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平成30年6月定例県議会知事提案理由説明要旨

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.県西部を震源とした地震災害)
(1)まず、4月9日に発生しました県西部を震源とする地震について申し上げます。
このたびの地震により被災された方々に、改めましてお見舞いを申し上げます。

 

(2)県としましては、早期の復旧・復興を図るため、
(ア)被災住宅への支援制度の対象を一部破損まで拡充
(イ)県産木材や石州瓦を活用した修繕に対する助成制度の創設
(ウ)農業者や中小企業者等の復旧資金の支援
(エ)観光業を中心とする風評被害対策
などにつきまして、専決処分により補正予算を編成しております。

 

(3)さらに必要な対策として、住宅の石垣などの復旧支援、賃貸住宅に入居する方への支援、農業や水産業の共同利用施設の復旧支援などに必要な歳出として、今議会に補正予算案を提出しております。

 

(4)県としましては、引き続き、復旧・復興のため関係市町とともに全力を挙げて取り組んでまいります。

 

(2.最近の経済情勢)
次に、経済動向について申し上げます。

日本経済の動向を見ますと、景気は緩やかに回復しておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響によく注意する必要があります。

県内経済につきましては、企業の生産活動など総じて持ち直しの動きが続いておりますが、人手不足に伴う影響などが懸念されることから、県としましては、引き続き内外の情勢をよく注視しながら、必要な対応を行ってまいります。

 

(3.産業振興)
次に、産業振興について申し上げます。

 

(1)まず、観光につきましては、今年度は数多くのイベントが開催されます。
7月からは「山陰デスティネーションキャンペーン」が始まります。
このキャンペーンに併せて、出雲市と鳥取市を結ぶ観光列車「あめつち」の運行が開始されるほか、「不昧公200年祭」や「大山開山1300年祭」なども開催されます。
これらを積極的に活用して、観光誘客につなげてまいります。

(2)日本遺産につきましては、すでに認定を受けている「出雲國たたら風土記」に安来市「富田城跡」が、また、山形県など七道県の地域を対象とする「北前船寄港地・船主集落」に浜田市の「外ノ浦の町並み」など4件が新たに認定されました。
これは、地元の皆様のご尽力の賜物であり、県としましてもこうした地域の歴史文化を積極的に情報発信してまいります。

 

(3)国内外からの誘客に必要な出雲縁結び空港につきましては、3月に静岡線、4月に仙台線が新たに開設されました。
県はこの開設の決定を受け、2月に仙台市において観光情報説明会を行い、3月に静岡市においてキャラバン隊によるPR活動を行いました。
今後も、こうした路線を活用した観光誘客に取り組んでまいります。

 

(4)石見地域におきましては、石見神楽を組み込んだ旅行商品の造成や、山口県との連携による広域周遊の取組みなどを進め、萩・石見空港の利用促進につなげてまいります。
5月には外国のクルーズ客船が初めて浜田港に寄港し、バスツアーや物産展などを通じて石見の様々な魅力に触れていただきました。
今年度はこのほか2回の寄港が予定されており、引き続き、地元と協力しながら国内外のクルーズ客船の誘致に取り組んでまいります。

 

(5)隠岐地域におきましては、隠岐観光協会が作成した、インターネットから様々な体験メニューを予約できる仕組みが4月から始まりました。
今後とも、世界ジオパークを活用するなど、隠岐4町村と連携して観光誘客を進めてまいります。

(6)「しまねの自然公園満喫プロジェクト」につきましては、三瓶自然館の機能強化や遊歩道などの整備を進めるほか、地元自治体などとともに、国内外からの来訪者に島根の自然や歴史文化などの魅力を楽しみながら体験してもらうメニューづくりなどを進めてまいります。

 

(7)2020年1月から3月に、東京国立博物館において奈良県と共同で開催する展覧会の名称が、今般このように決定されております。『日本書紀成立1300年特別展「出雲と大和」』であります。
東京オリンピック・パラリンピックをすぐに控えた時期の開催であり、国内外の多くの人々に島根の歴史文化をアピールできる展覧会となるよう、準備を進めてまいります。

