• 背景色 
  • 文字サイズ 

尾村議員(無)

(問)学力向上対策事業について

1.学力低下の原因について伺う。

2.事業実施にあたり、施策対象はすべての児童生徒なのか、また、不登校など困難を抱える子どもへのサポートを考慮した施策なのか伺う。

3.本事業は現場教職員、保護者、テストを受ける子供たちの声を反映して計画されたものか否か伺う。また、学力調査実施にあたり保護者や教職員の理解は得られているのか伺う。

4.学力把握を悉皆調査で行う理由及び悉皆調査が学校ランク付けに利用される危惧について、所見を伺う。

5.勤務時間内での教員の教材研究、授業準備の対応に費やせる時間がどれだけあり、可能と考えているのか伺う。

6.勤務状況改善のための適正化通知は現場で周知され、実効あるものになっているのか伺う。

 

(答)広沢教育長

1.まず、学力低下の原因についてであります。

 現在の本県児童生徒の学力は、たとえば小・中学生において表現力が不十分であることや、高校入学時の国・英・数3教科の学力が低下していることなど、解決すべきさまざまな課題を抱えております。

 こうした学力低下の原因としましては、学校週五日制に伴う授業時間数の減少や、その限られた時間の中での指導手法について、教員自身も試行錯誤の状態にあること、また、家庭学習時間が全国に比べて少ないことに加え、自学自習の仕方が分からないと言う生徒も増えつつあること、さらには、夜遅くまでテレビやゲームに時間を費やすといった生活習慣上の問題など、さまざまな要因が複合的に絡まっているものと考えられます。

 こうした状況を踏まえ、四月からの「しまね学力向上プロジェクト」においては、児童生徒の学力とそれに関連する生活状況・意識等を総合的かつ正確に把握するとともに、把握した実態に基づく各種の施策を、小・中・高校一体となって進めてまいりたいと考えております。

 県教育委員会では、今年度から「ふるさと教育推進事業」と「生活習慣改善推進事業」を開始し、「豊かな心」と「健康・体力」を育てる教育を推進しているところです。十八年度は、これに「確かな学力」の育成をめざす「しまね学力向上プロジェクト」を加え、この三本柱によって、島根のすべての子供たちの健全育成に尽力していきたいと考えております。

2.次に、事業の対象についてであります。

 「しまね学力向上プロジェクト」は、本県児童生徒の学力の実態をより正確に把握するとともに、小・中・高校が一体となった対策を行おうとするものであり、一部には対象を絞った取組もありますが、基本的に、この事業は県内すべての学校及び児童生徒を対象として計画したものであります。

 たとえば、高校の「学力向上フォーラム」ににおいては、県内すべての高校が参加するとともに、普通高校・専門高校・特殊教育諸学校それぞれに分科会を設けて、学習への取組に困難な事情を抱える生徒への指導を含め、学校の実情に応じた対策について研究・協議したいと考えております。

 また、小・中学生を対象とした学力調査について申し上げますと、前回の平成十六年一月は小六・中三の二十%を対象としましたが、今回は、小三から中三までの全児童生徒を対象とし、一人ひとりへの個別指導を視野に入れた調査としております。その中で、不登校や特別な支援を要する児童生徒につきましては、本人や保護者の意思を大切にして対応することとしております。さらに、調査以外の学力向上対策事業につきましても、個々の状況に応じて、可能な範囲で対応していきたいと考えております。

 不登校児童生徒の学力保障につきましては、各学校において、児童生徒の状況とニーズに応じた支援を行っているところですが、今後も、教育支援センター等との連携を推進するなどして、学力の向上にも配慮した、きめ細かな支援に努めてまいりたいと考えております。

3.次に、学校現場や保護者等の意見についてであります。

 本事業を具体化するに当たっては、学校現場等の意見をできるだけ把握するよう努めてまいりました。

 たとえば高校については、県教育委員会の担当者が県内すべての高校へ出向き、直接現場の教員と意見を交換しました。現場からは、行政による中高連携の推進や、教員の指導力向上に向けた対策実施など、さまざまな意見・要望が寄せられました。それらの意見は、保護者や生徒のニーズを反映したものであると認識しております。

 小・中学校においても、県PTA連合会との協議や、市町村教育委員会との意見交換を重ね、それを通して学校現場や保護者の意向を伺ったものと考えております。

 次に、学力調査実施にあたっての、保護者や教職員の理解についてであります。

 学力調査の実施を検討するに際しては、昨年四月以来、市町村教育委員会の全ての教育長や小・中学校の全ての校長、さらには、県PTA連合会との意見交換を行ってまいりました。

 意見交換会の中では、児童生徒の学力の実態を詳細に把握し、その実態に基づいて適切な対策を行うべきであるとの意見や、児童生徒一人ひとりに対して適切かつ効果的な対策を行うためには、学力調査の実施が必要であるとの意見が大勢でありました。

 また、特に市町村教育委員会の教育長からは、県教育委員会が主体となって、全県的な学力調査を実施して欲しいとの要望をいただきましたし、県PTA連合会からは、この学力調査の結果と、生活や学習に関する意識調査結果との関連も、ぜひ明らかにして保護者に伝えて欲しいとの要望もいただきました。

