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田中(健)議員(自民)

(問)教育再生会議について

1.国の教育再生に係る動きに対して、県の公教育を預かる教育委員長として、どう受け止め対処していくのか、所見を伺う。

(答)教育委員長

1.本年一月二十四日に出されました、教育再生会議の第一次報告につきましては、今日指摘される教育問題に対する委員の皆さんの熱い思いが込められており、「社会総がかりでの子どもの教育」や、「子どもに対する規範の教え」等、評価できる面もあると考えております。

 しかし、中には財源措置の裏付けや具体的更新基準が不透明な「教員免許更新制の導入」、離島・辺地等における教員の確保に懸念が残る「市町村への教職員人事権の移譲」、更には、地方分権の精神に逆行するような「教育委員会への文部科学相の是正勧告・是正指示」等、このままでは受け入れ難い内容のものも見受けられます。

 このような憂慮すべき点が見られることから、今月十三日に、全国都道府県教育委員長協議会が全国都道府県教育長協議会との連名で、教育再生会議に対し、「あらゆる角度から現状や課題を検証し、真摯な議論を公開で行っていただくよう」また、「教育委員会制度等地方に関わる事柄については、地方分権の視点に立って議論をしていただくよう」意見表明したところであります。

 私としましても、今後とも先程述べました点を中心に、日本全体の教育方針が国民的議論をもって行われるよう、また、国が教育委員会に対する統制を強化し、地方分権一括法による改正前の教育行政に後戻りすることのないよう願っております。

(問)教育問題に対する組織的な対応について

1.学力低下やいじめ、不登校といった教育を取り巻く諸問題は、早急に解決しなければならない問題であり、教育委員会、学校による組織的な対応が不可欠であると考えるが、この問題に対する対応について伺う。

 

(答)教育長

1.まず、学力の低下やいじめ、不登校といった諸課題への対応については、学校現場と直接の管理者である市町村教育委員会及び県教育委員会とが一枚岩として取り組むべきであります。また、学校現場が主体となって課題の解決に取り組むことから、常に学校現場の状況をしっかり把握し、組織的に対応していくことが原則であります。

 それぞれの課題について申し上げますと、

 第一点目、学力問題について、一人一人の実態を把握し、その状況に応じた指導を行うことが必要であると考え、本年度、全県的な学力・意識調査を実施しました。この結果を基に、授業力向上セミナーやリーダーセミナー等の各種事業を実施し、教職員の指導力の向上に向けて、学校組織全体で取り組むよう指導しているところです。

 第二点目、生活習慣の改善について、新年度から健康づくり推進室を設置し、健康福祉部とも連携して、生活習慣改善推進事業にも取り組んで参ります。

 第三点目いじめ、不登校について、この課題解決に向けては、教育事務所に配置している生徒指導専任主事を平成十九年度から五名を十二名に増員し、学校管理を直接行っている市町村教育委員会が責任をもって学校を指導・支援する体制を整えてまいります。

 こうした諸課題については、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特殊教育諸学校の各段階を通じて太い軸をもって連携して対応することが肝要であり、各地域でもそれぞれの機関が連携について協議する場を設けるよう要請していきたいと考えています。

 また、こうした行政を行うために、新たに担当の教育次長を配置して、推進して参ります。

(問)今後の高校のあり方について

1.少子化社会に対応した高校の在り方について、今後どのように対応していくのか伺う。

(答)教育長

1.次に少子化に対応した高校のあり方についてであります。

 本県の中学校卒業者数は、近年では平成元年三月の一万二千六百人をピークに減少を続け、今年三月は七千五百人余りで、(今年四月一日現在の四歳児が中学校を卒業する)平成三十年三月には六千百人余りとなり、この間で約千四百人、一学級四十人として単純計算すると約三十五学級の減となります。

 県立高校の次期再編成計画の策定にあたっては、生徒数が一層減少する中で、望ましい高校教育を実施するための学校規模や学科のあり方について、また、本県の地理的状況を考慮した高校の配置などについて検討を進めているところであります。

 これらの検討を行う際には、県内産業を支える人材育成の観点も十分意識して検討してまいります。

 今後、検討委員会において更に議論を深め、各界のご意見も伺ったうえで、平成二十年度に県立高校の次期再編成計画を策定することとしております。

 また、私立高校においては、その建学の精神に基づいた特色ある教育が実施されておりますが、今後も公立高校と私立高校が、ともに、有為な人材を育成する場となるよう努めてまいります。

(問)石見銀山遺跡の世界遺産登録と古代出雲歴史博物館の開館について

1.本年七月に予定されている世界遺産登録に併せて、県内外に石見銀山を強くアピールする必要があるが、登録を記念しての取組の予定を伺う

2.石見銀山の受入れ体制整備には万全を期す必要があるが、登録に向けての受入れ体制整備について伺う

3.古代出雲歴史博物館の開館に合わせた記念事業等の準備状況について伺う。

4.全国から多くの人に訪れてもらうには、島根にしかない魅力あるプログラムが必要と考えるが、古代出雲歴史博物館ならではの仕掛や取り組みについて伺う。

5石見銀山と古代出雲歴史博物館の新しい魅力をてこに、本県の魅力を今後どのように国内外の人々に伝えていくべきと考えているのか伺う

(答)教育長

1.次に、石見銀山遺跡の世界遺産登録を記念する取り組みについてであります。

 本年七月初めと見込まれる登録が叶うと、県民全体で登録を祝い、石見銀山の世界的価値を広く県内外、国内外に情報発信するため、各種の記念事業を計画しています。

 まず、記念展覧会として、「輝きふたたび石見銀山展」を、登録直後の七月一四日から九月二四日まで、「古代出雲歴史博物館」と地元大森町の「石見銀山資料館」の両館で並行して開催することにしています。この中では、これまで県が購入した石見銀山産の銀で造られた「御取納丁銀(おとりおさめちょうぎん)」、「石州文禄丁銀(せきしゅうぶんろくちょうぎん)」などの丁銀三点をはじめ、全国に広がる石見銀山ゆかりの品々、ポルトガルから借用する銀製品や歴史的な文献などを展示することによって、石見銀山が国内で果たした役割から、東洋と西洋の経済・文化交流に至るまでを、総合的に理解していただけるよう企画しています。

 八月下旬には、東京で千人規模の「記念シンポジウム」を開催することにしています。石見銀山遺跡がなぜ世界遺産になったのかを全国の方々に理解していただき、現地へ誘うと同時に、石見が「いしみ」と呼ばれることのないよう、知名度を高めたいと考えています。

 また、秋には、地元大田市で「登録記念式典」を開催することにしています。世界遺産所在地として、石見銀山遺跡を適切に保護し後世に伝えていく責務を、地元の方々とともに改めて自覚する機会にしたいと考えています。

 

2.次に、登録に向けての受け入れ体制整備についてであります。

 現在、坑道で唯一公開されている「龍源寺間歩」の入場者は、平成一五年は約四万人でありましたが、一七年は約五万五千人、昨年は約九万六千人と急増しています。この例に見られるように、石見銀山を訪れる人は、世界遺産登録が迫るにつれ、このところ急増している状況にあります。

 こうした状況に対応するため、交通対策をはじめとする受け入れ対策全般について、地元大田市とともに取り組んでいます。

 交通対策としては、来訪者を誘導する道路標識や案内看板の設置のほか、観光客向けの大規模な駐車場を新たに整備し、路線バスの大幅な増便を行うことによって現地へ輸送する「パーク・アンド・ライド方式」を実施することにしています。

 また、ガイダンスや展示機能を有した「拠点施設」の整備、現地を案内するガイドの養成(現在四〇名、今年度末に一五名増の五五名)、観光総合案内所の設置などを進めています。

 さらに、遺跡の整備にも取り組んでおり、特に、銀山最大の坑道で、初代奉行大久保長安が槍を持って馬に乗ったまま入ったという伝承が残る「大久保間歩」を整備・公開することや、大森の町並みでの電線地中化にも着手しています。

 県としましても、このような取組みに対し、企画の段階から積極的に参画し、受け入れ対策に万全を期すこととしています。

 

3.4.次に、三月十日にオープンする古代出雲歴史博物館の特別展等の準備状況についてであります。

まず、展示関係でありますが、常設展示につきましては、先般、展示品の陳列を完了しております。開館記念特別展につきましても、展示品の借り入れ、搬入の作業を行っており準備も最終段階になっております。