(8)国際観光につきましては、近年、中国地方においても国際航空路線が充実してきております。
山陰インバウンド機構や中国地方各県などと連携し、旅行会社やメディアを広域周遊ルートの視察に招いて、商品造成や情報発信の強化につなげるとともに、レンタカーを利用して周遊するモデルツアーを行うなど、外国人観光客の誘致を進めてまいります。

 

(9)今月15日には住宅宿泊事業法が施行されますが、県内でも民泊の普及により、周辺への騒音の増加などの問題が起きることが懸念されます。
このため、民泊の適正な運営を確保するよう、地域の状況に応じて民泊を制限する区域及び期間を定める条例案を今議会に提出をしております。

 

(10)ものづくり産業につきましては、県の産業技術センターの先端技術イノベーションプロジェクトとして、今年度からAIや通信技術を用いたロボットの開発などに取り組んでまいります。

 

(11)IT産業につきましては、島根大学と連携しまして、県内IT企業の技術者が学生に実践的なシステム開発等の指導を行う講座を新たに始めるなど、IT人材の育成・確保を強化してまいります。

(12)企業誘致につきましては、昨年度は16件の立地認定を行い、認定企業の総投資額は約385億円、新規雇用者計画数は約550人となりました。
今年度は、企業誘致専門員の増員や支援制度の拡充を行い、特に石見地域などの中山間地域で立地が進むよう、企業誘致の取組みを強化してまいります。

 

(13)県内事業者の事業承継につきましては、今年度から、隠岐地域にも推進員を配置し、市町村の推進員の配置に対しても助成するなど、より身近な地域で相談や支援が受けられるよう、体制を強化しました。
また、地域において円滑に事業承継が進むよう、必要な対策を協議する地域協議会の全市町村での設置を進めてまいります。

 

(14)県内企業における人材確保は、依然として厳しい状況にあります。
このため、今年度から県内大学等と連携し、低学年次の学生やその保護者などを対象とした企業見学ツアーや、学生と若手社員との交流会を行ってまいります。
また、県内企業が採用力の強化やインターンシップ受入プログラムの充実を図るためのセミナーの開催などの支援を行ってまいります。

 

(4.農林水産業の振興)
次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 

(1)農業につきましては、4月から国による新たな米政策がスタートしました。
県としましては、業務用米や複数年契約の拡大に向けた取組みを進め、需要に応じた米づくりを推進してまいります。
また、水田を活用した園芸作物の振興などに取り組んでまいります。

 

(2)新規就農者につきましては、年間160人を超える高い水準を維持しており、今後も引き続き、相談から就農まできめ細かな支援を行ってまいります。

 

(3)島根県独自の「美味しまね認証制度」につきましては、昨年度は新たに約80品目、100の経営体が認証を受けるなど、普及が進んでおります。
今後も、取組みを拡大するとともに、島根の産品が多くの消費者の安心と信頼を得られるよう、認証基準を高くするなど制度の改善を進めてまいります。

(4)林業につきましては、来年度から、市町村が意欲と能力のある林業経営体に対し森林経営を集約化し、森林資源の適切な管理を行う「新たな森林管理システム」がスタートします。
県内では、原木生産量が着実に増加するなど循環型林業が根付きつつあり、このシステムを活用して林業の成長産業化を図ることが重要であります。

このため、4月から、林業事業体の体質強化を図る「島根林業魅力向上プログラム」と島根県独自で林業就業者の資格を認定する「しまね林業士制度」を創設し、林業の魅力アップ、林業事業体の基盤強化や労働条件の向上等を通じた林業の担い手の確保・育成を推進してまいります。

(5)水産業につきましては、昨年は、イワシやサバなどの豊漁もあって、島根県の漁業生産量は前年に比べ22%増の13万2,000トンとなりました。
今後も生産量を増加していけるよう、沖合底びき網漁業など基幹漁業の構造改革による収益性の向上と沿岸漁業の担い手確保を進め、漁業・漁村の活力再生を図ってまいります。

また、シジミの資源管理につきましては、国や大学の研究機関などによる協議会のこれまでの研究によって、資源変動をある程度予測することが可能となりました。
今後、この研究成果を活用し、資源の適切な管理を推進してまいります。

 

(5.結婚・出産・子育て支援)
次に、結婚・出産・子育て支援について申し上げます。

 

(1)結婚支援につきましては、平成19年から始まった縁結びボランティア「はぴこ」が結んだ成婚者数が、先月、500人になりました。
今後も、「縁結びサポートセンター」を中心に、官民一体となって進めてまいります。