 こうした状況から、学力調査の実施について、保護者の方々や教職員の理解は得られていると考えております。

4.次に、学力調査の対象と調査結果についてであります。

 今後の本県の学力向上対策事業をより効果的に進めていくためには、前回の抽出による調査では把握できなかった、児童生徒一人一人の学力や学ぶ意欲、学習や生活の実態や意識を把握する必要があります。そのため、できるだけ多くの学年、教科を対象に学力調査を実施したいと考え、小学校三年生から中学校三年生までの全児童生徒を対象とした悉皆による学力調査を実施することとしました。

 この調査結果は、個々の児童生徒に返し、児童生徒自らが学習意欲を高め、目標をもって学習や生活の改善に取り組めるようにしていきたいと考えております。

 そのために、児童生徒のつまずきや分析結果を把握し、一人一人の状況に応じた指導のための資料として生かしていくように、県教育委員会として指導していきたいと考えております。

 調査結果の扱いについては、県全体及び市町村別の結果を公表し、市町村に対しては、県全体の結果及び該当の市町村の結果を通知します。各学校の結果については、それぞれの学校へ通知しますが、一般へ公表したり、比較するような形での公表はしないこととしております。

 各学校においては、この調査の結果を、単に数値として見るのではなく、結果をどのように児童生徒の指導の改善に結びつけていくのか、そして、指導の結果、児童生徒がどのように成長し、また、どのような課題が残されているのかを把握するという一連のサイクルとして取り組んでいくことが重要であると考えており、この点を指導していくこととしております。

 このような調査結果の活用を行うことにより、今回の学力調査が、いわゆるランク付けではなく、児童生徒一人一人の学力を向上させ、保護者、地域から信頼される学校づくりを目指すことに繋がると考えております。

5.6.次に、勤務時間内の検証時間についてであります。

 一昨年度実施した教員の退庁時刻調査の結果によりますと、一層多様化する児童生徒への対応や、毎日の授業を魅力的にするための教材研究、児童生徒のノートの点検や、学級通信の作成など勤務時間を超えて勤務する状況も見られたところであります。

 そのため、今回の学力調査では、調査結果の集計、採点、児童生徒一人一人の結果分析票の作成、さらに、指導の工夫改善策の提示等、県教育委員会事務局が行うことにしており、学校に過重負担をかけることは考えておりません。

 各学校においては、これらの資料を基に、児童生徒の実態に応じた適切な指導及び改善が行われ、魅力ある授業づくりが一層推進されるものと考えております。

 勤務時間の適正化につきましては、勤務時間外の自主的な勤務時間が小中学校では一日平均一.七時間程度、県立学校では、平均一.四時間程度あることから、昨年度、その縮減に努め、勤務時間の適正な管理を図るよう県立学校長及び市町村教育委員会教育長あて通知したところであります。

 その後も、管理職研修会を通じて

1勤務時間の適正化について、全職員で話し合う機会を設けること

2行事の精選など、校務の見直しを行うこと

3定時退庁日を設けるなど所属職員の意識高揚を図ること

など具体的な例も示して、指導してきたところでありますが、全ての学校で教職員に主旨が周知され、改善が図られたとはいえない状況にあります。

 そのため、再度通知文を出し、全教職員へ主旨の周知を徹底させるとともに、実際の取組状況を調査し、その実態を把握した上で、改めて対応策を検討してまいりたいと考えております。

 

【再質問】学力の問題ですが、学力低下の原因様々で、今の深刻な不況は子どもたちに影を落としている。学校の先生たち子どもたちにしっかり教えたくても授業の準備の時間が無いという実態がある。ここをしっかり捉えて認識しないと、事業にズレが生じるのではないか、この点で教育長の答弁を。

 

(答)広沢教育長

 確かに学力低下にいろいろな要因があることは承知している。主な例を今日挙げた。それだけ、児童生徒への対応が複雑になってきている。それに対する教員が多忙であることを認識しているので、このたび学力向上プロジェクトも、教員が対応しやすいように、今の現状を少しでも打開しようと、一つの道を示すという目的で、進めたいと思っている。教員がよりよい授業ができるということが、結果的に負担の軽減につながるということを目指している。ただ、一方的、画一的に強制しようと押しつけるのではなく、学校現場と連携しながら一番いい方法を柔軟に考えながら進めていく必要がある。

 

(問)教育環境(東出雲車券売場)について

 ギャンブル施設が小学校の至近距離に建設されることは、子供の安全、教育上許せないが、所見を伺う。

 

(答)知事

 次に、東出雲車券売場についてであります。

 子どもたちが生きる喜び、学ぶ楽しさを感じながら成長していくためには、学校が子どもたちにとって、安全で充実した学習ができる環境にあることが求められております。

 このため、学校周辺に施設を建設する際には、施設の種類に関係なく、通学路の安全確保をはじめとして、子どもたちの生活環境や学習環境が害されることがないように配慮がなされる必要があるものと考えております。

 この施設の設置につきましては、今後、関係者において必要な協議がなされ、適切に判断されることを期待しております。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp