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平成29年9月定例県議知事提案理由説明要旨

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.最近の諸情勢)

(1)まず、日本経済の動向を見ますと、緩やかな景気回復の動きが続いておりますが、米国や欧州・アジア各国などの政策展開や金融資本市場の変動などによく留意していく必要があるように思われます。

県内経済につきましては、企業の生産活動など全体として持ち直しの動きが続いておりますが、世界経済の変動などに注意が必要であります。

県としましては、引き続き内外の情勢をよく注視しながら、必要な対策を取ってまいります。

 

(2)北朝鮮の動向につきましては、先月中旬、中距離弾道ミサイルのグアム島沖への発射が検討されているとの報道があり、県では関係近隣県と連携して、国に対し、住民の生命・財産を守り、安全・安心を確保するため、適切な対応をされるよう、要請を行いました。

国におきましては、地上配備型迎撃ミサイル「PAC-3」を中四国の4県に配置するなど、迅速な対応がなされたところであります。

その後も、北朝鮮は、先月29日には北海道の上空を通過する弾道ミサイルを発射し、そして今月3日には核実験を強行するなど、日本にとって深刻かつ重大な脅威となっております。

国におかれましては、引き続き、米国、韓国、中国及びロシアなどと連携を図り、国際社会と協調して、北朝鮮が不法な行為を行わないよう対応されることを要望するものであります。

また、県としましては、国、市町村、消防など関係機関との連携を進め、緊急時の安全確保に万全を期してまいります。

 

(2.産業振興)

次に、産業振興について申し上げます。

 

(1)観光につきましては、世界遺産登録10周年を記念して開催しました「石見銀山展」の入場者数が3万人を超え、特に地元大田市の石見銀山資料館には、例年の2倍の入館者があり、多くの皆様に石見銀山がもつ世界的な価値などに触れていただく機会となりました。

 

(2)観光情報の発信につきましては、来月、東京において、旅行会社などを招きまして観光情報説明会を開催いたします。

また、3年目を迎える「ご縁の国しまね」プロモーションにつきましても、EXILEの皆さんとともにプレス発表をする予定であります。

今後も、首都圏などを中心に、国宝の松江城天守や世界遺産の石見銀山、県内3カ所の日本遺産など、優れた観光素材を活かす情報発信を行ってまいります。

 

(3)JR西日本においては、来年夏から鳥取駅・出雲市駅間に新たな観光列車「あめつち」を運行することになりました。

県としましては、来年夏に行われる「山陰デスティネーションキャンペーン」に向けて、宣伝販売会議の開催をはじめ、旅行商品の充実や受入体制の整備などを行い、誘客の促進に努めてまいります。

 

(4)国際観光につきましては、山陰両県と民間団体で設立した「山陰インバウンド機構」が、来月2日、一般社団法人化され、人員体制も強化されることとなっています。

また7月には、中海・宍道湖・大山圏域の5市や経済団体等によるインバウンド機構が設立されるなど、県内各地でも外国人の受入体制の整備が進んでおります。

こうした団体や市町村などと連携して、外国人のさらなる誘客を促進してまいります。

 

(5)「しまねの自然公園満喫プロジェクト」につきましては、大山隠岐国立公園や、県立自然公園を中心に、地域の豊かな自然、文化・歴史などを一体的に楽しんでもらえるよう、地元自治体等と一緒になりまして、魅力ある体験プログラムの作成などに引き続き取り組んでまいります。

 

(6)11月4日、5日の両日、出雲市と浜田市において「地域伝統芸能全国大会日本の祭りinしまね」を開催いたします。地元の浜田石見神楽社中連絡協議会や安来節保存会をはじめ、国内外から伝統芸能を継承する約30の団体が参加される予定であります。

この大会を通じて、島根の伝統芸能の魅力をアピールしてまいります。

 

(7)ものづくり産業につきましては、特殊鋼関連産業の航空機分野への参入の取組みに対して重点的な支援を行っており、展示会への出展や営業活動等により、翼やエンジンの関連部品などの受注が出てきております。

また、島根大学では、特殊鋼関連企業との共同研究講座が先月開設され、また来年度には、総合理工学部に鉄鋼や金属材料を専門とする学科が設置される予定であります。

 

(8)企業誘致につきましては、今年度は8月末時点で、12件の認定により436人の新規雇用が見込まれております。

10月に大阪で開催する立地セミナーでは、県内に定着して実績を上げている企業の成功事例や、地元自治体のきめ細かな支援策を紹介するなど、中山間地域を含めた県全体で立地が進むよう、PRに努めてまいります。

 

(9)人材の確保につきましては、来月、大学生等を対象とした就職面接会を開催するほか、この秋に大阪と東京で開催するUIターンフェアにおいて県内企業の説明ブースを設けるなど、人材確保に向けた支援を積極的に進めてまいります。

また、インターンシップを推進するため、今月には県内の大学や経済団体、国など関係機関による協議会を立ち上げ、より多くの学生に県内の産業や企業への理解を深めてもらうよう、努めてまいります。

 

(3.農林水産業の振興)

次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 

(1)平成32年に行われる「第71回全国植樹祭」につきましては、島根県での開催が、先月、正式に決定しました。

県では、「伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業を全国に先駆けて推進しており、この取組みを全国にアピールするとともに、森林の働きや緑化の必要性などに対する理解が深まるよう、準備を進めてまいります。

 

(2)7月に大枠合意がなされた日・EU経済連携協定につきましては、県内農林水産業関係者の不安を解消するため、国に対して、合意の内容や国内への影響等について丁寧な説明を求めるとともに、影響が懸念される分野について万全の対策を講じるよう、働きかけてまいります。

 

(3)畜産業につきましては、明日から宮城県で、5年に一度の「全国和牛能力共進会」が開催されます。県では、前回大会の結果を踏まえ、長期的戦略での出品対策の支援を行ってきたところであり、その成果が現れることを期待しております。

私も、明日現地を訪問して、関係の皆さんを激励してまいります。

 

(4)水産業につきましては、浜田地区の沖合底びき網漁業において漁船の鮮度保持機能の強化によるブランド化に取り組み、昨シーズンの水揚げは、過去10年間で最高の18億円を超える額となりました。

引き続き、高性能漁船の導入による収益性の改善や、流通・生産拠点の機能強化などにより、県内水産業の振興を図ってまいります。

 

(4.結婚支援・女性の活躍推進)

次に、結婚支援と女性の活躍推進について申し上げます。

 

(1)結婚支援につきましては、新たに鳥取県と共同で、インターネットを活用したPR動画の配信や、結婚をテーマとしたフォーラムの開催、独身男女のための出会いイベントの情報発信などを行い、地域全体で結婚を応援する機運を盛り上げてまいります。

 

(2)女性の活躍推進につきましては、「しまね働く女性きらめき応援会議」と連携し、先進的な企業の取組み事例の紹介や、女性活躍につながる就業環境の整備に取り組む企業への支援などに、引き続き取り組んでまいります。

また、県の審議会等における女性参画割合について、平成32年度末には50%となるよう、男女共同参画計画の目標を引き上げました。今後、この目標達成に向け、全力をあげてまいります。

 

(5.移住・定住対策と中山間地域・離島対策)

次に、移住・定住対策と中山間地域・離島対策について申し上げます。

 

(1)移住・定住対策につきましては、都市部の若い世代を中心に子育てしやすい環境、古き良き文化・歴史や豊かな自然が残る地方へUIターンする人が増えてきております。

県や、ふるさと島根定住財団で行ってきたこれまでの施策の成果を検証しながら、島根へのUIターンが一層進むよう努めてまいります。

また、島根で生まれ育った子どもや若者たちが、様々な体験を通じて、「島根に住み続けたい」と思うような取組みを、市町村や関係機関と連携して進めてまいります。

 

(2)中山間地域対策につきましては、地域包括ケアシステムの構築や生活交通の再編など、具体的な課題への取組みを足掛かりに、「小さな拠点づくり」を進める市町村が出てきております。

今後も、住民の話し合いから計画づくり、さらには実践活動へと進む地域が増えるよう、支援してまいります。

 

(3)離島対策につきましては、先月、有人国境離島法に基づく「県計画」を策定し、国に提出いたしました。

隠岐4町村の住民の方々を対象に4月から先行実施しております航路・航空路運賃の低廉化に加え、隠岐地域への来訪者の拡大や、新規雇用者の増加につなげるための施策を隠岐4町村と連携して進めてまいります。

 

(6.社会基盤の整備)

次に、社会基盤の整備について申し上げます。

 

(1)山陰道につきましては、朝山・大田道路の整備が着実に進められ、今年度中に開通する予定です。

今後とも、残る事業中区間の早期開通に向け、沿線市とともに事業推進に取り組んでまいります。

「益田・萩間」につきましては、先月開催された社会資本整備審議会の小委員会において、島根県内の優先区間として「須子・小浜間」が追加選定され、これにより、既に選定されている「小浜・田万川間」と合わせ、益田以西の県内区間は全て優先区間となりました。

「益田・萩間」の事業化に向けた手続きを早急に進め、早期に事業着手するよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。

 

(2)浜田港につきましては、日本海側拠点港としての機能強化を図るための様々な事業が進められております。

福井地区では、岸壁の改良工事が完成し、7月から釜山港との定期コンテナ船の大型化が実現しました。

現在、コンテナの荷役作業の効率化に向け、新たな荷役クレーンの整備を進めております。

また、来年春には、山陰道浜田港インターチェンジと直結する臨港道路福井4号線が供用開始される予定であります。

浜田港のさらなる機能強化に向け、浜田港港湾計画を今年度中に改訂し、手狭となっている福井ふ頭の拡大や港全体の効率的な利用に向け、国や地元の方々と一緒になって取り組んでまいります。

 

(3)萩・石見空港の東京線につきましては、6月議会で承認された誘客対策の効果もあり、この7月、8月の利用者数が過去最高となりました。今後とも、利用者確保に努めてまいります。

また、今月4日には、山口県や地元協議会、両県の商工・観光関係団体の参画を得まして、私を会長とする「萩・石見空港東京線利用促進対策会議」を設立しました。

この会議を通じて、広域連携による効果的な施策の企画・立案や事業の進捗管理等を行い、将来にわたって2便運航が継続するよう、努めてまいります。

 

(4)次に、三江線につきましては、持続可能な代替交通の確保に向けて、関係者間で検討が進められ、今月1日には、運行ルート、運行事業者、停留所、運行ダイヤなどの運行計画の詳細が決定されました。

県としましては、三江線廃止予定日の来年4月1日までに、この運行計画に基づく代替交通が確保され、地域住民の方々などの移動に支障が生じないよう、引き続き沿線6市町、JR西日本、広島県などとよく協議をしながら、全力で取り組んでまいります。

 

(7.医療・福祉の充実と健康増進)

次に、医療と福祉の充実及び健康の増進について申し上げます。

 

(1)県民誰もが住み慣れた地域で生涯を通じて安心して暮らせるためには、それぞれの地域の実情に応じた地域包括ケアシステムを構築していくことが重要であります。

現在、各地域において、医療・介護の専門職や関係機関等が連携する組織・体制づくりが進みつつあります。

また、住民参加による地域での支え合いの仕組みづくりなども始まっております。

島根県としましては、市町村や関係団体とともに、こうした地域における取組みを支援してまいります。

 

(2)国民健康保険につきましては、来年度から都道府県が財政運営の責任主体となります。

新制度への円滑な移行に向けて、運営方針の策定や市町村ごとの納付金の算定など、必要な準備を進めてまいります。

 

