• 背景色 
  • 文字サイズ 

絲原議員(自民)

(問)教育基本法について

 

1.今回の教育基本法の改正は、教育の中で国の大切さを理解し、国民としてどう生きていくのか、その根本的な部分を国民に示すものと思うが、所見を伺う。

 

(答)知事

1.絲原議員の御質問にお答えします。

 まず、教育基本法改正についてであります。

 現行の教育基本法は、昭和二十二年の制定以来、半世紀以上が経過し、この間、科学技術の進歩、情報化、国際化、少子高齢化など、我が国の教育をめぐる状況は大きく変化するとともに、様々な課題が生じております。

 戦後六十年が経過し、世界に類のない経済発展を遂げ、物の豊かさについては世界有数の国となりました。反面、人を思いやる心や伝統に培われた匠の技を尊重する心など、いわば古来からの日本文化の特徴とされる精神文化を軽んじて、今日に至りました。

 そうした中で、戦後の日本について改めて精算総括し、二十一世紀の新たな理念のもとで教育を行うため、今回、教育基本法の改正が行われることとなったと承知しております。

 私は、「しまね教育ビジョン21」に示しておりますように、「人を思いやる心」「ふるさとや国を愛する心情」「規範意識や倫理観」、などの普遍的な理念を根底におき、知・徳・体のバランスの取れた子どもの育成を図ることが教育の基本であると考えております。

 このため、豊かな自然や伝統文化を尊重し、郷土や国を愛する心を育む「ふるさと教育」を積極的に推進しております。

 今回の教育基本法改正案には、「公共の精神の尊重」「我が国と郷土を愛する態度」「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」といった、今日の時代に必要とされる新たな理念・原則が盛り込まれておりますが、特に、この「国」という概念が意味するところは、国家権力に対する忠誠ではなく歴史文化を共有する国民であるとの政府見解であり、私も全く同感であります。

 

(問)新教育委員長の抱負とこれからの教育委員会について

 

1.未履修やいじめなどの問題の中、教育委員会制度の改革を求める声もあるが、本県のこれからの教育委員会の取り組み姿勢も含め、これからの抱負を伺う。

 

(答)教育委員長

1.絲原議員のご質問にお答えします。

これからの教育委員会の取り組みの姿勢でありますが、現在の本県の教育を巡りましては、学力低下や不登校問題、更には未履修問題等々、様々な課題を有しており、非常に厳しい状況にあると認識しております。

 このような時に、教育委員長という大任を仰せつかりましたことは、私自身まことに身の引き締まる思いであります。

 山積する諸課題に対し、教育委員会としては、まずもって教育現場の実態を把握し、子供達や保護者に顔の向いた教育行政に取り組まなければならないと考えております。

 具体的には、児童・生徒や保護者、そして教員等との、より一層の対話に努めるとともに、教育の様々な分野について有識者との意見交換会なども行い、現に、今年十一月一日の島根教育の日には、新たな試みとして「教育フォーラム」を開催しましたが、ことほど左様な試みも行い、教育委員会組織の活性化を計っていきたいと考えております。

 更に、私ども教育委員も、その責任の重さを再認識するとともに、広く教育諸課題に対して見識を深め、スピードと緊張感を持って本県教育行政に邁進して参りたいと考えております。

 

(問)高等学校の必修科目の未履修について

 

1.本県では全高校のほぼ四割にあたる二十三校で三千九百五十六人が未履修であり、この比率は全国で最も高い方だが、その理由を伺う。

2.生徒達にどう説明されたのか伺う。

3.再発防止に向けてのチェック体制の整備について伺う

さらに、未履修問題での処分について伺う。

4.知事は記者会見で、「各校から出された意見を県教委で集約し、国に言うべきことは言う。」として、文部科学省へ問題提起すると述べられたが、どう対応されるか伺う。

 

(答)教育長

1.2.3.まず、高校における必履修科目の未履修問題についてであります。

 この問題については、全国的な問題となっている中で、本県においても私立高校を含め二十三校が該当し、卒業や受験を控えた生徒や保護者の皆様に対して、不安や苦しみを与え、まずもって、心よりお詫び申し上げますとともに、教育に対する不信感を生じさせたことについて、県民の皆様に対して、心よりお詫び申し上げます。