(2)出産支援につきましては、不妊治療の理解を深め、早期に検査を受けていただくため、4月から男性不妊検査費の助成率を5割から7割に引き上げたところであります。
今後とも、子どもを生み育てることを望むご夫婦の希望をかなえる取組みを強化してまいります。

 

(3)子育て支援につきましては、待機児童の解消に向けた保育の受け皿確保や、中山間地域で子育て支援の拠点となる小規模な保育所の運営支援を強化してまいります。
また、市町村等が行う放課後児童クラブの整備に対して上乗せ補助を行い、放課後児童クラブの受入れ児童数の拡充を図ってまいります。

(6.女性活躍の推進)
次に、女性活躍の推進について申し上げます。

 

女性を対象としたワンストップでの就労支援と就労後のフォローアップを進めるため、先月、松江市と浜田市に「レディース仕事センター」を開設しました。

また、企業にアドバイザーを派遣したり、就業環境の改善のための整備費を助成するなど、誰もが働き続けられる職場環境づくりを進めております。
これらにより、女性が、全国一働きやすく、活躍できる島根県になるよう取り組んでまいります。

(7.中山間地域・離島対策と移住・定住対策)
次に、中山間地域・離島対策と移住・定住対策について申し上げます。

 

(1)中山間地域における「小さな拠点づくり」につきましては、若い世代の方々が、地域の課題に目を向け、地域の生活機能や生活交通を確保するための取組みに参加する事例が各地で増えてきております。
こうした事例が多くの人々に伝わり、住民自ら知恵や力を出し合って課題を解決しようとする意識が広がって、「小さな拠点づくり」に取り組む地域がさらに増えていくよう、支援してまいります。

 

(2)過疎対策につきましては、現行の過疎法が2020年度末に期限を迎えることから、国においては、有識者による「過疎問題懇談会」を設置され、今年度中には時代に対応した新たな過疎対策について基本的な考え方を示すとされております。

県としましては、国における議論の行方をよく注視するとともに、過疎地域の実態と対策を継続する必要性をしっかりと国に訴えていく必要があります。
このため、先ごろ市町村とともに「過疎地域対策研究会」を設置しました。
今後、この研究会を通じて、市町村の意見や提案などをよくお聞きし、県内の状況や課題を把握して、新たな支援策についての提言をまとめ、国などへ働きかけを強化していく考えであります。

 

(3)移住・定住対策につきましては、定着率の向上が大きな課題であることから、移住を希望する方々が将来の生活をイメージしやすいよう、生活関連情報の充実と相談体制の強化に努めてまいります。
また、移住後の悩みやお困りごとの解決に向けた支援を、地域づくりに取り組む団体などと連携して強化してまいります。

さらに、地方の課題解決などに積極的に取り組む人々、いわゆる「関係人口」を拡大するため、大都市圏の企業や大学との連携を進め、島根に関心を持っていただく機会を創出してまいります。

 

(8.社会基盤の整備)
次に、社会基盤の整備について申し上げます。

 

(1)山陰道につきましては、朝山・大田道路が3月18日に開通しました。
今年度は、多伎・朝山道路が開通する予定であり、今後も着実に整備が進められるよう、沿線市とともに事業推進に取り組んでまいります。

(2)浜田港につきましては、ふ頭と山陰道とを直結する臨港道路福井4号線が3月に開通し、コンテナなどの輸送が効率化されました。
今年度中には、新たに大型の荷役クレーンを整備し、さらにコンテナ輸送を強化する予定であります。
また、昨年改訂しました港湾計画に基づき、浜田港の整備を進めてまいります。

 

(3)三江線の廃止に伴う代替交通として、4月からバス運行が始まりました。
この利用者数は、これまでのところ、三江線廃止前の三江線と沿線バスを合わせた利用者数を上回っており、沿線市町も「スタートとしてはまずまず」と受け止めておられるようです。

今後も、沿線市町や広島県と連携して、利用促進や、利便性の向上などを図り、この新しい地域公共交通を将来にわたって維持していけるよう、努めてまいります。

また、先月、JR西日本から三江線沿線の地域公共交通の持続可能性を高めるためとして、県に対して7,000万円の寄附の申出がありました。
今後、沿線市町の意見をよくお聞きし、この寄附金の活用方法を検討してまいります。

