が溜まっていくというふうなことを言います。できるだけ一人じゃなくてチームとして教育にあたるようにと、孤立しないようにということを校長のみなさんに申しておりまして、できるだけ活力のある、明るくて伸び伸びとした学校の職場をつくっていただきたいということを申しているところであります。

 

2.次に、事務職員の新たな配置についてであります。

 教師の多忙感については、先ほど申しましたように、様々な要因がありますが、加えまして家庭や地域の教育力に委ねるべきことを、現在学校が対応せざるを得ないこともかなり生じていると思っております。

 また、これまで事務職員の職務の明確化や事務の共同実施等に取り組んでまいりました。事務の合理化や効率化を図る趣旨から、可能なことについてはさらに進めてまいります。

 お尋ねの事務職員の定数増を国に求めていく点につきましては、学校の状況からすると、定数改善がなされるとすれば、今最も必要なことは、子どもと向き合う時間の拡充に直接結びつく教員の確保であると考えております。

 したがって、先ほど申したような非常勤講師を配置する施策等を、厳しい財政状況の中ではありますが、国の制度なども有効に導入、活用しながら、継続的に実施していきたいと考えています。

 

3.次に、出雲市が設置する事務支援センターについてお答えします。

 出雲市が、来年度から事務支援センターを設置し、事務の経験者を数名配置するという情報を得ております。学校において、より充実した教育を行う見地から、この出雲市が行います事務処理について、県としても必要なことについては協力していきたいと考えております。

 

4.次に、新規採用学校事務職員の研修についてであります。

 学校事務職員の年齢構成をみますと、50歳代が全体の約半分、これは制度の発足が比較的遅かったものですから、その時に採用した者が今50歳代になっている状況にありますが、今後しばらくは大量退職が続き、新規採用が増えてくる状況にあります。

 事務職員ほとんどが、一人の配置であることを考慮しますと、新規採用の職員がその業務を円滑にスタートさせるということは大切なことであり、そのための配慮が必要であります。これまでも新規採用職員を対象とした研修はこうした考えから実施してまいっております。したがいまして、採用数が増加するからといっても、特に混乱を招くということはないというふうに考えています。

 

5.次に、事務職員の採用を一般職に組み込むことはどうかというご質問であります。

 小中学校事務職員の採用区分について、他県の状況を調べてみますと、県立学校の事務職、あるいは知事部局と同一区分で採用している例が少数ながら見られます。これの具体的な状況を見ますと、その大半が最初に配置された職場、即ち小中学校の事務に配置された場合はその小中学校事務の中で、県立学校事務に配置された者は県立学校事務の中で異動が行われているのがほぼ大半でありまして、必ずしも、人事交流が活発に行われているような状況ではございません。

 先日、今年度の新規採用の事務職員、十一名が、研修終了時に来室してくれました。また、採用11年目研修が終わりました六人の職員も同じような形であいさつに来てくれました。私は、その職員から挨拶を受ける中で、礼儀とかあるいは応答、その他の態度全ての点において頼もしい存在だと感じました。大変立派な職員が採用されているんだなという感を強くしたところであります。

 したがいまして、提案のような採用区分は、制度としては考えられますが、学校事務職員の資質の向上、あるいは学校の多忙の解消に対して直ちに有効であるとは考えにくく、制度を改正してまで行うメリットはないというふうに考えております。

 

(再質問)

 教員の多忙感を解消するためには事務職員を増やすべきと考えるが、所見を伺う。

 また、積極的な取組をしている市町村に対して必要なことは協力するという答弁であったが、具体的にはどのような協力をしていくのか。

 また、新規採用事務職員の研修について、新規採用職員が増加しても混乱を招くことはないとのことであったが、現場の状況について認識を伺う。

 