 高校教育においては、平成十四年度からの完全学校週五日制の開始や、平成十五年度からの現行の学習指導要領の実施により、授業時間数が減少する一方で、必履修科目の増加や、大学入試センター試験において科目数を増加する大学が増えたことが、この問題が発生した一つの契機となっていると考えております。

 無論、高校においては、生徒の将来を見据え、知・徳・体のバランスのとれた教育を実践していく必要がありますが、本県においては、とりわけ高校が大学受験の指導に大きな役割を果たす必要がある中で、この問題は、該当校が受験に必要な科目を重点的に指導したことに起因するものであると考えております。

また、生徒や保護者に対しては、すべての該当校において、この問題の経緯と今後の対応について、ご理解が得られるよう、誠意を持って説明がなされております。

 教育委員会としては、この問題の再発防止に向けて、学習指導要領の趣旨について、改めて県立学校の全教員に周知徹底するとともに、各校のカリキュラムの運用状況を十分把握するなどの取組みを進めてまいりたいと考えております。

 この問題は、学校が組織として行い、教育委員会が結果として黙認したと考した責任があり、今後けじめのつけ方について検討してまいります。

 

(答)知事

4.次に高等学校における未履修問題についてであります。

 今回の未履修問題については、各校が大学受験に必要な科目を重点的に指導したことに起因するものであり、大学入試の在り方とも深い関連があると考えております。

 学習指導要領というルールを遵守することは無論大切なことでありますが、本県では進学指導において高校が果たすべき役割は極めて大きく、各校では教員が一丸となって、生徒の希望や保護者の期待に応えようと精力的に取り組んでいると考えております。

 この問題は、本県と同様の状況にある公立高校が抱える全国的な課題であるとも考えており、教育委員会において、他県とも情報交換をしつつ、現行の大学入試や学習指導要領などについて改善すべき点があれば、国に求めていく必要があると考えております。

 

(問)学習指導要領の改正について

1.学習指導要領の改訂の方向並びに期待されるものについて伺う。

 

(答)教育長

1.次に、学習指導要領の改訂の方向並びに期待されるものについてであります。

 現在学習指導要領全体の見直しが審議されているところです。

 審議経過報告では、教育内容の改善の基本的な方向として、「言葉や体験などの学習や生活の基盤づくりの重視」「確かな学力の育成」などが提示されております。

 また、教育課程の具体的な改善としては「指導方法、授業時数の見直し」「発達や学年の段階に応じた教育課程編成や指導の工夫」「学校週五日制の下での学習機会の拡充」などが示されております。

 現在審議中ではありますが、教育基本法の改正により、連動して学校教育法の一部が改められ、併せて学習指導要領も改訂されることになります。規範意識や伝統文化の尊重なども含めたものになると承知しております。

 いずれにいたしましても、学習指導要領の改訂に当たっては、小・中・高それぞれの学校を貫く確固たる教育理念により、学習内容が地域の実態に即して系統的に学べるようになることを願っております。

(問)小学校での英語教育について

1.県内の小学校での英語教育の実施状況と、その効果、必修化に向けた所見を伺う。

 

(答)教育長

1.次に、本県における小学校での英語教育についてであります。

 私は、国語力がすべての教科の基本となるものであり、例えば、算数・数学の文章問題においても、その問題内容を理解するには国語力がないことにはアプローチできないと言うことであります。また、他者とのコミュニケーションとか、論理的な思考を行ったり、あるいは記憶をするということにつきましても、国語力がそれらを支える基本的な能力であると考えております。