 また、展示内容の解説などを行うボランティアガイドについては、現在六十六名の方に登録をいただいております。接客を担当するアテンダント職員とあわせて接遇などの研修を終えております。

 次に誘客の取り組みでありますが、昨年からエージェント対策、県内外のイベントでのPR活動、地元町内会、団体に対する施設見学会などを計画的に実施してまいりました。二月からは全国のJR主要千六百の駅に大型の五連ポスターを掲示するとともに、テレビ・新聞などマスコミによる広報を集中的に実施しております。

 また、開館当初は相当の混雑が予想されるため、駐車場の確保、車両の誘導を中心に地元、警備当局と連携を図り、混乱がないよう万全を期してまいりたいと考えております。

次に、古代出雲歴史博物館ならではの取り組みについてであります。

 古代出雲歴史博物館は、東アジアを視野に入れながら、島根の特色ある古代文化について継続的・総合的に調査研究する古代文化センターと、その研究成果を分かりやすく展示紹介する博物館が、相携えて機能するところに特色があります。

 全国最多の出土数を誇る荒神谷や加茂岩倉の青銅器、全国唯一の完本として残る「出雲国風土記」、出雲神話、出雲大社の歴史と信仰、中近世の石見の歴史などは、比類のない島根固有のものであり、博物館では全国に誇る島根の歴史・文化の研究成果を年2回の企画展で展示・紹介してまいります。

 開館記念特別展として開催する、『神々の至宝〜祈りのこころと美のかたち〜』と題する展覧会では、日本各地の古い歴史を有する神社に奉られ、今日まで秘蔵されてきた「神宝」などおよそ千百点、このうち国宝・重要文化財は、約六百三十点のご宝物を一堂に会する特別展であります。

 これだけ多種多様、数多くの神宝などを一堂に展覧するのは、例をみないもので、全国の神々が集う出雲大社の地であればこそ実現できたものであり、全国に強くアピールできる内容であると考えております。

 常設展では、荒神谷遺跡の銅剣三百五十八本、加茂岩倉遺跡の銅鐸三十九個など国宝、重要文化財を保存しながら展示するのを始め、出雲大社の境内から出土した巨大な宇豆柱、高さが四十八メートルあったと言われる古代出雲大社の十分の一復元模型などを展示します。これだけの国宝などを一堂に観覧できる今回の展示は、「古代出雲文化展」と同様に、島根の古代文化について大きな評価をうけるものと考えております。

 

(答)知事

5.石見銀山と古代出雲歴史博物館の新しい魅力をてこに、本県の魅力を今後どのように国内外の人々に伝えていくのかについてであります。

 私は、これまで、「全県フィールドミュージアム構想」を掲げ、本県の恵まれた美しい山や川や海などの自然系の資源を大切に守りつつ、歴史、文化、芸術などの豊富な人文系の資源を最大限に生かしながら、相互の連携を促進することによって、各地域が個性的で魅力ある空間になるよう取り組んできました。

 しまね海洋館アクアス、三瓶自然館サヒメル、東西二つの美術館などの整備、宍道湖・中海のラムサール条約への登録、田舎ツーリズム事業などの施策であります。

 そして本年は、古代出雲歴史博物館の開館と石見銀山遺跡の世界遺産登録を迎えることになります。

 「古代出雲と石見銀山」、この二つは、歴史と文化に彩られた本県の魅力を全国、さらには世界に向けて発信できる貴重な財産であり、県として、あらゆる機会を捉えて、積極的な情報発信を行ってまいります。

 それと同時に、石見銀山の情報発信や来訪者の受入などについて、二百人に及ぶ人々が議論し行動計画をまとめた「石見銀山協働会議」の活動に見られるように、行政と民間が、それぞれの役割を果たしつつ、ともに行動していくことが、本県の魅力を、多くの来訪者に伝えていく上で、大切であると考えています。

 産業振興につなげる経済的な側面と、経済的な尺度では計ることができない地域の存在意義や価値に着眼した取り組みが、相まって、好循環を生み出す地域社会を構築するため、この大きな機会を活かしていかなければならないと考えています。


お問い合わせ先

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