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渡辺議員(県)

(問)教育について

1.教員の人材確保に給与削減が影響を及ぼしているようなことはないのか伺う。

2.更なる教員の資質向上についての所見及び具体的な取組について伺う。

3.義務教育国庫負担法の改正による本県への影響、及びその対策について伺う。

4.現在実施している石見地域、隠岐地域限定の教員採用の枠を広げる考えはないのか伺う。

5.人事権の移譲について、今後、どのように進めていくつもりなのか伺う。

6.県立学校再編の検討に当たり、学校の活力や効率等を含めた学校の適正規模について、所見を伺う。

7.地域文化の中心にもなっている高校存続のためにも、四十人以下の学級編制を検討する時期に来ているのではないかと考えるが、所見を伺う。

 

(答)広沢教育長

1.まず、人材確保への給与削減の影響についてであります。

 ご承知のとおり、現在、本県では、中期財政改革基本方針に基づく財政改革の一環として、教育職員を含むすべての職員を対象に、給与カットが実施されているところです。

 島根県教員採用試験における志願者数の推移を見ますと、ここ二、三年では、採用者数が大幅に減少しているにもかかわらず、特に大きな減少はみられず、現在のところ、給与カットの直接的な影響はないものと考えております。

 教育委員会といたしましては、どのような時代にあっても、教育の直接的な担い手である教員に求められる重要な役割を十分認識し、募集方法や採用方法の工夫改善を図るなど、常に、島根県の教員として求められる資質・能力を十分に備えた優秀な人材の確保に努めてまいります。

2.次に、教員の資質向上についてであります。

 県教育委員会では、平成十四年度に策定した現行の教職員研修計画において、「島根県の教職員として求められる基本的な資質・能力」として、まず一つは、豊かな人間性と教職に対する使命感、次に、子どもの心身の発達と心の動きに対する理解と対応、三つめに、職務に係わる専門的知識・技能及び態度の三つを大きな柱として掲げております。

 このような資質・能力の向上のためには、研修や教員評価等の改善充実を総合的に進める必要があると考えております。

 研修については、教育センターを中心に、「教科指導」や「生徒指導」に関する研修の充実はもとより、「児童生徒理解のためのカウンセリング」や「情報教育のための知識・技能」など、新たな課題に対応する内容も取り入れております。

 さらに、来年度から、「しまね学力向上プロジェクト」の一環として、教職経験十二年目から二十年目の中高の全教員を対象に、教科指導力向上を図るための「授業力向上セミナー」を行う予定です。

 この他にも、地域の教育資源を活用した教育活動の充実を図る「ふるさと教育を推進する研修」や、特別支援教育の充実を目指した「特別支援教育コーディネーター養成研修」等の研修を新設することとしております。

 また、本県では、すべての市町村立学校及び県立学校において、昨年九月から新たな教員評価制度を試行しています。

 この制度は、教職員一人一人が自己目標を設定し、その達成に向けて、管理職の指導助言や同僚の支援を受けながら自己啓発し、自らの資質・能力を高めていくことをねらいとしております。

 今回の試行においては、教職員が自己目標の達成に取り組むことにより、職務に対する意欲がより一層高まったとの声も聞いております。

 県教育委員会としましては、来年度からこの制度を本格実施する予定であり、今後、全教職員への手引書の配布を行うほか、実施の過程で生じた問題点を改善しつつ、この制度の定着を図ってまいります。

3.次に、義務教育費国庫負担法の改正による本県への影響及びその対策についてであります。

 義務教育費国庫負担金の負担率を二分の一から三分の一に改正する法案が、今国会に提出されておりますが、この負担率が確定しますと、負担率変更に伴う義務教育費国庫負担金の削減額は、約七十億円と試算しております。

 この義務教育費国庫負担金の削減額につきましては、平成十八年度においては所得譲与税、平成十九年度以降は、個人住民税による税源移譲によって賄われ、不足する額については、地方交付税で措置されることとなっております。

 従いまして、地方交付税の確保がますます重要になってまいります。

 教育委員会といたしましても、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図り、特色ある本県教育をすすめるために、義務教育費国庫負担金の削減額が、個人住民税による税源移譲と地方交付税によって完全に措置されるよう、あらゆる機会を通じて国に働きかけてまいります。

