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平成21年9月定例県議会知事提案理由説明要旨

 定例議会開会にあたり、提出議案の説明に先立ちまして、県行政の最近の動向についてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(衆議院議員選挙)

 まず、国政におきまして、先の総選挙の結果、政権交代が起こり、民主党を中心とした連立政権が成立することとなりました。

 

 民主党の政策の大きな方向は、選挙の際のマニフェストなどで示されておりますが、個々の政策につきましては、具体的な実施の方法、時期、そして財源手当ての仕方などがまだ明らかになっておりません。

 今後、新政権内で個別政策毎に種々検討が行われ、順次、具体的な案作りが行われることになると考えられます。県としましては、その動向をよく把握し、新しい状況に適切に対応していく考えであります。

 

 これまでも、国に地方の声をよく伝え、地方に配慮した政策が実施されるよう努めてきておりますが、今後も、島根にとって、そして県民にとって何が必要かという観点に立ち、議会の皆様とよく連携し、また全国知事会や他の県などとも連携しながら、国政の場に的確に意見等を伝えていきたいと考えております。

 

(澄田前知事への県民栄誉賞の授与)

 さて、昨日、6月にご逝去された澄田前知事の「お別れの会」が開催され、ご参列いただいた多くの県民の皆様とともに、澄田知事のご遺徳を偲び、ご冥福をお祈り申し上げました。

 また、澄田知事の長年にわたる島根県発展へのご貢献に深く感謝し、そのご功績に対し県民栄誉賞を授与致しました。

 

(最近の主な出来事)

 さて、今年の夏を振り返りますと、長雨と日照不足などにより、農業生産や観光などに影響が生じており、今後の状況をよく注視していく必要があります。

 また、全国的に新型インフルエンザの感染が拡大しており、後で述べますが、秋以降のさらなる拡大に備えた対応を必要としております。

 

 他方、明るい話題も数多くありました。

 夏の全国高校野球におきまして、立正大淞南高校が県勢では6年ぶりにベスト8に進出しました。

 また、全国の高校生が地元の観光プランを競い合う観光の甲子園大会において、隠岐島前高校が第一位となりました。

 さらに、アクアスでのシロイルカの出産や日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)への参入決定などもありました。

 こうした若者の活躍や新たな地域資源の出現などは、我々県民に大きな喜びを与えてくれるものでありました。

 

 さて、それでは次に、県が目下、展開しております各般の施策などの主要な動きについて申し述べます。

 

(新型インフルエンザ)

 まず、新型インフルエンザについてでありますが、県内でも学校などを中心に集団感染が多発しており、感染拡大の防止に全力を挙げて取り組んでおります。

 感染が発生しやすい学校や福祉施設などにおいて、手洗いやうがい、マスクの着用など感染予防が徹底されるよう、県民の皆様に広く意識啓発を行ってきております。

 さらに、基礎疾患のある方など、感染すると重症化しやすく入院治療が必要となる方々のために、入院ベッドの確保などを進めております。

 今後とも、国や市町村、医療機関などと緊密に連携を取りながら、迅速に必要な対応を行ってまいります。

 

(経済対策)

 次に、経済対策について申し上げます。

 日本経済は、今年の4から6月期の実質成長率が1年3ヶ月ぶりにプラスに転じるなど、景気は底を打ったとの見方があります。

 しかし、こうした景気の底打ちも、国の景気対策による公共投資と個人消費の増加や、輸出の増加によるもので、自律的な回復局面に入ったとは言えないとの見方もあります。

 いずれにしましても、これまでの景気の落ち込みが極めて大きく、景気情勢は今後とも予断を許さない状況にあると考えております。

 県は、国の経済対策に呼応し、2月議会、6月議会と相当規模の経済対策を盛り込んだ予算案を提出し、議会の承認を得て、現在、これらの経済対策を着実に実行しているところであります。

 さらに、今議会には、国の経済対策に対応するものや国の補助事業の追加などを盛り込んだ追加補正予算案を提出しております。

 今後とも、景気情勢をよく注視し、適切な対応を講じてまいります。

 

(雇用対策)