(3)平成29年度「全国食生活改善大会」が、来月3日に松江市で開催されます。

全国から食生活改善推進員などの関係者約1,500人が参加して、先進的な事例の発表や健康づくりに関する情報交換などを行うこととなっており、この大会を通じて、地域の食生活改善や健康増進への意識が一層高まることを期待しております。

 

(8.原発の安全・防災対策)

次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発1号機の廃止措置計画については、7月、中国電力に対し、住民の安全確保を図ることなどを最優先に、廃止措置を適切に実施すること等を要請し、安全協定に基づく最終的な事前了解を行いました。

また、国の関係機関に対しましても、必要な要請を行いました。

今後、中国電力が行う廃止措置の実施にあたっても、安全協定に基づき、適切な対応を取ってまいります。

 

(2)2号機につきましては、原子力規制委員会で審査が継続中であり、県としましても引き続き審査状況を注視しているところであります。

 

(3)原発の防災対策につきましては、7月に、要支援者の避難に必要な福祉タクシーの派遣協力に関する協定を、中国5県のタクシー協会と締結しました。

引き続き、国、島根・鳥取両県、島根原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、検討を進めてまいります。

また、11月には、国、自治体等関係者が連携して「原子力防災訓練」を実施し、防災対策の検証を行うこととしております。

 

(9.防犯・交通安全対策)

次に、防犯・交通安全対策について申し上げます。

 

県内の特殊詐欺被害及び交通事故死者数については、昨年と比較し、ともに減少傾向にありますが、依然としてその被害の多くを高齢者が占めております。

引き続き、犯罪被害や交通事故を抑制するため、特殊詐欺の被害防止対策や秋の全国交通安全運動などに官民一体となって取り組んでまいります。

 

(10.島根県立大学)

次に、島根県立大学につきましては、松江キャンパスの4年制化が先月、文部科学省から認可されました。

これを受けて、来年4月に、松江市に「人間文化学部」、出雲市に「看護栄養学部」をそれぞれ設置いたします。

引き続き、施設整備や学生の募集など、開設に向けた準備を進めてまいります。

 

(11.財政運営)

次に、今後の財政運営につきましては、6月議会におきまして、これまでの財政健全化の取組みの総括をご報告し、様々なご意見をいただきました。

今後、財政見通しを立てた上で、今議会において「財政運営指針」の「案」をお示しし、議会のご意見などをお聴きした後、10月末に「財政運営指針」を決定したいと考えております。

 

(12.若者の活躍)

さて、今年の夏も島根の若者のはつらつとした活躍が見られました。

全国高校総体では、陸上競技の男子110メートルハードルで開星高校の勝田築君が優勝し、男子カヌー競技では出雲農林高校の中尾一稀君が2種目で優勝を果たすなど、12種目での入賞がありました。

また、全国高校総合文化祭等においても、多くの島根の高校生が優秀な成績を収めました。

中学生の全国大会では、なぎなた競技の女子個人で出雲北陵中学校の森本あか音さんが優勝するなどの活躍がありました。

7月にトルコで開催された、聴覚障がい者の国際的な総合スポーツ大会であります「夏季デフリンピック」においては、島根県出身の藤原慧選手が水泳競技に出場し、金メダル3個を含む合計9個のメダルを獲得しました。

こうした島根の若者の活躍は、我々県民に大きな喜びと感動を与えてくれております。

次にプロバスケットボールチームの島根スサノオマジックにつきましては、今季B1に昇格し、今月末から計60試合を戦うこととなっており、来月7日、8日にはホーム開幕戦が松江市で開催される予定です。

今後も島根の若者たちが大いに活躍することを期待しております。

 

(13.補正予算など提出議案)

それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

一般会計の補正予算案につきましては、7月の大雨による被害対策のほか、早急に対応すべきものなどについて措置し、総額92億円を増額しております。

この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,213億円となります。

この補正予算案のほか、予算案15件、条例案4件、一般事件案8件の計28件を提出しております。

 

これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。


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