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実事求是〜日韓のトゲ、竹島問題を考える〜

第49回

韓国の中学生から届いた手紙について

 島根県は6月11日、4期目となる「島根県竹島問題研究会」を発足させた。その前々日の9日、韓国の中学生から島根県内の中学校に送られた手紙について、地元紙の「山陰中央新報」が「竹島教育批判の手紙‐島根56中学に韓国生徒」と報ずると、その日の夕方、NHK松江放送局もニュースの中で「韓国から竹島教育批判の手紙」と伝えた。

 翌日(10日)、さらに『朝日新聞』(「島根ローカル面」)と『読売新聞』(「島根ローカル面」)が報道したことで、これが韓国側にも飛び火し、韓国の『中央日報』は『朝日新聞』の記事を受け、「独島の歴史を歪曲する教育やめて、島根県に手紙を書いた中学生達」と報道した。これが韓国内で反響を呼ぶきっかけとなるのである。

 その「竹島教育批判の手紙」の送り主は、韓国の全羅南道咸平郡の咸平中学校の三年生3人で、私が実物のコピーを見たのは6月10日、研究会の準備のため島根県の竹島資料室を訪れた際である。中学生からの手紙には、韓国側が「独島教育」の場で教えている韓国側の「歴史認識」がそのまま記され、韓国側の独島教育の実態が知れる資料であった。そこで翌日の研究会で検証することとし、追加資料としてもらった。

 韓国では近年、青少年を使って、国内外に韓国側の「歴史認識」を発信させており、この手紙もその一つといえる。その手紙について報じた日本のマスコミ各社は、韓国側の現状をどのように認識していたのだろうか。この手紙は子ども達を政治的に利用したもので、その姿勢をこそ糺さねばならないからである。

 韓国側が竹島を韓国領とするなら、子ども達を使わず、外交ルートを通じて韓国政府が主張し、外交の場で決着をつけるべきである。それを韓国側では、「日韓の間には領土問題は存在しない」としながら、国策研究機関の「東北アジア歴史財団」をはじめ、韓国政府の支援を受けて活動するVANKなどでは青少年を使い、海外向けのプロパガンダを奨励、推進している。

 その中で、今回の「竹島教育批判の手紙」騒動には、続編があった。6月10日、韓国の『中央日報』のキム・ホ記者が咸平中学校を訪ね、3人の中学生と顧問の金栄培先生(43)にインタビューした際の模様を映像で公開している。その中で金栄培先生は、「今もしている作業の中の一つが手紙を日本にいる先生達に送る作業と、日本にいる我々中学生の友達、日本の中学生の友達に送る映像形式の手紙にするUCC作業を、今行っている」と語り、今回の騒動の中心的役割を果たしていた。

 さらに咸平中学校のホームページによると6月12日、同校の図書館では独島義勇守備隊記念事業会による一年生を対象にした「独島義勇守備隊教育」が行われていた。

咸平中学校の独島義勇守備隊教育

(咸平中学校のホームページから)

 これは2011年2月、韓国の文化教育部が「小・中・高等学校独島教育内容体系」を公開して以来、韓国では独島教育が奨励されているからである。『中央日報』のキム・ホ記者の質問に答えた中学生の一人は、「過去に体験学習で独島に行き、独島義勇守備隊の人々と話もして、独島問題に対する認識が拡がればよいと考えた」と発言している。これは咸平中学校のある全羅南道教育庁が、2015年から予算を確保し、独島授業資料の供給、独島の歴史文化探訪、独島授業実践研究会等、独島教育先導教育支援庁として携わってきたからである。

 一方、日本の文部科学省はこの3月31日、平成29年度版の『学習指導要領』に、初めて竹島を記載し、公示した。だが日本には、韓国の「東北アジア歴史財団」が開発したような竹島教育のための副教材はなく、学習指導案も準備されていない。この現状で、日本の先生方は何をどう指導したらよいのだろうか。韓国の中学生から送られた「竹島教育批判の手紙」に対しても、日本の先生方がその誤りを指摘し、どれだけ適切な指導ができるのか。心もとないものがある。

 日本政府はこの現状をいかに打開するのだろうか。竹島問題が起こって半世紀が過ぎても、日本政府はいまだに実効的な戦略も、戦術も、示せずにいるからだ。

これに対して「島根県竹島問題研究会」は、2014年3月に『竹島問題100問100答』を刊行し、竹島問題の全貌を明らかにした。慶尚北道の「独島史料研究会」は、『「竹島問題100問100答」批判』を出版して反論を試みたが、失敗した。慶尚北道庁のホームページに掲載されていた『「竹島問題100問100答」批判』は削除され、今は出版した痕跡すら消されている。慶尚北道の「独島史料研究会」は、『竹島問題100問100答』を論破できなかったからである。

 にもかかわらず韓国側が日本批判を続けるのは、島根県竹島問題研究会の報告書を受け、外務省が作成した小冊子『竹島問題を理解する10のポイント』に、弱点を見出したからだ。島根県竹島問題研究会とは違って、外務省には反論する機能が欠けている。そこを見透かし、韓国側では、島根県竹島問題研究会に誤りを指摘されると、反論しない外務省の見解を標的にするのである。この構造的な欠陥を克服しない限り、竹島問題の解決は難しい。

 そこで今、マスコミ各社がすべきことは現象を報道することではない。日韓は何故、竹島問題を解決することが出来ないのか。その弊害となっている日韓双方の病巣を剔出することにある。

 島根県議会が「竹島の日」条例を制定しようとした時、それを牽制し、条例の成立を阻止しようとしたのは日本政府であった。この姿勢は民主党政権になっても変わらなかった。竹島問題は、日韓の問題というよりも日々韓々の国内問題の側面もあるからだ。

 その中で、今回、韓国の中学生が送った手紙には、竹島問題解決の糸口となる可能性が秘められている。咸平中学校の3人の生徒達は、韓国の「中央日報」のキム・ホ記者に対して、「日本の中学生達と話したい」と語っている。大人の入れ知恵で語る日韓関係ではなく、竹島問題を共通の課題として、日韓の中学生が語り合う時間も必要になっているということである。その語り合いの場を実現するためにも、手紙を送った咸平中学校の三年生3人と話ができるよう、日本の中学生の諸君にも竹島問題について、研究してもらいたいものである。

 第4期の島根県竹島問題研究会では、これまで通り、韓国側の竹島研究を検証し、歴史の事実を明らかにしていく。島根県内に限らず、竹島問題を解決するため、多くの方々には夫々ができる範囲と分野で、参画していただけるとありがたい。

 なぜなら竹島問題は、解決しなければならない、日韓の恥部でもあるからだ。

(下條正男)


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