 本県における英語活動の実施状況についてですが、英語活動を英語教育という使い方をしますと、総合学習とかで行っておりますのが英語活動ということでお答えしますが、本県における英語活動の実施状況は、平成十七年度は全小学校の95.8%にあたる二百五十一校で実施されています。各学年とも先ほど申し上げました「総合的な学習の時間」年間に四から十一時間程度行われております。「歌やゲームなど英語に親しむ活動」や「挨拶、自己紹介などの簡単な英会話の練習」などが行われております。このような取組の結果、楽しくのびのびと英語を表現したり、積極的にコミュニケーションを図ろうとする児童が育ちつつあるとの報告を受けております。

 英語教育の意義については、中央教育審議会が審議経過報告の中で、コミュニケーションへの積極的な態度を育てること、国語や我が国の文化を含め、言語や文化への理解を深めること、小学生の柔軟な適応力を生かして、聞く力を育てることの大きく三つを示しております。

 小学校から英語教育を導入する是非については様々な意見があり、明確な方向付けがなされていない状況であります。中央教育審議会が示した意義を踏まえ、先ほど述べましたような歌やゲーム、自己紹介などを通じて、中学校での英語学習へのとまどいや抵抗感を軽減し、意欲的に取り組む素地をつくる英語活動であることが大切と考えております。

 

(問)学力調査について

1.調査結果について、県、市町村教委、小中学校での具体的な情報の持ち方と対応策について伺う。

 また、その状況は保護者にどう伝えられているか伺う。

 

(答)教育長

1.次に、学力調査について、県、市町村教委、小中学校での具体的な情報の持ち方と対応策についてであります。

 今回の調査結果については、県は、同じ調査問題を使って実施した全国の百十自治体の平均値と県全体及び市町村のデータを保有しております。

 市町村は、それに加えて、自らの市町村及び各学校のデータを把握しております。

 また、各学校は、さらに自校のデータと学年、学級、児童生徒一人一人のデータを把握しており、現場に近づくほど、より自らのデータを詳細に持っている形になっています。

 県、各市町村、各学校では、これらの情報を関連付けながら分析し、それぞれの立場で課題を明らかにしてきました。

 こうした課題を解決するため、市町村や学校へ指導主事を派遣し、また、管理職研修会において学力向上のためのマネジメントのあり方を研修させるなど、市町村や学校と一体となった取組を推進しているところであります。

 保護者に対しては、七月に個人カードを利用して、児童生徒一人一人の結果と改善すべき点を知らせております。また、全国百十自治体の平均値及び県全体と市町村の結果を、県教育委員会のホームページに掲載しています。

 今後、教科の学力と生活習慣などの関連性をリーフレットにまとめ、保護者に配布して意識を高めるとともに、広報紙「教育しまね」を活用して分析結果の周知を図ることとしております。

 

(問)スポーツ振興について

1.中学校、高校、社会人と一貫した競技力向上を進めるため、種目と地域を限定してでも専門指導ができる教員について異動ルールの柔軟化ができないか、競技力向上に向けた支援と併せ伺う。

2.総合型地域スポーツクラブの制度と本県の広域スポーツセンター及び総合型地域スポーツクラブの設置状況並びに今後の動向について伺う。

3.学校の運動部活動について、家庭、地域が主体となって行うスポーツクラブの活動と一体となって行うことも検討すべきと思うが、現在の中学校の運動部活動の課題、在り方も含め所見を伺う。

4.総合型地域スポーツクラブの設立・運営について、健康づくり事業も含めた公費助成や自主財源の確保策の現状について、県内のクラブの状況も含めて伺う。

 

(答)教育長

1.次に、競技力向上に向けた教員の異動ルールの柔軟化と競技力向上への支援についてお答えします。

 本年開催された全国高等学校総合体育大会では、横田高校男子ホッケー部が十五年振りの優勝を、さらに、国民体育大会では横田高校女子ホッケー部が十一年振りの優勝を果たしてくれました。

 くにびき国体を契機として、地域が一体となってホッケーの振興に努めてこられた成果であり、私だけでなく県民にも勇気と感動を与えてくれたと思っております。

 今後も、選手をはじめ関係者の方々が協力し、さらなる競技力向上に取り組まれることを期待しています。

 御質問のありました、教員の異動ルールについてでありますが、県立高校については、現在、ホッケー、水球、カヌーなど六競技については、異動ルールを適用しない「特別体育専任教員制度」により、長期間の指導が可能となる教員を配置しており、これらの競技については、競技力向上に向けた取組みが継続的に実施されています。

