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佐々木議員(自民)

 

(問)県内教育の現状等について

1.県内の教育の現状をどのように認識しているのか伺う。また、総合的な教育力の向上に向けての考えを伺う。

 

(答)知事

1.県内教育の現状と総合的な教育力の向上についてであります。

 近年、子どもたちの学力、体力、規範意識の低下、生活習慣の乱れ、コミュニケーション能力の不足、過度なテレビやゲームの時間による発達への影響などが危惧される状況にあります。

 こうした問題の解決に当たっては、個々の課題に適切に対応するとともに、総合的な対策が必要だと考えております。

 学力につきましては、本年度は、国の学力調査が実施されましたが、昨年度に引き続き、県単独の学力調査も実施しました。この結果を基に、県内全ての学校をあげて子ども一人一人へのきめ細かな指導や、教師の指導力の向上を中心とした学力向上プロジェクトを推進していきます。

 体力の向上や生活習慣の改善のためには、新しく教育庁内に設置しました「健康づくり推進室」を中心に、学校、家庭、地域が一体となって県民運動として展開をしていきます。

 また、地域の教育力を支える大人たちの地域活動への参画を一層促すために、公民館やNPO法人等の協力を得ながら、地域の教育をする力を高める取組を進めてまいります。

 

(問)ふるさと教育と学力重視について

1.本県の教育ビジョンについて、大学進学を目的とした競争型教育システムとは異なるものであるが、一方で学力重視の現実社会を考えた時の所感を伺う。

 

(答)知事

1.次に、ふるさと教育と学力重視の現実社会に対応した教育についてであります。

 現在、本県で実施しておりますふるさと教育は、

(1)ふるさとへの愛着をもつ子どもを育てること

(2)「他人をやさしく思いやる心」、「美しいもの、気高いものに感動する心」など、豊かな人間性や社会性を備えた子どもを育てること

(3)体験的な学習等を通して、学ぶ意欲を高め、自ら考える子どもを育てること

をめざしたものであります。

 県内の学校では、総合的な学習の時間等を中心に、地域の方の協力を得ながら、創意工夫を凝らし、子どもたちが生き生きと活動する取組を行っており、二年目である昨年は成果の手応えを実感できたとの報告を現場から受けております。

 一方、大学の受験競争という厳しい現実もあります。このため、子どもたちの学力を育てる現実的な対応も必要であります。実際に、各高等学校においては、できる限り生徒の力を高めるための努力が懸命に行われております。

 ふるさと教育と学力重視の現実社会に対応した教育は、一見相反するようではありますが、人格形成における多感な時期に、ふるさと教育がねらいとする、豊かな人間性や社会性を備えた子どもをはぐくみ、その上に社会人として求められる知識・学力や受験のための競争力を身に付けさせることが、本県教育にとって必要であると考えます。

 

(問)高校のあり方等について

1.県内の高等学校の在り方及び専門高校と県内産業の結びつきについて伺う。

 

(答)知事

1.次に、専門高校と県内産業の結びつきについてであります。

 本県の高校新卒者の県内就職者数は、生徒数の減少もあり、この五年間で約千百人から約七百人に、就職者全体に占める割合では約七割から約六割に減少しております。

 このうち、専門高校は約八百人から約五百人に減少しております。

 産業を振興し、若者が活き活きと働ける場を増やしていくことは、県政の最も重要な課題の一つであります。

 最近の私どもの調査では、誘致企業の事業拡大などにより、今後三か年で新たに約二千人近い雇用が見込まれておりますが、こうした需要に、県内の専門高校の生徒や、都市部からの有能な技術者のU・Iターンなどにより対応し、若者の県内定住に努めて参りたいと考えております。

 一方、専門高校の生徒の多くは、学んだ専門知識が活かせる職場、国家資格や技術・技能を活かせる職場を希望しておりますが、必ずしも県内ではそのような希望を十分に満たせない状況にあります。

 そこで、こうした高校生の希望に対する企業の理解を促進したり、企業が必要とする産業人材の育成等に対応するため、「雇用対策推進会議」を設置したところであります。

 今後、この会議などを通じて、産・官・学が一体となった取り組みを進め、専門高校と産業界の連携により雇用の場の確保や高校卒業者の県内就職の促進に取り組んで参ります。

 

(問)世界遺産について

1.現段階での世界遺産登録への見込みと残された期間の取組について伺う

 

(答)知事

1.最後に、石見銀山の世界遺産登録についてであります。

 ユネスコの諮問機関でありますイコモスが行った登録延期という勧告は、私どもも意外であり、誠に残念なことでございました。イコモスの石見銀山の価値の証明につきましての質問は、いくつかありますが、例えばこのようなことが指摘されているわけであります。

(1)「石見銀山の遺跡が、どのように人類の価値の重要な交流を表してきたのかを証明する詳細な物証が示されていない」のではないか、あるいは、

(2)「アジア地域にある日本以外の他の鉱山遺跡との比較研究に関する情報が不十分」ではないか、

といったような指摘があったわけでございます。

 こうした指摘に対しまして、文化庁、外務省、大田市とともに専門的見地からの補足情報の取りまとめを行い、次のような反論のための見解も既にまとめているところであります。例えば、

(1)「東西文化交流への貢献は、朝鮮の歴史書、ヨーロッパ人の日本銀に関する記録、ポルトガル作成の地図等から明白」になっている。あるいは、

(2)「アジアの鉱山に関しましては追加調査を行い、結果は既に提出してあるはずである。その後の調査でもアジア地域には比較検討できる鉱山遺跡は存在しない」

という、こんなような見解をまとめ、これを踏まえまして、我が国から公式に「事実誤認を指摘する文書」を世界遺産委員会の議長宛に提出しておるわけでございます。今週末に開催される世界遺産委員会、ユネスコの近藤大使が出席されるわけでありますが、近藤大使には先日現地を視察いただくとともに、パリに帰りまして、世界遺産委員会構成国等の理解を求めるなど積極的な外交活動が展開されているわけでございます。

 さらに、ニュージーランドで開かれます今週末からの世界遺産委員会に関しましては、県の職員を派遣いたしまして、文化庁、外務省、大田市一体となりまして、近藤大使を中心とした外交活動に、できる限りの貢献、協力を行うこととしておるところであります。

 石見銀山遺跡の世界遺産としての価値は、揺るぎないものでありまして、私は、近藤大使の活動などにより、登録の可能性は相当あるものだと考えているところでございます。

 今後も引き続き登録に向けまして、全力を挙げて参りたいと考えております。


お問い合わせ先

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