 次に、雇用情勢でありますが、依然、厳しい状況が続いております。

 特に、県内企業による来春の高校卒業生の採用予定数は、昨年に比べ大幅に落ち込んでおり、希望どおりに県内で就職できない生徒が出てくることが懸念されております。

 このため、県内の各高校やハローワークなどと連携し、企業訪問を積極的に行い、県内での採用増加を働きかけております。

 また、県内企業が行う新規採用者に対する実践的な研修に県が支援を行ったり、県の高等技術校が若年者向けの研修を行うなどにより、企業の採用意欲を高め、また、企業内での人材の定着化などを推進することとしております。

 さらに、県としましても、国に対して、新規採用を積極的に行う企業に対する支援策を講じるよう要望してきております。

 

(産業振興)

 次に、産業振興について申し上げます。

 国の助成により、各都道府県に整備されることになっております産学官による共同研究施設につきましては、県内企業などの期待の高い「電気・電子関係」の分野などでの研究や高度技術者の養成などに産業界や大学などと共同して取り組む計画を提案し、目下、審査が行われているところであります。

 ロシアとの貿易に関連しまして、国の助成を受け、浜田市、地元経済団体などと連携し、今月中に「しまねビジネスサポートセンター」をウラジオストク市内に開設し、現地の市場や消費者の需要動向などの情報収集に努め、情報発信も強化することとしております。

 

 観光振興につきましては、この7月に地域の特性に応じた観光戦略を展開していくため、「しまね観光アクションプラン」を策定致しました。これを指針として、行政、団体、事業者、県民がそれぞれの役割を担いながら観光立県に向けた取組みを強化してまいります。

 また、来年度には、安来市出身の武良布枝(むらぬのえ)さんが主人公となるNHKの朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」の放映や、一畑電車を舞台とした映画「RAILWAYS」(レイルウェイズ)の全国公開が予定されております。

 こうした好機を活用しながら、観光客誘致に向け、広報宣伝をさらに進めてまいります。

 

 次に、企業誘致につきましては、先週、京都で産業セミナーを開催し、島根の立地環境の良さなどをアピールしてまいりました。11月には広島で同様のセミナーを開催することとしております。

 また、島根県産の農林水産物につきましては、新しいブドウ品種の「シャインマスカット」とトルコギキョウの島根オリジナル品種を中心に、東京都の大田市場などにおいて、生産者団体とともに販売促進活動を行ってまいりました。

 さらに、10月に開催される「東京食肉市場まつり」に、島根県も協賛県として参加することとしております。

 こうした取組みを通じて、島根の魅力を積極的にPRし、産業の振興をさらに進めてまいります。

 

(医療体制の整備)

 次に、医療体制の整備について申し上げます。

 県は、目下、国の助成を受け、「地域医療再生計画」を作成し、地域医療の課題解決に向けての具体策作りを行っております。各方面からご意見をいただきながら、県の計画案を来月中旬には、国へ提出する予定であります。

 この計画では、医師など医療従事者の確保に重点をおき、併せて、遠隔画像診断やドクターヘリの導入などにより医師不足を補完することを目指しております。

 ドクターヘリにつきましては、8月中旬に県内の医療関係者などで構成する検討会を立ち上げ、導入に向けた課題や効果的な活用方法について検討を行っておりますが、先般、「可能な限り早期の導入が望まれる」という中間報告がなされております。

 県としましては、この検討会の意見を踏まえて、導入に向け準備を進めていきたいと考えております。

 また、本年11月には、島根県成人病予防センターの検診などの予防医療機能を引き継いで「浜田医療センター」の新病院が開院することとなりました。県としましても、新しい浜田医療センターを拠点として、県西部の医療体制の整備が進むよう取り組んでまいります。

 

(高速道路網の整備)

 次に、高速道路網の整備について申し上げます。

 山陰道の斐川・出雲間が11月28日に開通することになりました。これにより、地域の経済や観光の振興に大きく寄与することを期待しております。

 他方、出雲以西につきましては、事業中や未着手の区間が多く残っております。このような状況において、自動車関連諸税の暫定税率の廃止などが実施された場合には、高速道路整備のための財源が十分確保されず、整備がさらに遅れる惧れがあります。

 島根県と同様の状況にある県などとも協調しながら、議会の皆様とともに、山陰道や尾道松江線の重要性などを国に強く訴え、県内高速道路の早期整備に引き続き強力に取り組んでいく考えであります。

 

(県民生活の安全安心の確保)

 次に、県民生活の安全安心の確保について申し上げます。

 島根県においては、今夏の長雨などにより、地すべり、がけ崩れなどが多数発生し、現在、急を要する箇所について復旧工事を実施してきております。

 また、7月に山口県で発生した土石流災害を踏まえ、県では、福祉施設などが設置されている地区で危険箇所の緊急点検を実施致しました。

 今後、こうした箇所を重点に、土砂災害危険箇所の計画的な整備を進めてまいります。また、県民の皆様などへの防災意識の啓発や災害警戒情報の的確な提供など、総合的な対策に取り組んでまいります。

 次に、防犯対策についてでありますが、県内の犯罪は、振り込め詐欺の件数が昨年に比べ半減する一方で、車上ねらいや自動販売機ねらいといった県民の身近なところで発生する犯罪は増加しております。

 今後とも、防犯ボランティアなどと連携し「鍵かけ」を中心とした県民の防犯意識の向上など官民一体となった活動に取り組んでまいります。

 

 また、交通安全につきましては、県内では依然として高齢者の方々の交通死亡事故が多く発生しております。

 県としましては、10月からは「高齢者を交通事故から守る運動」を展開し、高齢者への思いやりのある運転の励行などをさらに呼びかけることとしております。

 

(過疎・中山間地域対策)

 次に、過疎・中山間地域対策について申し上げます。

 現行の過疎法が来年3月末に期限切れとなります。

 県としましては、これまで、新過疎法を制定し、過疎地域が抱える医療、教育、生活交通の確保などの課題に対応したソフト事業を行うための過疎債を活用した基金創設などの対策を講じるよう、積極的に提案・要望を行ってまいりました。

 法律の期限切れまで残すところ約半年となり、国政の場においては、さらに活発な議論がなされるものと考えております。

 今後とも、地域の実情に即した適切な新過疎法が来年4月に確実に施行されるよう、議会の皆様とともに全力をあげて取り組んでまいります。

 

 また、過疎法と同様に議員立法で制定されております原発立地地域の振興を図るための特別措置法が再来年3月末に期限切れとなります。

 県としましては、この法律につきましても延長に向けて、議会の皆様とともに全力をあげて働きかけてまいります。

 

(県の独自課税)

 さて、島根県では、独自課税として、「核燃料税」、「産業廃棄物減量税」、「水と緑の森づくり税」を事業者や県民の皆様に負担していただいているところでありますが、いずれの税も今年度末に課税期限を迎えます。

 このため、種々検討した結果、「核燃料税」と「産業廃棄物減量税」につきましては、課税期間を5年間延長する条例案を本議会に提案しております。税率につきましては、「核燃料税」は現行10%から13%に引き上げ、「産業廃棄物減量税」は現行通りとしております。

 「水と緑の森づくり税」につきましては、これまで、1000人アンケートや県民意見交換会などを実施し、この税を活用する事業のあり方などについて、県民の皆様のご意見を伺ってまいりました。

 今後、パブリックコメントを実施し、さらに広く県民の皆様のご意見を伺ったうえで、年内に結論を出したいと考えております。

 

(補正予算案などの提出議案)

 それでは終わりになりますが、今回提案致しました一般会計補正予算案などの概要について、ご説明申し上げます。

 今回の補正予算案では、第一に国の経済対策に対応する歳出の追加88億円、第二に本年度国に創設された「地域活力基盤創造交付金」による道路整備事業など公共事業の追加等51億円、そして第三に新型インフルエンザ対策など早急に対応すべき歳出の追加を計上し、総額で156億円余の歳出を追加しております。これを賄う歳入の大宗は、国からの交付金、補助金などの追加であります。

 これらの結果、補正後の一般会計の予算規模は5,881億800万円余となります。

 この補正予算案のほか、予算案14件、条例案11件、一般事件案8件の33件を提案しております。

 これらの詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私の説明を終了致します。

 


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