 これ以外の競技については、平成十七年に策定した島根県スポーツ振興計画では、県立高校の重点校の一部を対象とした特別な措置を盛り込んでおり、現在、具体策について検討を進めています。

 また、中学校については、現在の異動ルールの中で、個別に対応しています。今後、後任の指導者の配置についても計画的に行っていきたいと考えております。

 次に、競技力向上への支援についてお答えします。

 ここ数年、選手強化費を削減する中にあって、より重点的な配分が課題となっています。

 このため、中・高校生を対象に実施するジュニア競技力向上対策については、過去の全国大会での競技成績等をもとに、競技指定やランク付けした上で強化費を傾斜配分することとしました。

 また、国体選手強化についても、次回国体から、ジュニア強化費と同様な方法で傾斜配分することとしております。

 

2.次に、総合型地域スポーツクラブについてお答えします。

 総合型地域スポーツクラブは、企業や公的機関が行いますスポーツ施設や健康づくり施設とは異なり、地域の住民が主体的に運営するスポーツクラブで、中学校区程度の区域において、学校体育施設や公共スポーツ施設などで活動を行っています。

 このクラブは、複数の種目が用意されていること、子どもからお年寄りまで幅広い世代がそれぞれの興味・関心、体力、技術などに応じて活動できることを特徴としており、子どもたちのスポーツ活動の受け皿や成人の健康づくりにも寄与するものと考えております。

 島根県スポーツ振興計画では、「平成二十二年度までに少なくとも各市町村に一つのクラブ設立」という目標を掲げています。

 平成十七年四月には、こうした計画を推進するため、島根県立水泳プール内に、市町村等に対する説明会やクラブの創設、運営への支援事業を実施する機関として「しまね広域スポーツセンター」を設置しました。

 また、県内のクラブ設立等の状況でありますが、本年十一月時点では、県内の五市町で十四クラブが設立されております。この他にも五クラブが設立準備活動を行っており、今後、クラブ数は増加していくものと考えております。

 

3.次に、中学校の運動部活動やスポーツクラブの活動ついてお答えします。

 県内の公立中学校では十九種目七百九十五の運動部が設置されていますが、経験のない種目を担当する教員の負担解消に向けた外部指導者の確保や、部員数の減少に伴う休部・廃部への対応策を講ずることが課題となっています。

 運動部活動は、学校教育活動の一環として位置づけられ、各学校において学校管理下のもとに計画的に実施されており、教員や保護者も運動部活動の教育的価値については、共鳴していると思っております。

 当面は、外部指導者の確保などの課題解決を図りながら、運動部活動を継続していくことが大切であると考えております。

 ご提案のありましたように地域住民が主体となって運営しておりますスポーツクラブが、こうした中学生の受け皿になりまして、体力とか、運動能力の向上のための機能を果たすということについても意義がありますし、また、こうしたやり方は単にスポーツという面だけでなく、地域のコミュニティーを振興していくという視点でも意義があるのではないかと考えておりますので、検討すべき課題と考えています。

 

4.次に、総合型地域スポーツクラブへの公費助成やクラブの自主財源の現状についてお答えします。

 総合型地域スポーツクラブの設立に向けては、日本体育協会が、設立までの二年間で三百三十万円を上限とした助成を行っております。事業名が「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」という名前でありますが、県内のクラブの多くは、この事業を活用し設立準備委員会を開催したり加入促進を目的としたスポーツ教室などを実施しています。

 この他、設立後の公的助成の活用事例としては、健康・体力づくり事業財団が実施している「シニア体力アップステーション事業」により、スポーツ教室や講演会を開催している事例があります。

 また、クラブの課題である運営財源の確保についてですが、ほとんどのクラブは、会員一人あたり年間数千円程度の会費を基本財源としていますが、市町村からの助成金などを一部財源として活動を行っているクラブもあると承知しております。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp