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自主調査研究(研究所で先行的に行うもの)

自主調査研究:10題

 

研究課題:25年度まで
課題 研究概要

宍道湖における溶存態CODの上昇に対する植物プランクトン種の影響に関する基礎的研究
(平成22年度〜25年度)

(水環境科)

 宍道湖のCODは、近年若干上昇傾向にある。CODは溶存態COD(D-COD)と懸濁態COD(P-COD)に分けられるが、P-CODには上昇傾向は無く、D-CODのみが上昇している。
琵琶湖においてもD-CODの上昇は問題になっており、特に難分解性D-CODの上昇によるものと考えられていたが、最近では難分解性D-CODの上昇は藍藻類の存在割合の増加が原因ではないかとの報告がある。藍藻類は自己の数十倍もの体積の寒天質を細胞の周囲に保持しており、これが水中に溶け出しD-CODを上昇させていると考えられている。そのため宍道湖で発生する主要な植物プランクトンの種類ごとにCODおよびD-CODを測定し、過去の植物プランクトンの発生状況との関連を整理することによりD-COD中の植物プランクトン寄与分の推定を行う。また、D-CODの主成分と考えられる多糖類の分析を行い、D-COD上昇原因を探る。
ウズラ卵によるサルモネラ食中毒予防のための基礎的研究
(平成23年度〜25年度)
(細菌科)
 平成22年度に出雲保健所管内で2件のサルモネラ食中毒が発生し、いずれもウズラ卵の不適切な取り扱いや生食が原因と推定された。
ウズラ卵によるサルモネラ食中毒を予防することを目的として、県内に流通する市販ウズラ卵の卵殻の表面、卵の中身、卵殻について、サルモネラの汚染率、汚染菌数およびそれらの季節的な変動を調査する。また、保管方法や調理方法によるサルモネラの増殖態度、消長を調べ、調理工程における管理点を探る。

WEPシステムを利用した布部ダムの水質改善に関する基礎的研究
(平成23年度〜25年度)

(水環境科)

 布部ダムの縦断線上の11地点において月1回ずつ多項目水質計及びSTDを用いて水温、電気伝導度、溶存酸素等の測定を行う。
また、月1回ずつ、2つの流入河川1地点ずつ及びダム湖中心(水深40m)の表層から底層まで5m間隔で採水し各種項目の分析を行う。
さらに、毎月1回、湖底堆積物(コアーサンプル約30cm)を採取し、深度別に脱窒活性を測定する。併せて、現場活性(基質濃度・水温等、現場に条件に設定し培養)及び最大活性(基質添加・夏期の水温に設定し培養)を測定する。
微小粒子状物質(PM2.5)の汚染特性の把握と発生源寄与評価の試み
(平成24年度〜25年度)
(大気環境科)
 微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準設定を受け、各自治体は平成22年度から3年間を目途に、PM2.5の質量濃度(通年監視)および成分(季節毎に2週間監視)の監視体制を整備することになっており、現在島根県も監視体制の構築を始めている。しかし、2週間/季節の成分測定では季節を代表する期間の適切な設定や、健康や環境への影響が大きい高濃度事象の適切な監視評価ができない可能性がある。
本研究では、松江(都市域)と隠岐(バックグラウンド地域)において、PM2.5の質量濃度と成分濃度を通年で測定し、PM2.5の組成・時空間変動など汚染特性をより詳細に把握するとともに、得られたデータからリセプターモデル等により地域汚染や越境汚染など発生源寄与率の評価を試みる。
島根県で分離されたESBL産生腸管出血性大腸菌O26へのESBL産生能の伝達に関する研究
(平成24年度〜25年度)
(細菌科)
 ESBL産生菌は、医療機関において近年分離例が増加し、臨床上重要な薬剤耐性菌の一つとして注目されている。
この遺伝子は伝達性プラスミド上に存在するため、病原性の高い菌種への伝達が危惧されており、ESBL産生性赤痢菌や腸管出血性大腸菌O26などの分離例の報告も散見される。
今回ひとつの家族の検便からESBL産生腸管出血性大腸菌O26とESBL非産生腸管出血性大腸菌O26の両者が分離され、これは家族全員に感染したESBL非産生O26が、腸内に保菌するESBL産生腸内細菌からプラスミドを伝達されたものと考えられる。これらの検便中の腸内細菌を精査し、O26へのプラスミドの伝達経路について検討する。
ISprinting法を用いた腸管出血性大腸菌O26の分子疫学解析の有用性の検討
(平成24年度〜25年度)
(細菌科)
 島根県内で分離された腸管出血性大腸菌(STEC)O26株について、国立感染症研究所で実施されるパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)の結果も踏まえ、O26におけるISprinting法を用いた分子疫学解析の有用性を検討する。また、O26菌株をinvitro条件下で継代培養することによってあらわれる分子疫学解析パターンの変化をPFGE法とISprinting法で比較し結果の解釈に役立てる。
糞便中に含まれる食中毒病原微生物のDNA抽出法に関する研究
(平成24年度〜25年度)
(細菌科)
 MultiplexリアルタイムSYBRGreenPCR法を利用した食中毒菌標的遺伝子(24種)の一斉検出法(以下、RFBS24と省略)の感度向上を目的として、糞便中に存在する食中毒菌のDNA抽出法の検討を行ってきた。その結果、糞便中に存在するウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、サルモネラのDNA抽出法として、ビーズによる菌体破砕を利用した方法は界面活性剤による溶菌を利用した方法と比較し、DNAの収量が多く、RFBS24の感度向上に有効な方法であると考えられた。本研究では、引き続き、RFBS24の感度向上を目的として糞便中の食中毒菌DNAの抽出法の検討、DNA抽出作業の時間短縮化の検討を行う。さらに近年、新たなに確認された食中毒病因物質、クドア・セプテンプンクタータのDNA抽出法の検討も行う。
呼吸器系ウイルス感染症の検査体制の構築と調査
(平成24年度〜25年度)
(ウイルス科)
 呼吸器系ウイルス感染症の原因ウイルス[RSウイルス(以下、「RSV」)、ヒトメタニューモウイルス(以下、「hMPV」)、ライノウイルス(以下、「HRV」)、パラインフルエンザウイルス、ボカウイルス、サフォードウイルス]については、2009年1月から病原体サーベランス事業の中で実施してきている。
全国的にも、検査体制が整いつつある状況のなか、(1)より効率的な検出法(PCR検査)の検討、改良、(2)2007,2008年の検体を検査し過去の流行状況を把握、(3)特に検出例の多い、RSV、hMPV、HRVについて遺伝子解析を行い経年の状況を把握する。

 

研究期間:26年度まで

課題

研究概要

Rapiddeterminationsystem

ofviralRNA/DNAsequences(RDV法)を用いたウイルス同定法の

検討
(平成25年度〜26年度)
(ウイルス科)

 ウイルス科の主要な業務として感染症発生動向調査事業の病原体の同定がある。病原体定点医療機関より提供いただいた検体は、培養細胞に接種し、細胞変性効果でウイルスの増殖が確認されたウイルス培養液を用いて、抗血清を用いた中和試験等を行い、ウイルスを同定している。
しかし、現在当所で行われている検査方法では、同定に至らない分離株が存在する。

そこでRapiddeterminationsystemofviralRNA/DNAsequences(RDV法)を導入し、分離後未同定株のウイルス遺伝子を網羅的に解析し、同定につなげることで、より正確にウイルスの流行状況を把握することを目的とする。

パッシブサンプラーを活用したオキシダントの濃度分布の把握と植物影響ポテンシャル評価の試み
(平成24年度〜26年度)
(大気環境科)
 オキシダント濃度の上昇は、人の健康影響だけでなく自然植生や農作物等へ悪影響を及ぼす。県内においてオキシダントによる植物被害は未だ確認されていないが、近年の東アジア地域の経済発展の状況を考慮すると、今後、島根県のオキシダント濃度は上昇し県内の自然植生や農作物への影響が懸念されることから、影響を評価する上で県内におけるオキシダント汚染の実態把握を行う必要がある。
本研究では、パッシブサンプラーを活用して広域的に県内のオキシダント濃度の分布を把握するとともに、自動測定機の時間値データの濃度分布とパッシブサンプラーの測定データとの関係から、県内における植物影響ポテンシャル(AOT40)の評価を試みる。

お問い合わせ先

保健環境科学研究所

〒690-0122 島根県松江市西浜佐陀町582-1
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