(答)教育長

 まず、職員の定数改善についてのお尋ねであります。

 学校で行います事務の中身を大きく大別いたしますと、例えば旅費とか、あるいは教員の福利・厚生とか、あるいは諸手当の支給とかこのような業務というのは、事務職員の方で現に行っておりますし、またこれは事務職員の方が行うのが妥当な業務だと思います。もう一つ、同じ事務とは申しましても、例えば学校行事に関連して、例えば入学式なら入学式、卒業式なら卒業式の式次第をどういうふうな格好でやっていくのかとか、あるいは教育に関わりますところの調査ものでありますとか、あるいは研修とかあるいは指定校に関わるところの報告書とかレポートとか、そういうふうなのもののいわゆる学校の事務というところで、教職員のみなさんの認識では整理されていると思っております。そうした、旅費とか福利厚生とか諸手当、この辺の部分については、確かに事務職員の定数の増、あるいは配置の増ということでの軽減というのは可能でありますが、教育に関わりますところの関連する事務の部分というのは、教員の部分でしか改善できない部分があります。私が申しておりますのは、今、現場で必要とするのはそうした部分での教員の確保が要求、要請されているというところを申し上げたところでございます。

 二つめの出雲市への具体的な協力ということでありますが、私の方が今承知しておりますのは職員の何人かの配置と本庁への配置ということでの事務の構想を聞いております。実は先日、時間外ではありますが出雲の方に出かけまして、教育長以下の出雲市の教育委員会の幹部の職員と意見交換を行いまして、そういう中でもこのような話もちょっと出ておりました。県の方としても、協力できることは協力するという話をしたところであります。具体的な案件については、その都度協力していきたいと思っております。

 三つめは研修の関係で、答弁は結構だということでありましたが、私共も、採用の例えば最初の三日の研修で全てが足りるというふうに思っているわけでは全くありません。基本的には新規採用の、特に高卒の場合でありますと、初めて社会に出るということでの不安もありますし、初めて業務をやるということでのとまどいもあるのは、そのとおりであるということは承知しております。実際の学校の現場から事務局の方にはかなりの教員があがってきておりますが、彼らの話を聞いてみますと、例えば旅費の支給一つにしましても全くわからないところからスタートするわけでありますから、そうした点については、だいたい教頭の方でサポートしながらスタートしている状況のようであります。

 また、今年からでありますが、新採の職員の配置になりました職場に出向きまして、状況や話を聞くなりあるいはサポートすることがあれば、学校の管理職の要請があればそういうことも取り次ぐということも義務教育課の方では始めておりまして、こういうようなことで行っていきますと、先ほど申しましたような非常に立派な職員の採用が行われておりますので、そう心配することはないというふうに考えているところでございます。

 

(再々質問)

 問題なのは、今、事務職が請け負わなければならない事務を、事務職員だけでは請け負うことができなくて、教員につけが廻ってきているということである。事務職員の仕事を果たして事務職員だけで仕事がまわっているのかということについて、認識を伺う。

 また研修制度について、現在義務教育課が11人のところに出向いているのは、来年からの研修制度をどう変えていくかということではないかと思う。今年、昨年の新規採用職員の研修について、認識を伺う。

 

(答)教育長

 議員のおっしゃいます職場の事例がどこかは承知しておりませんが、私共は私共の様々なチャンネルの中で、全部の実態を必ずしも私自身が全部承知しているという意味ではなくて、それぞれの課の職員なりが承知しているところであります。こうした中で今、具体的に多忙あるいは多忙感ということで一番具体的に事例としてあがってきているのは、先ほど申しましたような、例えば指定校あるいはいろんな調査の報告とかそういうようなものが、他の業務が忙しいからなかなか締切までのところが余裕を持ってできなくて、締切間際になってあともう時間がない中で仕上げないかんというふうなことが非常に頻繁に起きているというふうには聞いておりまして、そういう意味では、私の方で把握している限りでは、教育に関連するところでの事務業務というところが、一番教員の時間として割かれているというふうに思うところの事務だと承知しております。

 また、研修につきまして再度お話がありましたが、先ほどから繰り返し述べておりますように、一人職場だということは厳然たる事実でありまして、これをなかなか解消するということにはまいりません。新しい制度の試行として学校群での処理をということを始めたところでありますが、その中でもなかなか何人かの職員が同じ職場に勤めるということにならないのは事実であります。そうした中でどういうふうなサポートをしていくかということについては、確かにそれぞれの一人一人に応じたということが必要になってくると想像できますので、先ほど申しましたように、学校の中でもベテランの教員でありますとか、あるいは教頭とかがスタートについてはサポートしていくというふうなことが必要になってくると思います。

 

 


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