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浅野議員(自民)

(問)大学センター試験対策について

1.中学校も高校も都会との学習能力の差が拡大している現実を県教委はどのように受け止めているか伺う。

2.中学三年生が近くの県立高校で補習授業を受ける方策について所見を伺う。

3.高校生を大学で学ばせる施策について所見を伺う。

4.本県進学校の中に附属中学校を設置することについて所見を伺う。

 

(答)教育長

1.まず、学力の都市との差が拡大している状況への認識についてであります。

 昨年の全国学力・学習状況調査の結果を見ますと、家庭教師や学習塾で勉強している中学三年生の割合は、本県が40%、都市部が66%でございます。26%の差がございます。

 また、学校以外での学習時間が1時間以上の割合について見ますと、本県が43%に対しまして、都市部が65%で、22%下回っております。

 一方、学力について見ますと、国語の平均正答率では、本県が78%、都市部が77%でございます。若干上回っております。また、数学の平均正答率は、本県も都市部も66%ということで、ほぼ同様の結果でございます。

 次に、大学入試センター試験の自己採点を行ったものを集計するという仕掛けでありますが、これを過去十年程度さかのぼって調べてみますと、だんだんと順位が下がっております。近年では相当低い位置にあるのは御指摘のあったとおりでございます。

 本県では、できることなら国公立大学に進学したいという意向が強うございまして、そのための六教科で受験する生徒の割合が高いとか、一般的に浪人が自己採点に参加いたしますと得点が高めに出るということもありますが、いずれにいたしましても、この低下傾向、あるいは全国で最下位のところにいるということについては、放置できないゆゆしき実態であると思っております。

 こうしたことから、学力向上を喫緊の課題ととらえまして、平成十八年度から小・中学生を対象にいたしました県単独の学力調査の予算をお願いいたしまして、実施しながらその分析をとおして学力の向上対策に強力に取り組んでいるところでございます。

 この取組につきましては、従来から紹介しておりますが、学校、家庭での学習の充実を図るということのために、インターネットを使いました、小中学校に学習のプリントを配信するシステムを昨年から導入いたしております。また、教員の授業力向上のための各種研修の実施などを行ってきております。

 学力向上のためには様々な課題があるなかでありますが、なかでも先ほど申しましたように、家庭学習の時間が絶対的に不足しているという状況が明らかでありますので、この家庭学習の時間を伸ばすための取組を、緊急かつ強力に行っていく必要があるというふうに思っております。

 これから夏休みに入りますが、この夏休み期間中につきましても、昨年度同様に、今年度も強力な取組を学校の方に要請したいというふうに思っております。

 

2.次に、中学三年生の希望者に対して、近くの高校で補習授業を行えないかという御提案であります。

 教育活動全体、とりわけて学力向上に対しまして、中学校と高等学校が連携することの必要性につきましては、校長会の場などを通じまして、ことあるたびに重点的に取り組んで欲しいということを要請いたしております。

 また、その取組は、御指摘のように、生徒自身が学習への意欲を高めるものでなければならないと思っております。

 各学校ではこういうことを踏まえまして、ほとんどの高等学校で、夏休みなどを利用し、オープンスクールを実施しておりまして、その際に、いくつかの授業を体験する機会を設定をしたりもしております。

 また、中学校のなかには、希望者を対象として土曜日に中学校を開放いたしまして、教員やボランティアの大学生などが生徒の学習をサポートするというふうなことを行っております。

 御提案にありましたような、希望する中学生だけに高等学校の教員が定期的に学習指導を行うということは、高校入試の公平性の面、また、ほとんどの普通高校では、大学受験を目指すところの高校生に対しまして、スポーツの県大会など以外の補習授業が可能な土曜日については、教員の休日出勤などにより補習を行っておりまして、部活動などでも多くの教員が土曜日にも出勤している状態を見ますと、現実的にはなかなか実施できる状況にはないと思っております。

 しかしながら、中高連携によります学力の向上という御指摘の趣旨は、まさに私もそう思っておりまして、制度的にいちいちシステム化するというよりも、それを現場でそれぞれが考えて、できることについて工夫して取り組んで欲しいというふうに思っております。

 

3.三番目に、高校生を大学で学ばせることについてであります。

 本県の高等学校でも、数年前から大学訪問を実施しておりまして、把握しておるところでは、今年度においても十数校が、東京大学、大阪大学、筑波大学、地元の島根大学、島根県立大学などで、大学内の見学とか大学教授による講義及び実験を体験する計画をもっております。

 高校生にとって、このような体験は、大学の雰囲気を直接に感じ、最先端の学問研究の一端に触れるということができます貴重な機会であり、学習意欲が向上したり、大学進学への意識が高まったりするというふうな効果が期待できることは御指摘のとおりで、私もそう思っております。

 こうした取組については、一層促進するために、島根県と連携の協定を締結しております島根大学とか、あるいは島根県立大学にさらなる協力をお願いするとともに、各学校において、より実効性のある取組を進めて参りたいというふうに思っております。

 

4.次に、本県進学校に附属中学校を設置することについてであります。

 中高一貫教育は、以前から私立高校では行われておりましたが、制度的には平成十一年度から設置が可能となったことから、公立学校についても中学校と高校が同一の学校である「中等教育学校」「併設型」「連携型」の三種類の中高一貫校が各県で設置され、本県でも、飯南、吉賀の二地域で「連携型」の中高一貫教育が行われております。

 「中等教育学校」や「併設型」の中高一貫校は、一般的に高校と中学校を同一敷地内に設置する必要があるため、校舎や体育館等の新たな施設整備が必要となり相当の経費がかかります。

 また、中高一貫教育は、受験指導という面では効率的ですが、一部の学力の高い生徒を一校に集め受験に特化した教育を行うことが、公立学校にとって求める教育としてふさわしいのかという問題もあります。

 さきほど述べましたように、学力向上対策については、緊急かつ最重要課題との認識のもとで、家庭における学習習慣の確立や小学校、中学校段階から一人一人に応じた学力の向上をめざして取り組んでおります。

 さらに、中高の校長に対して、併設にいたらないまでも中高の連携を強力に進めるよう要請しており、近隣の高校と中学校が授業方法や教材の工夫等を行い、中高一貫校に劣らない成果をあげるよう全力で取り組んでほしいと要請しております。まずもって、こうした取り組みの成果があがることを期待しております。

 以上のようなことから、現在の状況では、財政上の問題もあり、新たに「中等教育学校」や「併設型」を設置することはなかなか困難と考えております。御提案全般の趣旨については重く受け止め、成果が目に見える形になるよう、より実効性のある方法を、他県の例も情報収集しながら研究し、中高が連携して学力向上に取り組んでいきたいと考えております。

 校長OBの発言の紹介がありましたが、まず中高の校長が強い意志をもってトップダウンで学校運営を行うことが必要だと考えております。

 また、学力向上について外部の委員からなる検討委員会を設置して意見を聞いてはどうかという御提案でありますが、これまでも行ってきており、これからも、名称はともかく、県職員以外の方の意見を聞く機会を持ちたいと考えております。

 御提案の趣旨に沿って、中高一貫教育や教育内容について意見を聞く場を設けるよう検討したいと考えております。

 

 


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