4.次に、石見、隠岐地域の教員採用についてであります。

 教員の生活の本拠地が出雲地域に偏在している状況にあることから、これを是正するため、平成十一年度採用試験から、小中学校の全体の採用枠の中に、勤務場所を石見・隠岐地域に限定して、教員経験のある者を対象とする選考枠を設け、教員の確保に努めてきたところでありますが、新たに、今年度から従来の採用枠とは別に、小学校に限定した特別選考枠を設け、そういったことを合わせて七名の小学校教員を採用することとしました。

 このことにより、小学校全体では、今、採用予定しております二十五名中、石見、隠岐地域に生活の本拠地を置く者の数は、十二名、率として四十八%となりますが、石見、隠岐地域の教員の確保に大きな成果をあげたところであります。

 このことを踏まえ、石見、隠岐地域の特別選考枠につきましては、今後の学校の統廃合であることとか児童生徒の減少による教職員定数の動向を勘案しながらではありますが、小学校の選考枠の拡大だけでなく、中学校へも、できる限り拡大する方向で検討してまいりたいと考えております。もちろん、科目の関係もございますけれども、拡大の方向で検討してまいりたいと思います。

5.次に、人事権の移譲についてであります。

 このことにつきましては、十一名の委員で構成する「教員人事権移譲に関する検討会議」において論点整理を行ってまいりました。

 この検討会議では、「中山間地域や離島を抱える本県の状況を勘案すると、県内全域における教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るためには、今直ちに教員の人事権を移譲することについては課題が多い」との結論に至りました。

 各市町村には、人事権の移譲についての見解にかなりの相違がありますが、おそらく180度違うと思いますが、県教育委員会といたしましては、今後、新たに県・市町村の人事担当職員等で構成する「ワーキング会議」を組織し、検討会議で指摘された課題

一つが都市部における教員の過員状態、その他の地域における教員の不足状態の発生、あるいは、異動範囲が狭くなり多様な経験ができなくなることによる教員の指導力低下の懸念等の問題に対処するための「市町村間の広域的な人事交流の仕組み」。二つ目に単独で採用試験を実施することができない市町村のための「採用試験の共同実施の仕組み」、三つめに市町村の負担を軽減するための「講師の人材バンクの共同設置等の仕組み」、四つめに市町村の負担を軽減しつつも地域に根ざした教育を実践するための「ブロック単位での権限移譲の仕組み」等について、実務者レベルでの研究を行い、その上で、市町村の意向を確認しながら、段階的にでも人事権移譲ができるかどうか検討してまいります。

6.次に、高校の適正規模についてであります。

 現在、「県立学校後期再編成計画」に基づき、平成二十年度までの県立高校の再編成を行っておりますが、この計画では本県の適正な学校規模を一学年四〜八学級としています。

 この規模を適正とする理由として、従来から申し上げていることではありますが、現行の制度では、基本的に学校の規模に基づいて教員が配置されるため、生徒の興味・関心や進路希望に対応した、多様な学習内容を提供できる適正な教員数が確保できるという点が挙げられます。

 また、一定以上の規模を有する高校では、部活動の選択肢も多く、専門的指導を行える教員も確保しやすくなります。さらに、大人の一歩手前にいる高校生にとって、さまざまな個性や価値観を持った人々の中で、切磋琢磨・相互啓発する教育環境は非常に大切であり、そうした観点からも適正規模の維持は重要な要素であります。

 これが現在の考え方でありますが、平成二十一年度以降の高校の適正規模の考え方については、今年三月に発足させる、「県立高校の再編成等に関する検討委員会」(仮称)において、多様な意見のもとに幅広い見地から議論していく予定であります。

7.次に、高校における学級編制についてであります。

 高校における入学定員については、国の標準法によって、一クラス四十人が基準となっており、必要な教員数は、その基準に基づき算出され、人件費は、ほぼ全額交付税で財源措置がなされています。

 四十人未満の少人数学級とする場合には、クラス数が多くなることに伴い、必要な教員の数も増加し、それら増加教員分の人件費は、県単独で措置することが必要なため、県下一律に実施しようとすれば、相当額の県単独の財源措置を伴うことになり、現時点では少人数学級の編制は困難であります。

 一方で、中山間地域の高校については、その学校が地域の文化的拠点となっていたり、地域の活力を引き出している場合が多いことや、なるべく生徒が自宅通学できるよう、地域の通学事情を勘案する必要があることなど、一定の配慮が必要と考えています。

 そのため、中山間地域の高校の再編成にあたっては、ある程度通学が可能な広域的エリアにおいて、適正規模の高校を配置・確保することを基本に据えておりますが、必ずしも全て一律に生徒数だけで進めていくものではなく、地域の特性や実情を考慮しながら、総合的な観点から判断していく考えであります。


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