 

(4)開港25周年を迎える萩・石見空港の東京線につきましては、昨年度の利用者数は14万1,000人余と、目標の14万2,000人には届きませんでしたが、過去最高となりました。

今後は、さらなる利用者数の増加を目指して、利用促進対策会議を中心に、山口県や地元協議会、両県の観光団体や航空会社などと連携して、ビジネス利用などの安定的な需要の創出を進めてまいります。

 

(9.地域医療と介護・福祉の充実)
次に、地域医療と介護・福祉の充実について申し上げます。

 

誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、地域の実情に応じた住まいや医療、介護、生活支援などを一体的に提供するための、地域包括ケアシステムの構築が極めて重要であります。

このたび策定しました「保健医療計画」と「介護保険事業支援計画」に基づき、在宅医療の推進、医療と介護の連携に取り組んでまいります。
また、市町村や関係機関とともに、地域における取組みを支援し、必要となる支援策を国に求めてまいります。

(10.教育の充実)
次に、教育の充実について申し上げます。

 

社会の変化や生徒のニーズの多様化等に対応した高校教育の在り方について検討しておられた「今後の県立高校の在り方検討委員会」の提言が3月に教育委員会に提出されました。
今後、この提言の具体化に向け、教育委員会において検討を進めてまいります。

 

(11.原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発3号機につきましては、中国電力は、先月22日に、原子力規制委員会への新規制基準適合性審査についての申請に先立って、県に対し、安全協定に基づく事前了解願いを提出しました。

 

(2)県は、この原子力規制委員会への申請を了解するかどうかについて、今月6日に、専門家で構成する顧問会議や住民の方々も参加する安全対策協議会の意見をお聴きしました。
今後、県議会や関係自治体などの意見もお聴きして、県として判断いたします。

 

(3)今後、3号機の稼働を認めるかどうかにつきましては、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査の終了後に、今回と同様に各方面の意見をお聴きして、県として最終的に判断することとしております。

 

(4)次に、平成27年6月に発生しました低レベル放射性廃棄物に係る流量計の取扱いに関する不適切事案につきましては、原子力規制委員会が、先月16日、中国電力が行う改善措置の完了を確認をいたしました。
県は、これを受けて、昨日、立入調査を行いました。
県としましては、今後も中国電力の取組状況を注視してまいります。

 

(5)島根原発の防災対策につきましては、3月に、災害時に住民が避難する際の受入手順などを定めたガイドラインを作成し、避難先自治体に示したところです。
引き続き、国、島根・鳥取両県、原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、検討を進めてまいります。

(12.防犯・交通安全対策)
次に、防犯・交通安全対策について申し上げます。

 

県内では依然として、高齢者を中心とした特殊詐欺被害が発生しており、また、交通事故死者数に占める高齢者の割合が高い状況が続いております。
これらの状況を踏まえ、関係機関などと連携して対策を一層進め、安全で安心な県民生活の確保に努めてまいります。

 

(13.広報の強化)
次に、広報の強化について申し上げます。

 

これまで申し述べてまいりました様々な県の施策を推進していくためには、県民の方々のご理解とご協力をいただき、そして広く県内外にしまねの魅力をPRしていくことが重要であります。

このため、今年度は、地域での取組みが重要な「小さな拠点づくり」について、その目的、目指す成果などを県民の方々にご理解いただけるよう、新聞やテレビ、イベントなどを通じまして丁寧に広報してまいります。

さらに、こうした県の施策に対する県民の方々のご意見を幅広くお聞きし、今後の県政に活かしてまいります。
また、しまねの魅力の広報につきましては、インターネットを有効に活用して情報の量と質の充実を図り、県内外や国内外に向けて情報の発信を強化してまいります。

 

(14.補正予算など提出議案)
それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

一般会計の補正予算案につきましては、島根県西部を震源とする地震からの復旧・復興を図るための対策のほか、早急に対応すべきものについて措置し、総額8億2,000万円を増額しております。

 

この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,530億円となります。

 

この補正予算案のほか、条例案3件、一般事件案7件の計11件を提出しております。

 

これらの議案の詳細につきましては、総務部長から説明をさせることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。

 


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